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・FE(新紋章の謎)縛りプレイ『二人羽織か文通将棋かテイスト的にはゲームブックか!? 選択肢はそっちで選び、プレイはこっちの《紋章の謎》。どうなることやら《ルオ・サーガ》!! 影の英雄はマジでキミだプレイ!!』パート3★  [リプレイ系記事]

新・紋章の謎!!!(その3)





ゲームするヒト…久遠
文章にして投下ヒト…おかのん
重要事項とか作戦とかを決定するヒト…ぽ村

って、ソレ三人羽織でね?
というやり取りと結果の発表を行うリプレイです。


・ぽ村 が名古屋・岐阜旅行中(12年7月)に、そこで会えた 久遠 が当計画を提案し、ヲレがキャラメイクで作ったキャラ「ルオ・ルスペード」(職業:傭兵)が主役。
ヒロインシステムの話もあったけど…色々とすったもんだして、恋人のオリジナルキャラ・アイシャ(盗賊)等が同行しますハイ。


ゲーム部分の縛り内容


・シリーズ伝統のリセットに大きな制限を設ける…ゲームオーバーが確定する人物以外は、主力であってもリセットをしません。
戦略的な選択肢(増援があるかないかを提示せずに、軍を分けるかどうか聞く、村を盗賊から救うために派遣するマルスを単騎で行かせるかどうかなど)もあるので、間違えるとフツーに死ぬこともあるかも。

※実際にゲームオーバーになった時は、適当なところに巻き戻ってやり直しです。
ゲームブックってだいたいそんな感じだったし。
数値その他はゲームが勝手に記憶してくれてるしね。

つまり、 久遠 は目の前で最善の対処法が選択できるにも関わらず、遠い空の下の ぽ村 が伝聞で判断した対処法に付き合わなければならないという。。。。。

…旅行先にてじゃんけんでゲームの難易度が「ノーマル」になったけど、正解じゃないかソレ…?

パート1はコチラ
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25

パート2はコチラ
http://pomura-zatudan.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25

そんなわけでお話の続き(三回目)が御開帳☆
019f48ce.jpg戦力外3人
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卑劣でしたが楽勝だったと思われる
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味方になると使えない人?とりあえず戦力外
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ガーネフさん生きてたらしい
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オルレアン4人組。
ロシェが良いマン
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オルレアン王との密会(?)
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オーブゲットびん!
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きたぜええええ!
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VSハーディン
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(´;ω;`)ブワッ
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(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)
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真エンドじゃなければココで偽者つかまされて終いなのかしら?
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幸いまだまだ話は続くらしい
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カタリナ方面の話も潰しにGO!(戦後でも良いんじゃ無いかと思うけど;)
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暗殺団との最終決戦。
エレミアの正体も・・・
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・・・ガーネフ、トコトン小物な下衆アピールするな;

ユミルが仲間に。・・・まぁ使わないけど;
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どっこい生きてたミシェイルさん
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なんだか馴染んでる割に姿を見なかった三人の女性の行方も・・・
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くたばれえええええ
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・・・・占い師の与太話ですよ・・・・
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説得の模様次々と。
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そして今回もトドメはアーチャー。
ゴードンではなくライアン★
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そして本編のエンディング
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コチラでも去っていってしまったルオ・・・
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そして戦跡・・・あら序盤そんなに楽勝でしたのん?
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お疲れ様&ありがとう!
(´∀`)ノシ
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ぽ村

寸劇
ロディ・セシル「「(´・ω`・)・・・・・」」
カタリナ「(;´Д`)」
アイシャ「(そうよね、フツーは;)」

チビ「なおーん♪ヘ(゚ω゚ヘ)三」
カタリナ「チビ・・・私のこと、覚えててくれたの?(´;ω;`)ブワッ」


ルオ「ヽ(´Д`;)ノアゥ...」
マルス「ルオ、夕刻にでも部隊運営の計画書を出してくれ」
ルオ「あ、はい!」


ルオ「お待たせしました。運営計画です。」
マルス「ご苦労だったね。・・・アベルとエストは後衛。エストが身重って判ったから妥当だけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・カタリナは、コレで良いのかい?」
ルオ「はい、お願いします。一番役に立って、今一番本人の為になるんじゃないかと…」
マルス「評価実験を行う。明日の朝…」
ルオ「あ、いえ。もうやってもらってます」
マルス「(;^ω^)」


夕食時
カタリナ「(お皿コト…)お待たせいたしました。。。。。」
ミネルバ「・・・・・ほう、美味そうだな」
シーダ「(; ・`д・´)…ゴクリ」
ミネルバ「コレが先日まで暗殺者をしていた者の手料理でなければ、喜んで食べているところだが・・・・・」
シーダ「ミネルバさん、ちょっと!(とは言え、マルス様の指名だけど、やっぱり毒見くらいは)」

カタリナ「・・・・・・・・・」

マルス「美味しそうだね。いただきます(ぱくもぐ)」

「「「(; ・`д・´)…ッッッ!!?…(`・д´・ ;)」」」



チキ「(食器洗いガシャガシャ)おにーちゃんたち、かたりなおねーちゃんのおりょーり、おいしいってほめてたねー★」
カタリナ「(同じくガシャガシャ)え、ええ・・・(まさか本当に毒見もせずに食べるとは・・・・)」
チキ「チキもちょっと食べたけど、美味しかったよ!(;゚∀゚)=3ハァハァ」
カタリナ「・・・(´▽`)アリガト!」
チキ「あ、たいちょーさん」

ルオ「ごくろうさまー。カタリナ、合格ってさ。大好評だったよカタリナの料理!明日の朝食から炊事係がんばって!」
カタリナ「・・・・・それは、どうも」
チビ「zzzzzzzzz…」

リカード「|д゚)チラッ 来たとたんに戦力外とは…先生(チビ)の法則無かったんすか?」
ルーク「ああ、訓練生時代に乗られてたんだよ。既に」
リカード「あぁー…定められた運命だったんすねぇ…人材的に勿体無い気もするんですか」
ルーク「軍務会議で情報提供や提案はアリってんで、上も納得したんだろ…それより見ろあの顔」

カタリナ「(´ー`)~♪」

リカード「ルーク、お前も挨拶して来いよw(ドンッ)」
ルーク「おうわ、まだ心の準備がをい!?」
カタリナ「?」


この設定レイプ寸劇
まだ続くかもしれない
by ぽ村
by ぽ村 (2012-11-21 15:01) 

ぽ村

アリティアを取り戻してまもなく。
アカネイアと戦う決意を固めたアリティア軍は、進軍を始めた。

アカネイアはアリティアの東にあり、そこにはかつてアリティアを滅ぼし、アリティアに滅ぼされた国、グラ王国がある。
ジオル王亡き後、しばらくはアリティアがここを治めていたが、戦災復興が思うようにいかない上、アリティアはアリティアで復興をせねばならなかった。
しかも、それまではグラはアリティアから搾取をしていた関係上、どうしても生活はそれまでの水準に戻り得ない。緑豊かなアリティアからの搾取はグラの悲願であったと同時に、その時の記憶はグラに贅沢の味を覚えさせてしまった。
身勝手な不満は募り、すべてがアリティアのせいになってゆく。

マルスやその側近がいくら頑張っても、末端の役人に身を粉にすることは強要できないし、中には問題のある者もいる。グラの者も、自分がうまくいかない事を、そのまま自分の責だと認められる者は少ない。問題は山積みだった。

そこへアカネイアから詔がおりた。
ジオル王の忘れ形見、シーマ王女が見つかった。ひいてはアリティアは彼女に国を譲れ・・・というものだった。
ジオルは決して優れた王ではなかったが、戦災復興の苦しい時期と、一向に良くなりそうにない暮らし、そして今、この国がアリティアに支配されているという事実から、王女の手にグラが戻れば、全ては良い方向に向かうと、グラ国民は信じて疑わなかった。

シーマは、母を無理矢理に犯し、囲っていた事や、ドルーアに屈したことなどからジオルを嫌っていた。
しかし、グラという国は心から愛していた。
治めてゆく土地というより、故郷そのもの、今は亡き母と共に愛した場所として。
そこを自らの手で少しでも良くしてゆくのだという思いと、その数々の方策はいくらかは実を結びつつあり、そのことをまさに希望として、グラは栄華でなくとも、以前に戻りつつあったのだ。

そして起こった英雄戦争。
我らを塗炭の苦しみに追いやった宿敵をこの手で倒し、あの頃の栄華を取り戻すのだと、先陣を切ったのはグラであった。
シーマに言わせれば、何を勝手なという思いだったが、アカネイアに逆らうわけにもいかなかった。それはそのままグラの滅亡を意味したからだ。
そして・・・・・・

アリティア軍は帰ってきた。
それも、それぞれが一騎当千の、鬼神の軍隊と化してである。
一方のグラ軍は、一度は解体され、新兵ばかりとなり、アリティア落城のおりには、ついて行って騒いだだけの軍隊であるというのが実態だ。
そんな軍が勝てるわけがない。
敗走に敗走を重ね、既に精根尽き果てた挙句、援軍のあてのない籠城。
監視役のアカネイア兵がうろつくなか、グラは滅亡の時を迎えようとしていた・・・。


第17章 グラの落日


グラの玉座。
そこには、ジェネラルの鎧をまとった、年若き乙女と、それに語りかける一介の傭兵がいた。

「もう無理だろうな。アリティア軍はすぐにでも攻め入りそうな勢いだ」
「そうか・・・」
「お前はハーディンに利用されただけだろう。逃げても誰もそしるまい。
いや、再興を願うもの、お前の身を案ずるもの、皆、お前に、『今は逃げろ』と言っている」
「・・・ありがとう。
だが、私は引かぬ。敵に背など向けぬ。
それほどにまで私を思ってくれる者を置き去りにするなど、どうして出来ようか。
むしろ、その者達が想い続けてくれさえすれば、私がこんな不相応な場にわずかなりといた事に意味がある。
今ここに留まってくれるものたちこそ、生き延びて、在りし日のグラを・・・
いや、グラでなくとも、皆が幸福を享受する世を作る者たちであるのだ。
幸せを手にするべきものたちなのだ!」
「・・・・・・」
「サムソン、グラの国庫に金はもうない。足りない分は何を持っていってもいい。今までついて来てくれて、感謝している」

それが、シーマからサムソンへの、別れの言葉となるはずだった。
だが、サムソンは、わずかに微笑んでそれを流した。

「俺は戦場での鼻は利く。いや、そうでなければ傭兵などやってはいられん。その俺の鼻が・・・
ここは引くな、と言っている。
勝てるとは思えぬのに、不思議なことだ。ともすると、何やら運命めいた何かが起こる時なのやもしれんな」
「・・・残ると・・・
ここに残ってくれるというのか?なぜ・・・」
「俺の魂が、引いてはならぬと言っている。
お前を守れと。
いや・・・
守りたいと」
「・・・・・・っ!」
「どういうことか、俺にも分からぬ。
しかし、俺は俺の魂からの言葉に逆らうことはしない。それに逆らうのは、俺を俺でなくすことだからだ。
お前が、この国のために、背を向けたくないというのならば。命を賭しても、その魂を貫くというのならばなおさら。
魂の導の通りに、お前を守ろう」

その背は、父を嫌い、だからこそ焦がれた・・・
たくましく、まっすぐに立つ『騎士』や『王』の雄々しき背中だった。


 ・


そんなことは露知らず、アリティア軍はグラを落とす準備をしていた。
しかし、ここに来るまでに、グラの兵士たちの姿を見ているだけに、難しかった。

「彼らはもう戦意がありません。土下座をしながらシーマ王女の助命を嘆願するものばかりです」

勝手なことである。

数年前は裏切りによって、マルスの父コーネリアスが戦死している。
併合した時も、出来うる限りのことはしたが、それを、前より生活が苦しいという、戦災復興中の当たり前の事実を指して、アリティアの支配のせいにし、実権がシーマ王女に渡った時には、礼の一つどころか、私刑を受けたアリティア出身役人までいた。
アカネイア帝国がアリティアを落とした際も協力した上、そのせいで再びエリス王女がさらわれているのだ。

それでも。

「・・・その思いをグラの民に、兵士に向けても意味はない。
あくまで彼等は巻き込まれた者たちだ。
と、いうことにしておかねば、禍根は残り続ける。
我アリティアの民に向けられる恨みが募るだけだ」

マルス自身、耐えながらもその言動にいくらか刺がある。
せめて、悔いて欲しい。
己や、自らの愛する王女のことだけでなく、彼ら自身が何をしたかを考えて欲しい。

「如何しますか?」
「ルオ、君は・・・どうしたい?」

マルス自身も、複雑な思いのまま、迷っているようだった。



選択肢

まずは、アリティアに残してきたメンバーの選定。
きっちり守ってもらいましょう。

ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
ナバール、フィーナ、アベル、エスト。
ユベロとマリーシア。
トムス、ミシェラン、アストリア。
リンダとカチュア、ジョルジュ。
バーツ、リカード、チェイニー。

ダイスを振り、5以下ならもう一度振ってください。合計が5以上になるまで続け、それををアリティアの防衛に回したことにします。


グラ城には、戦意のもう無いグラ兵と、見張りのアカネイア兵がいます。

1・順番に打ち破って、全滅させる
2・かかってこないグラ兵は相手にしない
3・シーマ、サムソンと会話をした後で全滅させる

アカネイアはグラを既に捨てていますが、城というのは計を巡らすには適しています。
アイシャ「歩兵では被害が大きいわ。しかし一撃離脱を狙えるならチャンスのはず・・・」

加えて、敵にはいくらかのスナイパーも控えています。
勿論運用時に飛兵は注意を払いますが。

では、メンバーを選んでください。
最大ユニット数は10です。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
カタリナ、シーダ、マリク。アベル、エスト。
ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
トムス、ミシェラン、アストリア。
リンダとカチュア、ミネルバ、ジョルジュ。
バーツ、ジュリアン、リカード、チェイニー。

ここから、アリティアに残してきたメンバーを除いた中から選んでください。

では、どうぞ。
by おかのん


>>おかのん
>ダイス
そうか了解した・・・・
合計5か・・・
ころころ
「6」が出たwwwww
サイコロの神パネェッす!

ではサヨナラの面子
アベル、エスト、トムス、ミシェラン、ジョルジュ
、アストリア

出撃メンバーは
ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
マリク、ナバール、シリウス、マリーシア、ジュリアン
とまぁ鉄壁の連中で

>グラ兵
2。
将来の配下を殺すことも無いでしょ

コレで一応全部かな?

by ぽ村
by ぽ村 (2012-11-21 15:02) 

ぽ村

「如何しますか?」
「ルオ、君は・・・どうしたい?」

マルス自身も、複雑な思いのまま、迷っているようだった。

そこへひょっこりと、かつてのアカネイア弓騎士トーマスが現れた。

「アカネイアはこの国を捨て駒にしようとしています。もうアカネイアはかつてのアカネイアではありません。
グラも弄ばれただけです。どうか慈悲を・・・
そして僕も、戦列に加えてください」

二人共が、やはりか、と思った。
ルオが、口を開く。

「・・・マルス様を守る立場になって、今まで自分もそちら側だった『民』が、結構言いたい事言ってるのがより分かった気がします。
でも、彼らはそれを疑問に思っていないでしょう。そして怒れば、反省するより怖がってしまいます。
・・・耐えましょう、マルス様。
シーマ王女こそマルス様の気持ちをわかってくれると思います。
そのためには、彼女の愛するグラの民を、兵士を、傷つけるわけにはいかないでしょう」
「・・・そう、だね」

それは、子供のようなものだ。
自分すら見えていないのに、未熟なのに、それでもそれは『人』なのだ。
皮肉なことに、導くべき王さえも元は子で。
全き王となるまでに、その身に過ちを刻み、知らねばならぬことは多く、しかしその答えが正しく確かなものになるかどうかも定かではなく、その居場所故に歪むものも多く。
その境地に立つ義務を持たぬ者には、その苦悩は伝わらない。

孤独な神となりえぬならば、英雄足りえないというのに、その先には、ささやかな思いさえ満たすものはない。
ならば、何故。

「・・・逃げるものは追うな。グラの民であれば殺すな!!
ここはグラ、かつてはアリティアと血を分けた兄弟だ!!
さらなる悲しみを掻き出し、絶望に狂う前に耐えろ!!
これは、アリティアの王よりの命であるっ!!!」

戦いは一方的であった。
二度、マルスにすれば三度裏切った国。
その国に復讐すら出来ぬ悔しさを、見張りや、罠にかけてくるアカネイア兵に向けたアリティア軍はまさに鬼の軍隊であった。
グラの兵や将に焼かれた町、その住民。
殺された父や母や子や孫や。
それを。忘れろと。
今は、耐えろと。

従おう。他ならぬ英雄王こそが、一番その答えに心焦がしているだろう。
何故。と。

「「「うがあああああああああああっ!!!!」」」

再度編成された、アカネイア竜騎士部隊も散々であった。城の中で袋の鼠になったアリティア軍を蹴散らせばいいだけであると言われて突っ込んでみれば、矢襖槍襖にされて残らず殲滅された。
元々いた見張りどもなど歯牙にもかけてはもらえなかった。

そして・・・


玉座の間で、シーマ王女と相対する。

「槍を引いてください。僕達は争う理由がない」
「・・・驚いている。我が民を誰ひとり手にかけなかったと聞いた。
この国は、二度も王子を裏切った。理はそちらにこそあろう。そして、私は義を・・・いや、恩をあだで返した張本人で、元凶の娘だ。
どのような扱いを受けても構わぬと思っていた・・・
本当だ。
今も変わってなどおらぬ。

降伏しよう。ただ・・・
私をどうさばこうと構わない。かわりに、グラの民に償う機会を与えて欲しい。
助けなど乞えまい。許せとも言わぬ。
ただ、詫びさせて欲しい・・・」
「我々は元々兄弟です。悲しみは晴れないというのなら、なおさら元を断たなければ。
父のことを、お互いに気にしないわけにはいかないでしょう。だからこそ、僕らは許しあわなければならないと思います」

グラは全面降伏、武装解除がなされた。
グラ国民に対する報復は厳禁とされた。
シーマが降伏を願い出た以上、抵抗するものはいなかった。
そして、シーマはこの戦いが終わった後、王位の放棄をすると宣言する。

「よかったな、シーマ王女よ。
これで俺も、安心して去ることが出来る」
「サムソン・・・ 行ってしまうのか」
「ああ。事ここに至って、俺が出来ることはもうなかろう。マルス王子はどうやら信用が置ける。兵を殺さず戦うなどということをしてまで、わかり合おうとするような男なら、グラの民を不幸にはしまいよ。
世話になったな」
「行くな! ・・・行かないで欲しい。
私には、お前を引き止める力はないだろう。だから、願うしかない。
元々私は、ジオルに捨てられた母の元で細々と暮らすだけの女だった。母の死んだ今、捧げらるものはこの身一つだ。それでは、足らぬだろう・・・。
けれど・・・いかないで欲しいのだ・・・」

虚勢を張って、王たろうと気を張り続けて、得たものは、母と同じようにいいようにされて見捨てられた事実と、器の違いを見せつけられた結末だけだ。
もうシーマには、恥も見栄も捨てて縋る事しか出来なかった。

「・・・そんな言い方をするな。確かにお前は無理をしていたのだろう。それでもその姿は、様になっていた。大国や強兵に振り回されたかもしれぬが、それでも民がついてきたのは、お前が良き王たろうとしたからだ。
それは、胸を張って良いことだ。
しかし、お前はここにいても、一人でお前らしく生きるというのは難しいのかもしれぬな。そして、王でなくなると言ってしまったお前に、俺を引き止めるには、お前の身一つでは足りぬ」
「う・・・」
「だから、お前も共にこないか。俺と。
世界はいつも動き、変わりゆく。旅人の目からならわかるものもあろう。
お前の槍さばきは、俺から見てもなかなかのものだ。俺の背を任せる分には十分だ」
「!! ・・・・・・連れて行って、くれるのか?」
「共に来て欲しいと、そう言っている」
「サムソン! ・・・ああ、サムソン!!」

サムソンは次の雇い主をアリティア軍と決め、マルスはこれを受け入れた。
シーマ王女と共に。


  ・


落ち着いたところで、軍議の時間である。

「さて、これでアカネイアへの足がかりは出来た。
だが・・・ 未だアカネイア軍は各地に展開し、勢力を振るっている。
全部を相手にするわけにはいかないし、犠牲も増えるだろう。
・・・なにかいい方法はないだろうか」
「あの、いいですか」
「うん。何かあるかい、ルオ?」

地図に示された山を迂回するいくつものルートを無視して、ルオは山脈をぶった切る道をなぞる。

「山を登っちゃえばいいんじゃないですか?
険しい山だけど、馬で通れない場所でもない。最短でパレスに行けますよ?」
「馬鹿」

アイシャのツッコミが入る。

「こんなところでの戦闘は、騎馬の勢いが使えない分、不利なのよ? アリティア軍みたいに、それが主力なら尚更なの。防衛側は必ずシューターを出してくるし、袋だたきにされるのがオチよ」
「・・・おもしろいね」
「は!?」

助け舟はマルスから来た。

「少し頭の回るものなら、すぐに除外するルートだからこそ、油断をしているかもしれない。
最短である点は、人資源的にも戦略的にも、無茶をするだけのメリットがある。
僕にはない発想だ。しかし提示されてみると、魅力的であることに気づかされるよ」
「えぇええ~・・・」
「少数精鋭であるアリティア軍だからこそ、うまみもあるよ。やってみよう」

ニッコリと笑うルオに、少し頬を染めながら、憮然とするアイシャ。

峠越えによるパレス強襲。
決戦の時が近づいていた。

第17章 グラの落日 終

by おかのん
by ぽ村 (2012-11-21 15:04) 

ぽ村

寸劇
リンダ「司令、今回の下手人を捕らえtッッ!!???」
ルオ「ヽ(д`ヽ)。。オロオロ。。(ノ´д)ノ」
ミネルバ「なんだどうした?親衛隊長殿をふんじばって?軍規が緩い部隊だが、目上には敬意を払うものだ」
リンダ「す、すみません!(解放中)」
カチュア「・・・・・・・・・・」


リンダ「・・・・(司令、なんで総司令がいらっしゃるんですか!?)」
カチュア「(お茶したいって)」
リンダ「(空気嫁ッッ!)」

ルオ「あの、何か話があるんじゃ・・・?」

リンダ「ちょっと黙ってろ」
ルオ「Σ(゚д゚lll)ガーン」

セシル「(・д・)ジーッ」
ルオ「あ、セシルお疲r・・・」
セシル「( ´д)プイッ」
ルオ「ヽ(´Д`;)ノアゥ...(この間から女性陣、なんか冷たい・・・オレなんかやったかなぁ;)」

ミネルバ「まぁ隊長殿、そこに座って一服していくが良い」

ルオ「どうも。。。。。」

ミネルバ「(お茶ずずずずずずっ)そういえば輜重隊護衛の件は・・・・・」
ルオ「(ずずっ)マリクさんの索敵魔法の応用で少なめに済みそうです」

カチュア「(んな話、会議室でやってよおおおおおおお)」
リンダ「(本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい本題に移りたい)」
ルオ「(リンダからすっごいプレッシャー感じるなぁ;)」


ミネルバ「どうしたカチュア。さっきから深刻そうな顔をしてるな?」
カチュア「ええちょっと・・・・」
ミネルバ「あぁ・・・・お前のは重いからな・・・・無理はするなよ?」
カチュア「(また設定レイプなトコを!!!!!)」

ルオ「重いって、何がですか?ぼ…オレの力になれるトコなら」
ミネルバ「'`,、('∀`) '`,、隊長殿にはどうにも出来んよ。強いて言うならカチュアにあまり無理させないでくれ」
ルオ「?はぁ・・・・」
カチュア「お・・・・お手柔らかに(違うけど)」


ミネルバ「ところでリンダ・・・だったな?マリク卿とは上手くいってるのか?」

リンダ「ギク━━━━━━(゚A゚;)━━━━━ッ!!!!えあおうお、な、何をおっしゃってるか私にはちょっと」
セシル「(すっごい斜め上攻撃)」

ミネルバ「隠さなくても良い。傍から見てれば判る。しかし・・・・辛い恋だぞ?」

リンダ「(´Д⊂ヽ」

ルオ「あの、オレ、席外しますね」
ミネルバ「ああ、いや。隊長殿にも色々と把握してて貰ったほうが良いだろう。それに殿御の意見も聞けるならお願いしたい」

「「「(聞かせるつもりかよ!!!)」」」

ミネルバ「それと、カチュアも、その。。。。どのとは言わないが王子の前で猫を被るは止めておけ」
カチュア「ギク━━━━━━(゚A゚;)━━━━━ッ!!!!かかかかかかかかかかか可愛いですものねユベロ王子!」
ミネルバ「・・・・・婚約者の居るほうだ」
ルオ「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!!」

セシル「(特大の地雷で公開処刑キタ――(゚∀゚)――!!)」

ミネルバ「個人的に仲がいいからと黙ってるが、婚約者の方は内心戸惑ってるぞ?自重しろ」
カチュア「はー・・・い」

ルオ「あ、あはははははは・・・・聞かなかったことにするね;」

カチュア「(がrrrrrrrrrrrrr)」
リンダ「(ぐrrrrrrrrrrrrr)」

ルオ「(何で睨むかなソコ・・・・帰りたい)」

カタリナ「お茶請けを持ってきました」

「「「(; ・`д・´)…ッ!!!?…(`・д´・ ;)」」」



何と続く
by ぽ村
by ぽ村 (2012-11-21 15:05) 

ぽ村

第18章 峠の戦い

峠越えによるパレス強襲。
これは確かに、盲点であるといえばそうだった。
改めて検討された時も、ジェイガンやミネルバも好意的な意見をくれた。

だが。
戦とは盤上遊戯ではない。
特に、思いもよらない出来事が起こりうるという意味では、はるかに上級・・・いや、運や宿命などもある。

「引けっ!! 隊列を崩すな!!」
「我ら天啓を得たり!!逆賊を討ち滅ぼせ!!」
「「うおおおおおおおおおっ!!!」」
「マルスのお兄ちゃん、どこおー!?」
「俺の前に立つな、後ろは言語道断だ!!
死にたいのなら構わんが、天界行きは保証せんぞ!!」
「皇帝に逆らう奸賊がぁあああっ!!」

大乱戦の真っ最中である。
峠越えルートが最短で、しかし攻めるに適していないのは、アリティア側から見た話。
友軍が通るには、ただの近道だ。

位置的にはアカネイアの北に位置するオレルアンは、言うまでもなく皇帝ハーディンの故郷にして、ハーディン即位により莫大な恩恵を受けた地である。
それはアカネイアと同等以上の栄華を得たと言っていい。
そして、アリティアがグラを落とし、まさに今よりアカネイアに攻め込まんとする時に、援軍を送らぬ道理はなかった。
オレルアンからも最短となる、この峠を使わない理由もない。

裏をかいたはずの峠越えで、偶然にも、グルニアに代わって大陸最強となった騎馬部隊、オレルアンの『狼騎士団』と鉢合わせする事となったのである。
しかも隊列が伸びきったところに、見下ろされて突撃されるという、一番やってはならない失策を、本当に全く偶然に喰らう形で、だ。

この逆落としで既に部隊一つ潰され、未だ応戦中である。伸びきった隊列ゆえに、引くも進むも思うようにはいかない。

「一旦麓まで引く!! 体制を立て直すぞ・・・ しんがりを勤めてくれ!!」
「僕に続け!! ・・・」

ルオは続けて、しんがりをつとめる者たちの名を叫んだ。


選択肢

はい、いきなり始まってます。
完全に裏目に出ちゃったルオ発案の峠越え。
まずは『狼騎士団』を押し留めないと。
メンバーを選んでください。
ルオは出しましょう。あと10人。

ええとルオ以外・・・
ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
カタリナ、シーダ、マリク。
ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、サムソン、シーマ。
トーマス、リカード、チェイニー。


そして狼騎士団。
ハーディンの腹心である、ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラクらも参加する、大陸最強騎馬部隊です。
全員が銀の装備を持つ精鋭。
どうしますか?

1・一目散に西に後退する。
2・こちらも精鋭で峠を抑えつつ、半数(マルス含む)を西の方に逃がす。
3・中堅部隊で峠を抑えつつ、東の砦を陥落させてしまう。
4・力負けするとは思えないので、応戦して狼騎士団を全滅させる。

西に村がありますが、1・2は後退した時ついでに、3はワープ&レスキューで、4は殲滅後に訪ねることになります。


では、どうぞ。

by おかのん


>>おかのん
投下サンクス
あのTHE・二軍どもも出世したものだ…
ヲレはロシェだけ使ってたような気もしますが

面子が
ルーク、ロディ、セシル、ライアン、フィーナ、シリウス、マリーシア、リンダ、ミネルバ、チェイニー。

このクソ堅い連中で既に察しがついたと思うけど、2ですな。
ワープとかは正直温存しておきたいし;
by ぽ村
by ぽ村 (2012-11-21 15:06) 

ぽ村

というわけで、修正含めて移転しただ

不備があったらよろしくにん♪

by ぽ村 (2012-11-21 15:07) 

ぽ村

>>おかのん

うm、とりあえず目に付く不備が無いようで何より

そして投下乙

最終決戦が近いのか
まだ少しだけ続くような気もするが

皇帝より地位が上な国王って、歴史的な例がちょっと欲しい感じ
あくまで狼騎士団の価値基準ってことだろうか



でわ寸劇

ミネルバ「美味だな。前線の陣屋でこれほどのケーキが口に出来るとは思わなかったぞ?」
カタリナ「ありがとうございます」


リンダ「(ケーキ美味しい(´~`)モグモグ)」
カチュア「(もう本題とかどーでもいーやーwwww)」
ミネルバ「許す。お前も席についてくつろげ」
カタリナ「はい。」

カチュア「(ぬああああああああ、さも当然のようにルオの介の隣に座った!!!しかも近い!とても近い!!)」

ルオ「カタリナ、このケーキとても美味しいよ!( ^ω^ )ニコニコ」
カタリナ「そう?あ、ほっぺにクリームが(ひょいパクッ)」
リンダ「(ルオの慎のほっぺたクリーム、拾って食べたあああああああああ!!)」
ルオ「Σヽ(´∀`*)ノ ワッ!!」

セシル「カタリナ・・・・・・さん?隊長にはアイシャさんが居るのだけど?」

カタリナ「知ってますよ?」

セシル「ならあまり親密そうな態度は」
カタリナ「問題ありません」
セシル「何が?」
カタリナ「アイシャさんと一緒に囲ってもらいますから」

「「「「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブーッ!!」」」」

ルオ「かこう?って何かこうって」
リンダ「なんでそうなるの」

カタリナ「( ´,_ゝ`)プッルオほどの戦力と能力のある人間を、マルス…様は放っておきません。それに見合った俸禄と地位を約束してくれるでしょう。ならば、相手をする女性は1人では無いはず。・・・・あなたも今のうちじゃないの?セシルさん」

セシル「ッッ!!?」

ルオ「( ゚д゚)ポカーン」
リンダ「(こわいこのここわい)」
カチュア「(もう・・・目の前のケーキに逃避してよう・・・・)ああ、ケーキおいしいわー」
セシル「なんで私が(って冷静に考えたら、ここでアプローチ損なうとずっと上司と部下のままで、気付いたら今が一番近い時期でいいえでも、ルークと今度遠駆けにロディとは今度小物買いにライアンとは今度弓の使い方を手取り足取りおそわt)」


ミネルバ「控えろ下郎。笑わせるな」


カタリナ「?」


続く
by ぽ村 (2012-11-24 02:30) 

おかのん

>皇帝より地位が上な国王
ハーディンの実の兄でもあるし、お伺いも立てずに戦に巻き込むわけにいかない・・・くらいで、もしこの場にハーディンがいて「構わん、やれ」って言われればやったでしょうね。
命令を聞いたというよりはそっち。狭い峠の乱戦では何が起こるかだし、人質ともとれる。脅されて書かされたのかもとも思える。勝手な判断は出来なかったかと。
あくまで「オレルアン騎士団、通称『狼騎士団』」ですから、ウルフはハーディンの命を受けたとしても、直接の上司は国王でもあって、無視するわけにもいかない力関係があったかもしれません。
というか、ゲームの流れでそうなってるので、どういう考証でそうなったのかまでは測りきれない。むむむ。

・・・案外何も考えてない確率もあるんだよなー・・・結構ツッコミどころ多いし。FE.

そして寸劇更に続くんですか。

by おかのん (2012-11-24 08:37) 

ぽ村

>>おかのん
あー・・・納得した。
会社で考えると余計になw
解説サンクス

あと、返信で入れ忘れてたが、繊細一隅は千載一遇なんだろうか?

そしてヲレらが余計なことしなければ、帝都のクーデターは成功してたのだろうか(んなわきゃねーけどw)
by ぽ村 (2012-11-24 15:59) 

おかのん

Or2
なんだ繊細一隅って・・・すいませんごめんなさいその通りです完全にワープロ病だ。一の字が同じだけで確認もせずにエンターして、見直した時もスルーしてる・・・

>余計なことしなければ、帝都のクーデターは成功してたのだろうか

その場合こちらの被害が甚大でしょうけどね。坂落としの有用性は義経の逸話が証明してるし。(アレがマジかどうかは置いといて、山の上に陣取るのが有利なのは当たり前だし)
そして、挟撃されたが故にあっさり敗れたとはいえ、成功させられたとは私も思えません。
腐っても正規軍と素人市民軍、全員参加でもないと無理かと。

by おかのん (2012-11-24 21:02) 

ぽ村

「僕に続け!! ええと・・・元第七とフィーナ、シリウスさん、マリーシア、リンダ、ミネルバ王女!!」
「俺も出ようかー?」
「いや、チェイニーさん。アンタ要らないわよ」
「そう言われるといたくなるねえ」
「子供か!」

どちらにしろ乱戦のさなか、出てくるなといったところで、安全圏があるわけでもない。

「とにかく、村のあたりまで後退を・・・」
「マルス王子!! オレルアンからの使者が・・・
オレルアン王があの村に来てるそうよ。話がしたいって!!」
「・・・え・・・?
どういう事? オレルアン王はハーディンの兄にあたる人、話って言っても・・・」
「王子、もしかして、この戦い自体、オレルアン王の本意ではないのでは?」
「ジェイガン・・・ けど、そんなことがあり得るのか・・・?」

しかし、藁をもつかむ思いで会ってみると、その通りであった。

「ハーディンは変わってしまった。あやつにこのまま皇帝の座を任せておくことは出来ん。
狼騎士団はハーディンの私兵のようなものだが、さすがに直接の命もなしにわしを殺す事は出来ん筈。
一旦この場を引かせることはできよう」


 ・


「な・・・オレルアン王からの撤退命令だと!?」
「はっ!! 間違いなく本物であります」
「馬鹿な・・・ウルフ、どうするんだ!?」
「お、オレルアン王に弓引くわけにはいかないよ」
「黙れロシェ!! くっ・・・ 千載一遇のチャンスだというのに!!」
「だがビラク、ハーディン様にお伺いも立てずに、兄王に逆らうわけにもいかん。
無念だが、このままパレスに向かうしかあるまい」

こうして、狼騎士団はパレスに向かうこととなり、アリティア軍は、九死に一生を得た。

しかし・・・


 ・

「では、オレルアンは狼騎士団以外は、僕らの味方を・・・」
「うむ、そなたらは知らぬかもしれんが、この数ヶ月でハーディンに対する不満はもう膨れに膨れ上がっている。
アカネイア民でさえ耐えられぬ税や締め付け、規則。歪な法律、兵どもの横暴な態度・・・
もうアカネイアはおしまいじゃろう」

ファイアーエムブレムをマルスが持っていることもいつの間にか知れ渡っていて、ハーディン倒すべし、真の逆賊はハーディンであると言っているものもいるほどだとか。

そんなこともあってか、アカネイア側の麓の砦も、蜘蛛の子を散らすようであった。

オレルアン王は、真の覇者に対する忠誠の証として、オレルアンの国宝、命のオーブを差し出した。

その後の進軍は順調に進み、もうすぐパレスをその目にすることとなるだろう。

「これで後は、ハーディンの持つ闇のオーブがあれば、紋章の盾は完成する・・・」

(紋章の盾がその力を失ったことが、僕がこの世界に迷い込んだことと関係しているかもしれないってことだった。
完成したとき、僕はどうなるんだろう)

ルオは気がかりであったが、その時になってみないとわからないことでもあった。
人一人異世界から連れてくるほどの次元の歪みが元に戻る時に、どうなるのか。偶然歪んだ時にその場にいたと言うだけなら、ルオと歪みに因果がないというようにも取れる。つまり、歪みが戻るだけで、何も変わらない確率ももちろんあるのだ。
それでも、原因が解明されねば話が進まない。少なくともルオがここに来た理由がそのことであってほしいと願うのみだった。

そしてそれは、アイシャとの今までに、どういう形であれ、ひとまずの決着がつくということである。

そんなことを考えていた時、ペガサスナイトが飛び込んできた。

「マルス様ーーーっ!!」
「カチュア!?
どうしたんだ一体!!」
「ア、アカネイアの様子を見に行っていたんです。
アカネイアでクーデターが勃発!!!
アカネイア騎士団を中心とした市民軍の蜂起だったのですが、狼騎士団の予期せぬ到着が原因で完全に失敗!! 首謀者であるミディア将軍も捕らえられ、関わったものは皆処刑されていっています。ミディアどのの首が飛ぶのは、一週間後!!」
「なんだって・・・・・・!?」

狼騎士団の撤退は、クーデターの失敗を招く結果となってしまった。

そして・・・

最終決戦の時はすぐそこに迫っていた。

第18章 峠の戦い 終
by おかのん
by ぽ村 (2012-11-25 01:16) 

ぽ村

>>おかのん
希望は無かったけど、とりあえずいつものパターンで直しといたよん♪
by ぽ村 (2012-11-25 01:29) 

おかのん

ありがとうございました。
ではでは続きを。


第19章 最後の決戦

「・・・構わん、やれ」

それが皇帝の言葉だった。
その響きの冷たさに、4人ともが身震いした。
そして、来る途中に見た街の様子。自分たちを毛嫌いし、恐れ、心の底から憎悪した眼差し。

オレルアンはひろき草原の国。しかしそこに生きる草原の民は、皆貧しい生活をしていた。
そこに目をつけたのがハーディンである。
彼らの持つ馬術や強靭な体を、騎馬部隊としてまとめ上げたのだ。
それによって草原の民すべてが、農民の生み出す豊富な食料の恩恵を受けた。強力な騎馬部隊は、野盗や野犬をことごとく追い払った。
互いに支え合う関係の中で、祖先に貰った生き方を変えることなく、貧しくとも誇り高かった草原の民は、豊かな生活を送ることができるようになった。

草原の民にとっては、特に四天王と評される、ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラクには・・・
ハーディンとは、まさに彼こそ皇帝であり、父であり兄であり、神にも等しかった。

彼らにとって、アカネイアのこの惨状と、ハーディンのかつての政はどうしても結びつかなかった。
短い時間の中で、皇帝の威光をかさに私腹を肥やす者、間諜や裏切り者がいないか調べ尽くした。
しかし、調べれば調べるほどに、ハーディンの悪辣さが証明されるだけであった。

信じたくない事実だけが浮き出る調査の最中であった。
逆賊アリティア軍が姿を現したのは・・・


 ・


「ロシェ、ビラク、お前は中隊を率いて東の山を越えろ。アリティア軍を挟撃する」
「ああ」

返事は、一つだった。

「ロシェ?」
「ぼくは・・・行かない。一人で考えたい」
「・・・っ 貴様」

柄に手をかけるウルフ。それをザガロが止める。

「やめろ! ・・・ロシェ、裏切る気か?」
「違う。でも・・・ 僕は、もう一度街の人たちの話が聞きたいんだ。
このアカネイアが本当にハーディン様が望んだものなのか。どこで間違ったのか」
「間違っているのはアリティアだ!! 奴らめ、グルニア、マケドニアと組んで、暗黒戦争をやり直そうとしているんだぞ!!」
「・・・マルス王子とは、そんな方だったか!?
彼の方の打ち立てた功績は、世界を救ったと同義だった。望めば彼こそ皇帝となれたんだ。野心があったなら、その時にとっくに・・・」
「違う、あの男は戦争がしたいだけなんだ!! そうでなければ、あんな反乱など・・・」
「やかましいっ!!」

・・・ザガロの一喝が、全員を黙らせた。

「ロシェ。いいから行け・・・
ウルフ、ロシェが納得しなければ意味がない。好きにさせてやろう。
もしかしたら、ハーディン様の無実を証明する何かが、そちらから出てくるかもしれないじゃないか」
「・・・・・・」
「ザガロ、ありがとう・・・」
「俺は、いがみ合うのが見たくないだけさ」

ロシェは、その日以来パレスから姿を消した。
アリティア軍は、すぐそこまで来ていた・・・


 ・


パレスを取り囲み埋め尽くす大兵団。
数百機のシューター、数万の聖騎士、騎馬弓兵。

「アカネイアの兵力のほとんどをここに集結してあるらしいわ。さすがにうかつには近づけない」
「皇帝は伊達じゃねえか・・・」
「しかし、市民の声はアリティアを歓迎している。アカネイア軍は装備は最高のものを揃えているが、殆どはそれに頼ったゴロツキばかりだ。
アンリの道を越えてきた我らがアリティアとは士気が違う」
「戦は数だけではないっていうのは、僕らの戦いが証明していますしね」

元第七の面々は気楽に話しているが、文字通りの最終決戦だ。
街の防衛や後方の詰も必要になる。主に前線に出るメンバーを、マルスとルオは検討し始めた。


選択肢

まずメンバー。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
カタリナ、シーダ、マリク。
ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、サムソン、シーマ。
トーマス、リカード、チェイニー。

ルオは入れるとして後10人です。

そして、村への対処。

1・行けたらでいいや。
2・ワープでマルスを送ってでも訪問する。
3・飛兵を送り込んで盗賊を防ごう。
4・その他(要記述)

3の場合は飛兵を必ず出陣させてください。
2の場合は、何ターン目あたりにワープしたいか記述を。盗賊が来そうなときにはその場でワープさせます。

では、どうぞ。
by おかのん (2012-11-25 17:59) 

おかのん

うわああああ最初の前半部分が消えてるううう。
新しいの入れたんで消しといてください・・・
by おかのん (2012-11-25 18:00) 

ぽ村

>>おかのん
怪奇現象でしたな・・・・

なので消しといた

投下サンキュ
タイトルに偽りあるだろその名前;

ロシェ「ギャアァァァァ━━━━━━(|||゚Д゚)━━━━━━!!!!!!」
ビラク「ロシェがやられたか・・・」
ウルフ「しかしヤツは我が四天王のなかでも最弱・・・・」
ザガロ「(ΦωΦ)フフフ…」

・・・いや、四天王って聞くと我慢できなくて;

メンバーですが
ルーク、ロディ、セシル、ライアン、ナバール、フィーナ、マリーシア、リンダ、カチュア、シーダでいってみようじゃない?

カチュアやシーダは撃墜されんよう気をつけて


作戦だけど、シューターの範囲が心配しないで済むなら飛兵先行+マルスを応援で高機動化。

どうにも数やターンが間に合わないならワープを使う感じでも良いかしら?

by ぽ村 (2012-11-26 03:07) 

おかのん

4ですな。2と3の合わせ技ですか。

>タイトル

実際のタイトルですし。私は悪くありませんw

>四天王

最弱はビラクな件w
by おかのん (2012-11-26 07:21) 

ぽ村

>>おかのん
ビラク「(´;ω;`)ブワッ」

ウルフ「この中に要らない子がいまーすwww」
ロシェ「ちょっwwwww」

まぁ、チミら4人とも要らない子と思うんだけどね★

by ぽ村 (2012-11-26 14:30) 

おかのん

>四人ともいらない子

うん・・・
よほどひどい育ち方した軍でないと、彼らの入る余地はないですね・・・

というかですね。

17章終了時に『フロスト』というじいちゃん司祭が入ってくるんですが・・・
シーマとサムソンのドラマに酔いしれて書いてたら、すっかり忘れてました。

フロスト「(´;ω;`)ブワッ」

・・・まあ、まず使わない人ですけどね。他の魔導系が全員死んでるとかでもないと。

ハーディンとミネルバ、両方の知り合いです。


では続き。



ならず者どもから街を守った時に、そこに狼騎士団、ロシェの姿があった。

「君は・・・どうしてこんなところに?」
「マルス様・・・ 皇帝は、ハーディン様は、一体どうされたのか・・・
街の声を聞いていたのです。怨嗟の、罵詈雑言の数々でした。何度、そんなはずはないと叫びたかったか・・・

ウルフ達の目を覚まさせないといけない。
どちらにしろ皆傷つくことになるけど、それでも」
「・・・出来るのかい?」
「ウルフやザガロは無理です。でも、ビラクは聞いてくれるかもしれない」
「・・・なら、話してみてくれ」

ビラクは挟撃のために、後方から駆け込んできていたのだ。

「ロシェ・・・!?」
「ビラク! 剣を納めてくれ」
「お前、ハーディン様を裏切る気か!?」
「そうじゃない! でも、今のハーディン様がおかしいのは、みんなだって分かってるだろう!?
僕だって信じようとした。あの日の、草原の民の誇りと暮らしを、どちらも守ってみせる、ついて来いと言ってくれたあの姿を!!
だからこそ今のあの方のなさりようが、わからないんだ!!」
「・・・・・・」
「マルス様に会ってわかった。マルス様は変わっておられない。
そう分かったら見えてくるものがあった。マルス様の野望が嘘だというなら、グルニアの件も、マケドニアの件も、説明がつく!!」

そこに、駆け込んでくる弓騎兵がいた。


「それがお前の答えか・・・」
「ザガロ!!」
「待てザガロ。ロシェは気弱で、優しい奴だ。だから、人を見る目がある奴だった。そうだろう?
そのロシェがマルス様を、変わっていないと言っている。
やはり、おかしいんだ」
「しかし・・・」
「聞いてくれザガロ!! 俺はニーナ様より、マルス王子より、ハーディン様を信じたい。そう思っていた。けど・・・
ここを襲っていた奴らの中に、パレスで見かけた奴がいた・・・この街を襲わせたのはアカネイアだ!」
「!?馬鹿な! どうして自分の領地の村を襲う必要が・・・」

口を挟んだのはアイシャだった。

「ほうっておけば、ここが私達の前線基地になり得るからよ。あなたたちはごまかせても、飢えた領民の怒りはごまかせない」
「・・・・・・」

ザガロも、気づいてはいたのだ。だから、反論ができなかった。

「ハーディン殿なら、わしも知っておる。
マケドニアがオレルアンを攻めた時に、わしの魔導の才を利用しようとしたならず者に家族を人質に取られ、村を襲ったことがある。その時、ミネルバ殿とハーディン殿は、敵味方を超えて領民のため、共に戦ってくだされた」
「ぬ、フロスト殿か。いつの間に我が軍に。
・・・そうだな、だからこそ私も信じられん。今の皇帝のありようが・・・」
「ザガロ殿、ハーディン殿を信頼しているあなただからこそより強く分かるはずじゃ。今の皇帝はおかしい、と」

ザガロは、しばらく押し黙り、

「・・・ウルフとは、俺が話そう」

そう言った。

麓の部隊を全滅させ、砦を抜ければそこは魔王の城、パレスである。

「みんな、準備はいいか。おそらくパレスを取り巻く砦には大兵力が潜んでいる。正念場だ!!」

ルオは激を飛ばすと、坂を駆け上がっていった。


選択肢

大兵力を相手取りながらウルフとザガロが話すのは少々難しいです。

1・それでも頑張って話す
2・諦める

1の場合、その方法は?

1・ウルフの弓を受けるのは覚悟で、他の敵が全滅するまで耐える
2・ウルフがこちらに来れるところまで引き寄せてから話し、そこで行動の終わるザガロはレスキューする。
3・全軍突っ込んで、そのどさくさで会話させる。
4・その他(要記述)


ではどうぞ。

by おかのん (2012-11-28 11:31) 

ぽ村

>>おかのん
ヲレもロシェ使いながら「コイツはねぇ…;」
とか思っていたおw


選択肢で言うと最初のは「1」でないとイカンと思うのよね。

2番目は「2」が良さげだが、レスキューしないとヤヴァイ?片方をレスキューしてももう片方が助からないでは意味が無いような気がするんだけど

by ぽ村 (2012-11-28 16:48) 

おかのん

>もう片方が助からないでは意味が無いような気が
こちらのターンで話しかけると、ザガロはそこで行動終了しますが、ウルフはその場で仲間になり、『行動できる状態で』仲間になるのでおkです。後は防衛線を敷けばいいわけで。

>ロシェ使いながら「コイツはねぇ…;」
新紋章ではそんなでもないんですが、むしろどいつもこいつもそれなりに使える(使えないのは老人連中なのですが、彼らにしてみても入った当初はお助けキャラだったり、武器レベルの高さから別の使い道があったり)もので、好きでもなければ使いません。
旧紋章二部のタイミングの悪さとステータスのキツさは泣けます。
そして四天王はロシェ以外会話さえ発生しません。みんなハーディンを盲信したまま、「地獄に落ちろ逆賊どもめ!!」みたいな捨て台詞とともに散る勢いです。

ただ、旧紋章第一部では強いはずなんです。成長率的には。カイン、アベルと比べても互角以上。
・・・運が悪かったのかも。

by おかのん (2012-11-30 01:10) 

ぽ村

>>おかのん

おうなるへろー
ならばレスキューでFA・・・だけど、複数回数残ってるなら、ね?
まだ使う機会あるだろ皇帝の時にw

>運が悪かった
あの4馬鹿違う四騎兵連中の中では、結構いい成長率なので使ってたんだがなぁ。。。。
すばやさが上昇しなかったのが特にイタイ;
by ぽ村 (2012-11-30 08:56) 

ぽ村

寸劇

ルオ「(あの、「囲う」って何ですか?)」
リンダ「ゴニョゴニョ…(ノ゚д゚(; ̄Д ̄)」
ルオ「(*´Д`)!!!?」


ミネルバ「囲って貰うとは、下賎な身分なりに考えた立場かも知れぬが、残念ながら浅はかな思考だ」

カタリナ「・・・・・」

ミネルバ「なるほど、英雄は強い子を残さねばならん。義務ともいえる。相方も多いに越したことは無いだろう。しかし、その相方にも『資格』があることを忘れるな?」

ばん!
ルオ「ちょっと、待ってください!何ですかその言い方。カタリナはそんな酷い云われをされる子じゃない!」

ミネルバ「元暗殺者で、暗殺業をしてる頃はマルス王子を執拗に狙い、お前を利用し、我が軍にも多くの犠牲を強いた娘がか?」

セシル「そうですよ!隊長は甘すぎます」

ルオ「僕は今も以前もカタリナを信じてる。今だって軍に貢献してくれている!下賤なんてそんな酷いこと・・・(´;ω;`)ブワッ 取り消して、ください」

ミネルバ「何もかも取り消しようの無い事実だろう?隊長殿の妙な博愛主義も・・・・いや、それとも…そうやって情で釣って上手く利用するの主義なのか?あまり感心できん手段だが・・・・」

ルオ「それはアイシャの事も言ってるんですか?」

セシル「(ヤバイ隊長。目と口調が据わった)」

ミネルバ「酔狂ならほどほどにしておけ、と忠告してるつもりなのだが?ヽ( ´ー)ノ フッそれとも、やはり囲うつもりなのかそこの暗殺者も、隻眼の盗賊も?私が思うにそこのセシルが立場的にギリギリと思うがな?」
セシル「Σ(゚д゚lll)(そこで振るの?!あああ、でも、一番抵抗が少ないかもゴメンルーク、遊びじゃなかったのよロディ、ライアンちょっとした出来心d)」

ルオ「最後に言います。取り消してください。でないと」

ミネルバ「でないと?抜くのか?腰のものをw・・・・仕方ない。では判りやすいように教えてやろう。カチュア。私はあのえーっと、なんだ、リガ・・・リガードとかいう少年を婿にするぞ?」

カチュア「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブーッ!!」

リンダ「(;^ω^)うわ、きたなっww」

カチュア「ナニおっしゃるんですか姫様、もっとご自分の立場をお考えになってください!」

ミネルバ「・・・・・・隊長殿、判ったかな?資格無きものに対する周囲の反応がコレだ。怒らせたことは謝るが?」

ルオ「そんなもの関係ありません。はぐらかさないでください。さっきの発言を取り消すのか、取り消さないのか」

カタリナ「判らないの?ルオ。ルオが、私のことを信じてくれるのは嬉しい。アイシャさんがが大切ってのも判る。でも、周囲はそれを歓迎するとは限らない。仲間でもこうやって不信感もある。なら、一部の情報しか届かない人々は、それを感じることが出来るのかしら?」

ミネルバ「醜聞好きな連中は上にも下にも多く居る。『親衛隊長殿は昔マルス王子の命を狙った女を囲っている』『盗賊の親玉の娘も居る』。こんなところか?。反逆者の疑いが湧きそうな材料だ。
好奇の目で見られる家中の者達や、子等も当然。
・・・・上司である王子にも、批判の矛先は向きかねない。
親衛隊長殿は戦後、王子の政敵に好材料を与えるわけだw」

ルオ「Σ(゚д゚lll)ガーン」

カタリナ「・・・・こんな大きな話になるなんて・・・・おっしゃる通りです。ミネルバ様。出すぎた発言でした。申し訳ありません。ルオも、ありがとう。でも、ミネルバ様の言うとおり。ちょっとルオの人の良さに浸け込んだだけなの。ごめんなさい」

ルオ「・・・そんな・・・・」

ミネルバ「当人も納得したようだし、話はココまでかな?
もうすぐこの戦も終わる。
勝つか負けるかはまだ判らんがな?
生きるにしても、死ぬにしても、そろそろ隊長殿の妙な博愛主義も何らかの形で解決するべきだろう?」

ルオ「解決って・・・」

ミネルバ「それを聞き返さないで欲しいな?後々の禍根は残さない方が良いだろう。なら判断は自分でしろ」

ルオ「あなたには聞いていません」

ミネルバ「┐(´д`)┌ヤレヤレ失礼した。」

ルオ「でも、その後の話を考えろと言うのは為になりました。・・・・礼は言いませんよ(つかつか)」



リンダ「(軽く修羅場だった・・・・)」
カチュア「(ああああ、もうケーキ無くなりそう・・・・)」

ミネルバ「(紅茶ずずず)・・・・・・・・で、こんな感じでよかったのか?」
カタリナ「はい、ミネルバ様。役者でしたわ」


「「(; ・`д・´) ッッッッ!! (`・д´・ ;)」」


しつこく続く
by ぽ村 (2012-11-30 20:33) 

おかのん

何この私の好きなベクトルの王侯貴族系昼ドラw
カタリナ役者すぎるw(さすがといった感じ?)

時系列がわかりにくいですけど。いまクライマックスでインターミッションがないので・・・
グラの前後あたりしかないかな?

by おかのん (2012-11-30 21:06) 

ぽ村

>>おかのん
原作レイプ寸劇なので、お叱りを受けると思いながら特攻してるのにこりゃまた嬉しい反応w

時系列は深く考え無いことにしとる;

しかしタイミング的にはソコだろうねぇ
by ぽ村 (2012-11-30 21:46) 

おかのん

では続きー。



ルオは激を飛ばすと、坂を駆け上がっていった。

砦から出てくる増援は、山道に殺到する。

「ひるむな!! 今こそ、帝国の支配を打ち破るんだ!!」

その中で、銀の弓で小隊長クラスを次々と射る男がいた。

「ウルフか!!」
「ザガロ!? 貴様、なぜアリティア軍と轡を並べている!?
ロシェ! ・・・ビラク!? お前達もか!!」
「ウルフ!! 話を聞け」
「だまれこの逆賊どもが。裏切り者がァっ!!
俺は俺一人になっても、ハーディン様についてゆく。この身を楯にしてあのお方を守る!!」
「・・・それが、ハーディン様の御心に背くこととなってもか」
「なんだとっ!!?」
「お前も覚えているだろう。ハーディン様が我らを取り上げてくださった時と、皇帝になられた時だ。
あのお方はこういった。
『もし私が道を間違えた時には、お前達が正してくれ』と・・・」
「・・・・・・!!

今が・・・その時だというのか。


その時は、そうしようと思った。そう誓った。
それは、ハーディン様だからこそ、耳を傾けてくださると思ったからだ。
だが、今は・・・」
「ああ、今それをやれば、民たちは気が済むまい。
ハーディン様のお命でなければ、贖えまい。
しかし、俺達がその誓を心に留めた時・・・
その時のハーディン様こそが、俺達の守ろうとしたハーディン様だ。
同じハーディン様でもある。それでも・・・
このまま、今の『暗黒皇帝』を守ることは、ハーディン様の本意とは思えない」
「けれど、今の皇帝は、 ・・・ハーディン様だ!!!」

低い嗚咽が、未だ乱れる戦場の空気を変えることはない。最中に言を交わしあうなど愚の骨頂だ。
それを可能にしたのは、彼らを取り囲むアリティア軍の防衛線。その中で・・・
ウルフはつぶやいた。

「そうだ・・・あの日のハーディン様を裏切るわけには行かない。あの時の誓いを破るわけには行かない。
・・・なあ、教えてくれザガロ。どうして・・・
どうしてこんなことになったんだ」


それに答えられるものはここにはいない。
ウルフはすでに戦意をなくしていた。

 ・


砦からの増援を残らず片付け、城門を守るネーリング将軍を討ち取った。

そこにアイシャが来る。


「マルス王子、ボア司祭が砦の一つに幽閉されていたわ」
「お連れしてくれ」

横たわったまま連れてこられたボアの状態は、今にも事切れそうだった。

「一体、どうされたのです・・・?」
「マルス王子・・・
頼む、ニーナ様を助けてくれ。ハーディンはニーナ様を・・・」
「はい、ガーネフに差し出したと、本人が言っていました。王は自分ひとりでいいなどと・・・」
「おおお、すまぬ、すまぬ・・・私のせいだ・・・
暗黒戦争の後、私はニーナ様に婿を取ることを勧めた。アカネイアには、新しい王が必要だったのだ。
相応しき英雄、マルス王子かハーディンのどちらかを・・・と。
ニーナ様は、マルス王子にはシーダ姫がいる。彼女を泣かせたくはない。ハーディンを、と・・・」
「ま、待ってください。そんな決め方だったのですか!?
彼女の、カミュ将軍にまつわる話は僕も後で聞きました。自害しようとする彼女を、王族の責務の放棄であると叱ったり、立場を犠牲にしてでも彼女をオレルアンに逃がしたりと・・・
ニーナ様も、それがためにあのお辛い運命を乗り越えたと・・・!
ハーディンを選んだのは、苦楽を共にしたオレルアンでの日々があったからと思っておりました。カミュ殿とのものと比べても、見劣ることのないつながりを築かれていたのだと!」
「そうじゃ・・・ニーナ様はカミュ殿のことを忘れられずにいた。実際、その死を目にされたわけでもない。
しかし、たとえ生きているとしても、敵の将軍との事。皇帝に迎えるなどあってはならぬことであった。
ハーディンは喜んだ。皇帝の位などではなく、ニーナ様に選んでもらったというそのことが、何よりも嬉しかったのだろう。
彼は善き皇帝であった。しかし・・・
ある日、彼は気づいた。ニーナ様のお心が、自分にないと。
それからの彼は反動で奥深くまで沈み込み、酒をあおって誰とも会わなくなった。
その心の闇を、ガーネフにつけ込まれた。闇のオーブによって、悪鬼に変えられてしまった・・・

マルス王子。ハーディンを頼む・・・
人の心だけは、どうにもならぬ。せめてもっと時があれば。カミュへの思いが薄れるまで待てば・・・
ハーディンへの信頼が愛に変わるまで待てれば・・・
おおお、すべてが、わしが事を急いだせいで、全てが悪い方向に行ってしまった。わしは彼が悪鬼に変わる瞬間を見てしまったのがばれ、今まで幽閉されていたのだ・・・
マルス王子。アカネイアの名など、もうどうなろうとかまわぬ。ただ・・・
ハーディンにせめて、彼の運命を狂わせたことを謝りたい。そなたも知る通り、彼は英雄であったのだ。こんなことに巻き込まなければ・・・
そして、頼む。ニーナ様を救い出して欲しい。
すまぬ、すまぬ・・・」
「そんな・・・
皆、哀れだ。そして、それに振り回されて、一体どれだけの人が・・・」
「すまぬ・・・・・・」

あの時の・・・
魂の橋での彼の言葉が思い出される。

『そもそも最初からカンに障ったのだよ貴様は。
戦場のなんたるかもまだ手探りのようなガキが、勇者アンリの子孫というだけで、アカネイアの覇者の証を手にしおって。
その後のことにしても、各国の英雄たちが成し遂げたことを全て自分の手柄にしてしまいおって。
身の程の多少はわきまえていたと見えて、何を褒美にねだることもなかったが、そのおかげで莫大な名声を手にしおった。
『世界を救いながら何も求めぬ、清廉の英雄』などと!!
おかげで各国が荒廃から未だ立ち上がれぬ中、各地から移民が絶えず、アリティアは急速に復興し、既に各種祭りや、騎士団の再建まで終わっている。

貴様は国ごと目障りなのだ!!

しかもニーナめ。俺があそこまでつくしてやっているのに、ファイアーエムブレムを貴様にやってしまったというではないか!!
アカネイアの覇者の証が他国の王の手にあるなど言語道断だ!!恥となるので公表はしないが、なれば我自ら取り戻さねばなるまい!!!

死ね。
死んでアカネイアの礎となるがいい!!
この腐れた大陸は、貴様の墓標がお似合いだ!!』

『殺してやる、殺してやる!!!
ニーナもガーネフにくれてやったわ!!!
アカネイアの王たる存在は我一人でいい!!
他は皆死ね!民さえも死んでしまえ、いや民こそ死につくせ!!!
人間などどいつもこいつも醜すぎる!!
すべてが死に尽くした荒野に、この俺が君臨する未来のみが、この大陸のあるべき姿だっ!!!』

それで。
それでこの、人の生きる世すべてを恨んだというのか。

もし、シーダが心変わりしたら。
誰かに穢されたら。

それを思うと、マルスも狂いそうになる。気持ちを察することはできるつもりだ。
自分の全てを捧げても届かない、変えられないそれに、一体どれだけの人間が耐えられる。

同情には値する。
しかしその結果やった事については、許す余地がない。

彼はもう、死なねばならない。
彼の命だけでは贖えないが、彼の命を奪わねば民はおさまらない。
生かすことを、選べない。

・・・それでも。
かつての英雄を、仲間を、見捨てたくはない。

『志を同じくする者が、いがみ合う元となることは少ないほうが良い。
アンリの末裔よ。自由をもたらす我らの同盟を導いてくれ。全力を持って支えてみせる』

アカネイア同盟軍を任せてくれたあの時の彼も、間違いなくハーディンなのだ。

「・・・ハーディンを、闇の呪縛から開放する。
光のオーブを持つ者だけが、それを可能にする。

全軍、戦闘配置へ!!


・・・パレスに、突入するっ!!!!!」


帝国暦2年。
歴史が一つ、終わろうとしている。

そして・・・


一人の、異国の青年の運命が、動こうとしていた。

第19章 最後の決戦 終
by おかのん (2012-12-01 10:11) 

ぽ村

>>おかのん

投下乙。
っつか、この最終局面で事実が全部出るのか;

てっきり裏設定含めたアレかと。
しかしボアって懐かしいわー・・・
ウチではレギュラーだったわーw

そして帝国暦。
すっげー短いわー
王莽の新より短いわーきっと。。。。
by ぽ村 (2012-12-02 01:01) 

ぽ村

寸劇

リンダ「え、なにどういうこと?」
カタリナ「不躾ながら、カチュアさん達の計画を耳にしてしまいましたので、見苦しく無いようにミネルバ様のご協力の下、修正を図りました。」
リンダ「見苦しいですって!?」

カタリナ「作戦名『ルオを女性陣で囲んでアイシャさんのことどーよって無理矢理吐かせる史上最大の作戦(★アイシャは隠れて聞いてね★)』が、見苦しくない計画とでも?」

リンダ「(;^ν^)ぐぬぬ…(確かに熱が冷めて聞いたら酷い名前・そして内容;)」
カタリナ「今の顛末、あなた方が計画していた私刑的・野次馬の自己満足的な解決法よりも隊長やアイシャさんの為にはなったと思いますが。・・・・女性陣の本心も聞けて私にも収穫ありましたし」

セシル「Σ(´∀`||;)ドキッ!!あぁ、あれはね、本心じゃなくてその場の勢いというかなんというか」
「「(見苦しい・・・・・・)」」


ミネルバ「・・・それより、ソコのクローゼットに押し込まれている者が苦しんでるのではないか?」

リンダ「ああ、ヤバ。(がちゃ)」

アイシャ「(ごろん)ふー。ふー。」
リンダ「や、やだなぁ、アイシャさん、途中で出てこないようにふんじばって猿轡噛ませたのは悪いと思ってるわよw;・・・・・放すのが怖くなるから、そんな目で睨まないで。。。。」

アイシャ「・・・・( ^ω^ )ニコニコ」

リンダ「は、放しますよー」
アイシャ「ふう・・・・・苦しかった・・・」
リンダ「あはははは、ゴメンね」
アイシャ「何とも無いわよこのくらい・・・でも!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!」
リンダ「Σ(゚∀゚ノ)ノキャー」

セシル「え、アイシャさん縛られて目覚めたの!?」

「「「なぜそうなるの!!!??」」」


ミネルバ「カタリナとやら。礼は良いから、新しく紅茶を淹れてきてくれ。それと、落ち着いた後でも隊長殿に取り成しを。恨まれるのは慣れてるが、やはり少ないに越した事は無いからな'`,、('∀`) '`,、」
カタリナ「仰せのままに」

リガード「ヘ(^ω^;ヘ)~コッソリ」

ミネルバ「そこの少年、お前も一杯くらい飲んでいったらどうだ?」
リガード「ギク━━━━━━(゚A゚;)━━━━━ッ!!!!」

「「居たの!!!?」」

カタリナ「気配は感じてましたけど、貴方でしたか」
リガード「いやだなぁぼくはとおりすがりのあわれなしょうねんですよ」
カタリナ「テーブルクロスの下から出てこなければ通用したかもしれませんね。その台詞」

リガード「あいや、カチュアさんのパンツが水玉なんて見てませんから!セシルさんの筋肉質足がまぶしいなんて思ってませんから、ミネルバ様が婿にしてくれるって聞いて吹き出してませんから!リンダはパンツくらいhギャアァァァァ━━━━━━(|||゚Д゚)━━━━━━!!!!!!」



アイシャ「ミネルバ様、その・・・ご迷惑をかけてしまって、ありがとうございます」
ミネルバ「現実を口にしただけだ。楽な役だった。」
アイシャ「(;^ω^)(やっぱ大物だわこの人)」
ミネルバ「あの様子だと、隊長殿は近日お前に重大な決断を伝えると思うぞ?覚悟だけははしていてくれ」
アイシャ「はい。・・・・そうですね多分;」

ミネルバ「その場で刺し殺すのは止めてくれよ?煮るなり焼くなりは戦争が終わってからで頼む(ΦωΦ)フフフ…」
アイシャ「(;゚д゚)ゴクリ…」


リガード「(凹)ぎゃああああ(凹)ぎぃええええええ」

カチュア「カタリナ、ケーキおかわりある?」
リンダ「そこ、ブレないんですね。。。。」


あと二回で完結する感じで続く。
by ぽ村 (2012-12-04 16:29) 

おかのん

な、なんか本文が変なずれかたしてる・・・?
なおしてくださいいい。

>ハーディンおかしくない
闇というのも一方の真実をあらわしますからにゃー。
しかしそれでは人は生きてはいけないというのも、恨まれていずれ引きずり落とされるであろうことも事実。
時も人もうつろいゆくモノなのですねい。
by おかのん (2012-12-05 11:18) 

ぽ村

どうでもいい話。
リカードです。リガードではないです。

そして後2回あるですか。
そしてどうなるかでこの話のエンディングも変わって来そうですニャー。

それはともかく続きー。



第20章 暗黒皇帝

建国より500年を誇るアカネイア王国。
その首都パレスが、アリティア軍の攻撃によって、一日足らずで追い詰められた。
ノルダ他、周辺の村や町の者たちはアリティア軍を歓迎し、アカネイア軍や親衛隊への恨み事を次々に告げた。

出来る事なら、戦いたくはない。闇のオーブの影響を受けていると知ればなおさら。
誰にでも、暗い感情というものはある。
なにも嫌う事がない者というのは、何も心から愛してはいないだろう。
誰にも嫉妬することがない者というのは、自分を磨くことが出来ない者だろう。
それを乗り越えることでこそ、生まれるものもあるのだ。ならば、誰がハーディンを責められるというのだ。

しかし、遅すぎた。
彼の命令で命を失った者、愛する人を失った者、生涯癒える事のない傷を負った者。
そんな民たちが、すでに溢れ返っている。

それでも。

「・・・まずは、勝たねば話にならない。いくぞ!!!」

命令を受けて、パレスに猛者達がなだれ込む。


 ・


「くくく・・・マルス王子共がこのパレスに入り込んできおった。
愚か者どもが。返り討ちにしてくれるわ」

玉座で胸をそらすハーディンの傍らには、縛られて組み伏せられたミディアの姿があった。

「貴様ぁっ・・・
ハーディンッ!! いい加減に目を覚ませ!! ニーナ様をどこにやった!!」
「ふん、あいつが裏切るからだ。この事態を招いたのはすべてあの女だ。
俺は俺に逆らうグルニアを潰せればそれでよかったのだ。それをあいつが、覇者の証、ファイアーエムブレムをマルスなぞに渡してしまったのが悪いのだ」
「・・・皇帝の座にいながら、他国の王であるマルス王子ほども頼りにされず、敵軍の将であったカミュほどにも愛されず・・・
その事で拗ねて、世界を相手にやつあたりか。随分に大げさで、救いようもなく惨めな男だな!!」
「だまれぇっ!!
なればこの世の理が、成り立ちが、その下らなさとどれだけ違う!?
力を持つ者が、ならず者を従えるのが国の始まりだ。王などというのは、元をただせば海賊のなれの果てだ。
貴様が忠誠を誓う聖アカネイアとて、一人の盗賊が興したものなのだぞ!!」
「・・・たとえそうだとしても、どう始まったかではない。今、どうあるかだ。
暗黒皇帝などと呼ばれる貴様がどう批難したところで!」
「・・・・・・ならばその下らぬ裏付けの誇りを抱いたまま死ね!! この玉座の間に入り込んだところで、即刻貴様の首を切り落としし、王子の足元に蹴り落としてやるわ。その時の奴の顔が見ものだ!!ぐは、ぐはははははははははっ!!」

ミディアがどう言ったところで、彼の耳に届くことはないだろう。
彼女はがっくりとうなだれた。


選択肢

まずメンバー。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
カタリナ、シーダ、マリク。
ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、サムソン、シーマ。
トーマス、フロスト。
ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラク。
リカード、チェイニー。

やはりここもルオは出しましょう。後10人です。
宝箱があるので、盗賊はいたほうがいいかもですね。

そしてミディアについて。

1・さっさとレスキューで回収する。
2・後でもいいや。

宝物庫はどうしますか?

1・速攻で開けに行く。
2・東側の突き当たりの部屋に皆が集まるまで待つ。
3・今は無視して先に進む。

ではどうぞ。

by おかのん

>>おかのん
指摘&投下乙。
あれだ。
マクロスの雑魚と被ったんだキット!

むう、ハーディンの言い分に微塵も反論の余地を見受けられん。
ヲレはいつでもハーディン様の味方やわw

メンバーですが
ルーク、ロディ、セシル、ライアン、
ナバール、マリーシア、カチュア、ミネルバ
リンダ、ジュリアン
でいってみよーか

この時のために温存してました
レスキューで回収

宝は伏兵怖いな
2でいってみまっしょい♪

by ぽ村
by ぽ村 (2012-12-05 15:57) 

ぽ村

>>おかのん
よっこいしょ。

こんな感じでどうかしら?

ワードからコピーするとこういうこと多いよな;
by ぽ村 (2012-12-05 15:57) 

おかのん

ありがとーございました。m(_ _)m

多いんですよ。ええ。

by おかのん (2012-12-06 10:35) 

ぽ村

>>おかのん
書式とかの違いとは思うけど、不思議( ´゚д゚)(゚д゚` )ネー
by ぽ村 (2012-12-07 17:25) 

おかのん

続きー。


「マリーシア、頼む!」
「レスキュー!!」

その詠唱の瞬間、空間が輝いた。
そしてそこから、先日クーデターを率いて失敗した、ミディアの姿が現れる。

「ミディア!!」
「マ、マルス王子・・・!? こ、ここは」
「パレス内部だ。魔法で呼び出して早々に悪いが、案内を頼む」
「は、はい!」

毒虫や蜂を使役する遠距離攻撃魔法『ウォーム』と、傭兵部隊のコンビネーションは厄介なものではあったが、対処出来ないようなものではなかった。
牢にいって、捕まった者がいないか確認したが、罠と宝があるだけだった。
しかもそれで挟撃部隊が襲ってくるという始末。
しかしそれらも、いまや名実ともに大陸最強のアリティア軍を阻むものではなかった。

天井が高く、広いパレスは、ペガサスナイトやドラゴンナイトでも不自由しなかった。

「マルス王子、大変よっ!!」
「アイシャ? どうしたんだ」
「この先の大広間、地竜が居るの!!」

全軍に動揺が走る。
地竜がいるということは、アカネイアは、ハーディンは、ガーネフ・・・メディウスと通じていたのだ。

「・・・好都合だな」
「ルーク?」
「ハーディンがガーネフやメディウスと通じていたってことだろ。なら、心おきなく戦えるってことだ」

その一言で、恐れは闘志に変わった。
士気が落ちるのは防げた。

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」

地竜でさえ、アリティア軍の精鋭部隊を押しとどめることは出来なかった。

そして・・・


「いよいよ、ですね。マルス様・・・」
「ああ」

ハーディンのいる、玉座の間。
闇のオーブに囚われた彼を、救いたいとマルスは思っていた。
彼のしたことは許されることではないだろう。
それでも、彼が闇に沈んだのには理由があった。

愛した人に、愛されないこと。
それが免罪符にはならないとしても・・・
マルスはそれを知ってまでも彼を憎みきることが出来るような人間ではなかった。
友のように、子のように愛した者たちを殺されても・・・
その、殺した彼の者も、共に竜の支配から戦った戦友であるから。

助ける方法は、ないのだろうか。


皆の握る武器が、震えた。


 ・


「来い、アリティアの屑共。
このグラディウスで、全員貫いてくれる」

回ることによって敵を穿ち、投げても主たるものの手元に戻り、無限の理力が人を神に変える槍、グラディウス。
伝説の槍を操る、かつての英雄である皇帝に、勝てるのだろうか。
玉座の間の大扉が、いま、開け放たれる。


選択肢


1・とにかく速攻でかたをつける。全員で殴りこんで波状攻撃。
2・何がなんでも慎重に。一歩ずつ入っては、敵を誘い出して。
3・ワープやアゲインなど卑怯ともいえる魔法をも使ってガンガン行く。
4・その他(要記述。メリクルやパルティアなどを使う、特殊な道具を使う、など)

さあ、ハーディンとの決戦です。
どうぞ。

by おかのん (2012-12-08 19:55) 

ぽ村

>>おかのん

投下サンクス。
最終決戦?なVS皇帝戦。

出し惜しみしちゃいかんのでアイテムや魔法は贅沢に使うわ。
しかし要記述と言ってものー;
各武器やアイテムの効果がわからぬぞい?

強力なアイテム持った連中を魔法でガンガンドーピングして速攻で片を付けたいんだが・・・・
by ぽ村 (2012-12-09 03:45) 

おかのん

>魔法でドーピング
ステータスUP系の杖って効果自体も効果時間も短いので使い勝手悪いですよ? 旧紋章にはなかったし。
マジックシールドはおkだけど、ハーディンには意味ないし。

>各武器、アイテムの効果わからない
・・・暗黒竜やってたから大体分かるものかと。失礼しました。
銀の剣まではいいですよね。
キラー系が鋼くらいで必殺率20UP、レディソードが銀の剣、マスターソードが必殺30の銀の剣、メリクル、パルティアが銀+6、勇者系が2回攻撃(1回分を連撃、素早さが高ければ4回になる)後は・・・
杖だとアゲイン。行動終了したユニットを再行動。(一本だけある。3回まで)
後はオーブ。必殺を無効にする光の、全能力+2の星の、自軍ターンの最初にHP20回復する命の、敵味方問わずマップ上ユニットに10ダメージ与える大地の。

caution!!

ソウルフル・ブリッジでカインから聞いた、アリティアの悲劇を繰り返さないように。

では再びどうぞ。

by おかのん (2012-12-09 20:49) 

ぽ村

>>おかのん
解説サンクス
しかしもう少し解説求む。

確かハーディンは通常攻撃効かなかったんだよねー
えーっとスターライトやらファルシオン的に効く武器ってありますのん?

パルティアは効きそうだけど・・・

>暗黒竜
ほれ、ヲレのプレイってアレだったから、メリクリ・・・もといメリクルとか来なかったし・・・;
by ぽ村 (2012-12-11 04:13) 

おかのん

>ハーディン攻略法
・・・・・・19章、14章、10章あたりのラストを読み直してみてください。
そもそもなぜ11から14外伝にかけて、アンリの道を踏破せねばならなかったのか、ということですね。

前回コメントのcaution!!で気付いてほしかったというのが本音。物語の根幹にかかわる話なんでね。
by おかのん (2012-12-11 05:59) 

ぽ村

>>おかのん
(・д・)ジーッ

ねぇふむふむ
なぁにケンちゃん?

とりあえず「光のオーブ」必要ね。
使うではなく、持ってるだけでいいんだろうか?

持ってるやつのみ攻撃が有効になるとエスパー(違ってたら修正( ゚д゚)ノ ヨロ)

こういうときはマルスがやりそうなもんだが、保険でルオ同伴。
無条件でダメージ当てられるなら大地のオーブもトドメとかで使って欲しいけど、使ってもなくならないんだろうか?

アゲインはもったいないけど一度だけなら使うのアリ。
・・・フィーナ連れてくこれば良かったのう;

つまり、ハーディンと当たるのはマルス(光のオーブ所持か使う方向で)、続いてルオ(光のオーブもってるだけでおkだったり、使って攻撃が効くなら)。

武器はマルスは…持ってる?ファルシオン?
無いなら特殊な効果がよく判らないけどメリクル(上での数字上だけ高性能武器?)で。

ルオがマスターソード。
マルスがファルシオン持ってるならメリクルソードでFA

もしも他の連中の攻撃も効くならパルティアのライアンも頑張ってもらおう。


>caution
すまんのう・・・・・

by ぽ村 (2012-12-11 20:22) 

ぽ村

とりあえず出来るうちに寸劇


~数日後~

アイシャ「グラの防衛軍の数がこの書類で…」
マルス「ありがとう。正確で助かるよ」
アイシャ「でも、誤差もありますから過信しないよう…」
ルオ「あの、アイシャちょっと。話が」
アイシャ「えうん。はい(キタ――(゚∀゚)――!!)」

リカード「ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ」

ルオ「?リカードどうしたんだろ?」
アイシャ「人のいないトコ行きましょ?人が居なくて、ついでに見晴らしが良い場所」
ルオ「あ、うん。(ちょうど良い)」


リカード「(;´Д`)ハァハァA+級のエマージェンシーっす、リンダさん!!!!」
リンダ「来たのアレ?!」
リカード「多分アレっす。間違いないっす!」
リンダ「ようし、司令には私が連絡!カド吉は二人の行く場所を確認後、偵察に適したポイントの確保!急げ!」
リカード「イエッサー!(`・ω・´)ゞ」


~10分後~
カチュア「でかしたカド吉。して、目標は?」
リカード「あの草原の丘の上に」
カタリナ「でしょうね。あそこなら、盗み聞きされる心配もありません。」
カチュア「・・・なんでカタリナがココに?」
カタリナ「ここまでお膳立てしたんです。私にも結果や過程を知る権利はあります。」
リンダ「でも過程がココからじゃ聞こえません…」
カド吉「・・・セシルさんは?」
リンダ「ああ、ちょっと修羅場。ライアンに三股がバレて、身を隠してるんだって」
カド吉「(戦場で後ろから射られますよ・・・;)」

カチュア「ぐああああああもう、ココからじゃ聞けない!近づいたらバレるし!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!」
カタリナ「…カド吉さん、『アレ』は?」
カド吉「はい、言われたとおりに。」

リンダ「『アレ』って?」
カタリナ「用心深いアイシャさんのこと。盗聴対策を行うとは予想していました。(大小の水晶を取り出し)なので、あらかじめ、カド吉さんにお願いして、チビの首輪に仕込んだんです。・・・・この小さいほうの水晶を」
カド吉「で、なんかその水晶?」

カタリナ「『会話の水晶球』を改造して作った、…言うなれば『遠聞の水晶球』とでも言うのかしら?この小さな水晶球が感知した音を、こっちの大きい水晶球に伝えるものよ」


(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)


カチュア「で、でかしたカタリナ。アイシャがめでたく処女散らした暁にはバージントライの空いた席に・・・・」
カタリナ「( ´,_ゝ`)プッ」

「「「(なんだ今の意味深な失笑?!)」」」

カド吉「あのーカタリナさんって実はもうしょzy」
リンダ「原作レイプ発言ストップ!早く向こうの会話が気になるわ!!!」

カタリナ「そうね。じゃあ起動するわよ?(フィーン)」
リカード「・・・・ところで、いいのかいカタリナ?」
カタリナ「何がです?」
リカード「いや、あんたも隊長のコト…」
カタリナ「隊長とアイシャさんの二人は恩人です。くっつけば二人とも喜びますし、私も幸せです。」
リカード「でも、ルオが振ったら?」
カタリナ「そしたら、お姉さまは私のものですヾ(*´∀`*)ノキャッ」
リカード「そっちかよ!」

リンダ「まー振ったら隊長さんは頃すけどねw」
カチュア「これこれ、物騒な物言いはやめ・・・って、カド吉の役目はココまで。そこでいつも入浴の出歯亀に使う遠眼鏡を用いて二人と一匹を監視!」
カド吉「(バレていたのか)は、はい;」


水晶球[・・・・g・・・r・・・g・・・g・・・・]

カタリナ「起動が終了。何か聞こえてきました」
リンダ「( ^ω^)おっ!」


水晶球[ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ]


カチュア「なにこの音?」

カタリナ「これは計算外の事態です・・・・」


水晶球[ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ]

カド吉「これ、先生(チビ)がノド鳴らしてるんじゃないですか?」
カタリナ「(コクリ)」


カチュア「・・・・・なんじゃそりゃああああああああああ!!!?」



次回多分最終回かも知れない今日この頃。
by ぽ村 (2012-12-12 00:06) 

ぽ村

寸劇

水晶球[ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ]

リンダ「ふあ~あ」
カチュア「ホジホジ(´σ_` ) ポイ( ´_ゝ`)σ ⌒゜」
カタリナ「カド吉さん、どうですか?」

リカード「パッと見、二人で他愛も無い話してる模様~」
カタリナ「解散準備を」

「「「工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工」」」

カタリナ「仕方ないじゃないですか;結果は多分判りますし、こうやって覗き見するような行為はやはり褒められたものじゃ」

水晶球[ごろごろごr(ピタッ)]

カタリナ「ごろごろが止まりました!!」
カチュア「でかしたチビスケ!」
リンダ「は、はやく!」

リカード「(みっともないんじゃないのかよ;)」


アイシャ『(´Д`)ハァ…まだ、やることあるからまた後でね?』
ルオ『あ、ちょちょっと、待って!』
アイシャ『?!』

リンダ「キタ――(゚∀゚)――!!」
カチュア「(なぜか正座)」
カタリナ「(瞳を閉じて聴覚神経統一)」
リカード「(聞くことを認められて無いので木の上で二人を観察中)」


ルオ『れ、冷静に聞いて欲しいんだ。アイシャには今までたくさん世話になったし、二人で一緒に旅した時期も本当に楽しかった。とても、感謝してる』
アイシャ『え、ええ。・・・・どうも・・・・』
ルオ『それなのに、こんなコト言うのって申し訳ないんだけど、ぼ・・・お、オレ達わか・・・』


「「「『別』!!!!!?」」」」

ルオ『ちょ、ってチビ!?』
チビ『なおーん♪』

リカード「先生、離脱!」

アイシャ『なに、ルオ、なに言っ・・・』

ルオ『オレた・・・わか・・・よ・・・』


カタリナ「・・・・音源ロスト・・・」

リンダ「司令、コレは・・・・」

カチュア「○(#゚Д゚)=(  #)≡○●・∴'.(水晶パンチ)」

カタリナ「きゃあああ高価なのに水晶がああああ!」
カチュア「るおのすけえええええええええええええヽ(゚皿゚)ヽ ガオー!!」


今回最終回って
* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *

次回マジ最終回
by ぽ村 (2012-12-17 13:29) 

おかのん

ではこちらも続きー。

「ハーディン!!」
「ふん。きおったか。
者共、かかれい!!」

やはり伏兵はいた。
しかし、一騎当千のアリティア軍の騎士たちはそれをものともしない。

「ハーディン、正気にもどれ。貴方は闇のオーブに心を支配されているのだ!!」

ガトーの言っていたことが本当なら、そのはずだった。彼の心はガーネフによって歪められている。

「ふはははは。勘違いするなよマルス王子。
確かに我の手に闇のオーブはある。しかし、持っている私だからこそわかる。これは人の心を変えてしまうものではない。人の真なる魂を力とし、増幅し、そして力を与えるものだ。

貴様、闇と聞いて連想するものはなんだ?
邪か。悪か。魔か。
そればかりではあるまい。
安らかなる夜の闇、辛苦を覆い隠す緞帳。日々の区切り、変わりゆく証・・・
闇であるというだけで悪にはならぬよ。
人が光の下、隠さねばならぬと思ってしまう本音、共にいるために抑えねばならぬ願い。そんなものを、なんら耐えねばならぬ事などないと教え、思うままに生きる力を与える物。
それこそが闇のオーブよ。

暗黒戦争初期・・・・・・
私は、ニーナを支え、ドルーアと戦っていくつもりだった。しかし、貴様が来たことで、あの戦いの象徴はお前となってしまった。
もちろん私も賛成する態度をとった。アンリの子孫であるという事実は、民どもに希望を与える。

それがいかに気に食わなくとも、私は頷くしかなかったのだ!!

そしてニーナは、私を皇帝にすえながら、私を気遣うことはなく、あの黒騎士を想い続けていた。
あの女は、俺の思いを知りながら、ただ利用した!!
それでも耐えて皇帝の務めをはたしていた俺を、貴様に討伐させようとしたっ!!

どいつもこいつも、手前勝手なだけではないか!!

汚名を着せられ、殺されてたまるか。
戦災復興で受けた犠牲を、俺のせいにされてたまるか!!
俺だからこそこの程度で済んだのだ!!
あとは誰に任せるというのだ!! 誰がここまでやれる!? この先ができる!?
俺が神であるべきなのだ。俺こそが神なのだ。
それが理解できぬ低能どもは死んだほうがいい。いいや死ぬべきだ!!

つまりそれは人などというものは滅ぶべきだということだ。
以前も魂の橋で聞かせてやったろう。
骸で埋め尽くされた絶望の荒野で、完全なる、神である俺だけが君臨する!!
それこそがこの大陸の正義の姿なのだ!!」

「・・・狂っている」

誰かがぼそりと呟いた。
だが、それに同意したものばかりでもなかった。
奪われたものを取り戻す形の戦は、本当にそれを成すのに長い年月がかかる。
戦とは起こすだけで恐ろしい程の糧が消えてゆくのだ。
かつてあった豊かな生活を始められるようになるまでに、志半ばで命を落とす者たちは出てくる。しかし、戦が終わっているのに、愛する者が死ぬ理不尽は、戦以上に口惜しいだろう。
それを引き受けるものが必要だった。
ハーディンは、皇帝となればその苦難を受けるとわかっていただろう。それでもニーナに選ばれたことを希望に、その身を捧げたのだ。
なのに、彼女の心には別の人間がいた。
その苦しみの全く分からぬものばかりではない。

「やめろ」

そのマルスの言葉は、誰に向けたものか。
ハーディンとも取れた。そのそしりの声の主へのものとも取れた。

「うおおおおおおおおっ!!!!」

光のオーブを携えたマルスは、闇のオーブを持つその手を目掛けて切りつけた。
闇のオーブさえ手元から離れれば、元に戻るはずだと思った。
さっき向けられた言葉が、全くの嘘でなくとも、彼がここまで心を歪めたのには、闇のオーブは無関係では無いはずだ。

「ぬるいわあっ!!」
「ぐっ!!」

振り回されたグラディウスの間合いに、マルスは圧倒された。
闇のオーブには全く届かない。立ち上る闇のオーラを少し凪いだだけだ。それもほどなく落ち着きを取り戻してしまう。

「ふん。こんなものか。アンリの子孫とやらも、大したこともない!!
竜どもの争いの生贄にされただけの、哀れな男の系譜よ!!」

ガトーの話によると、違うとは言えない。
ましてや、マルスは直系ではない。アンリは子孫を残さなかったのだから。

マルスは、アリティア軍の中で言えば、無双の強さでは全くない。
しかし、並の達人くらいの力量はあるのだ。
にもかかわらず、光のオーブを持ってさえ、相手になっていない。その事実は驚愕に値した。

「・・・五月蝿い」

シーダとアイシャがマルスを助け起こしている間、ルオが割って入った。

「アイシャ」

差し出した手に光のオーブが乗せられた。

「そりゃあ、ぼ・・・俺も、同じ目にあったら辛いとは思うよ。あなただけが悪いとは言わないさ。
でも・・・
マルス様は英雄たろうとしたけど、望んだわけじゃない。それでもその務めを果たした。
ニーナ様だって、御立場があった。選ばないわけにはいかなかったんだ。たとえ、自分の思いを押さえつけてでも。あなたを傷つけるかもしれなくても、そうしなきゃならなかった。

みんなが自分勝手なだけだって!?
どこを見て言ってるんだっ!!

誰もが自分の事さえ自由にならないまま、それでも決断してきたんじゃないか!!
少しでも誰かを悲しませないために、勇気づけるために!! それは貴方だってしてきたことで、解ってたはずのことだろ!?」
「小賢しいわ若造がァっ!!!!」

グラディウスから放たれる闇のオーラが、ルオの足元を凪ぐ。
しかし、光のオーブに守られたルオは捕らわれることなく突進する。

「「うおああああああああああっ!!!」」
「ルオっ!!!」

ルオはマルスに習い、腕を狙った。
しかし。

「っ!!?」

グラディウスに捌かれたと思ったメリクルソードは、まっすぐハーディンの心臓を貫いていった。


 ・


場の空気が、凍った。

思わず引き抜いてしまった刺し傷から、噴水のような血が噴き出す。

「ハーディンっ!!!!!」

マルスが、駆け寄る。
立ちつくす、ルオ。

ハーディンが、倒れ伏したまま、首を傾けてしゃべり始める。

「マルス王子・・・
私は・・・ 己の中の悪魔と戦い続けていた・・・
だが、私は・・・弱すぎた。
その勇者の言うとおりだ。私は確かに苦しんだ。しかし・・・
それを乗り越えていかねばならなかった。
そしてそれは、みな、している事。当たり前のことだった。
その、なんと困難なことか・・・」

「もういい、ハーディン。しゃべるな!!」

「どのみち、もう長くない・・・
ニーナを、救い出してくれ・・・
そして、私はそれでも、このようなことになっても・・・
あなたを、愛していたと・・・」


たった、二年。

アカネイア帝国と、初代にして最後の皇帝、ハーディンが君臨した期間。

まだ、ドルーアとの戦いの傷も癒えぬまま、希望とともに始まった統一国家と王の末路。


「うあああああああああっ・・・・・・」

しゃがみこんで泣き伏すマルス。

「マルス・・・様・・・」

弱々しい声を出すルオ。
絞り出すような声がマルスの口から出てくる。

「最後の斬り結び・・・
ハーディンは自分から刃を受けに行ったように見えた。
あれこそが、彼だったんだと思う。
もう、それしかなかったんだ。きっと。

君は、悪くない」

そうなのかもしれない。
違うかもしれない。
どちらにしろ、取り返しがつかない。

「マルス王子・・・」

「ニーナ・・・様!?」

天幕の後ろから出てきた人影。
やつれたようにも見えないが、暗い目をした・・・
しかし、確かにニーナ王女だった。

後ろには、マリアやレナ、そしてエリスの姿もあった。

「大義でした。私がファイアーエムブレムをあなたに託した意味、その勅命を汲み取り、ハーディンを見事倒したこと、覚えおきましょう」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、マルスはニーナ王女の心の臟をレイピアで突き刺した。

「マ、マルス様!?」
「かふっ・・・ く、狂ったのですか、マルス王子・・・」
「黙れ。下衆」

その時。

ハーディンの落とした闇のオーブ、そして残りのオーブがファイアーエムブレムに吸い込まれ、紋章の盾が完成した。
同時に、まばゆいばかりの光が溢れ、その光にさらされた姫君達は、暗黒司祭になり果てた。

「な!?」
《おのれ・・・我がまやかしが破られるとは。
それは、封印の紋章の盾か!!
ふん。こうなれば早々にメディウスを復活させ、この大陸ごと滅ぼしてやる。
我が肉体の復活は、それから行えば良いこと》
「ガーネフ・・・貴様かぁっ!!」
《せいぜい足掻くがいい。ふはははははははっ!》

嘲笑を響かせ、ガーネフと暗黒司祭は消え失せた。

「・・・さすがマルス様。あのニーナ様が偽物だとわかっていたのですね」
「いや」
「・・・・・・え?」
「・・・偽物だろうと本物だろうと、あのハーディンの最後を見ておきながらあんな言葉を吐くような人間は、仕えるどころか、生かすに値しない。
元々盗賊の末裔だ。切り捨ててなんの問題がある。
貴族とはその血以上に、貴き魂を持つべきだ。
『あれ』は、そうでないと思った。だから斬った」
「・・・・・・」

友を弄ばれ、別の友にそれを殺させられた。
マルスにとって、それは何よりも許せぬことであったろう。

その場にガトーが着くまでの数分間、マルスの、静かで激しい怒りに、皆一様に息を飲むだけであった。

第20章 暗黒皇帝 終


続く!!
by おかのん (2012-12-19 16:54) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙。

・・・・ちょっと投下ペースが遅かったので、『ヤヴェえ・・・誰か撃破された?!』とか戦々恐々だったのよさ;

ハーディン(´・ω・)カワイソス

その後のニーナ様へのマルスの行動はヲレの心を体現したのかとw;

でもーコレ、ニーナ様が操られてただけなら、マルス大チョンボでね?
っつか狙っていたなら腹黒い感じで面白いけどw
by ぽ村 (2012-12-19 20:45) 

おかのん

>操られてただけだったら大チョンボ
はっはっは。 はっはっはっは。

その通りですね。ヤヴぇエ。

そしてこのうっかり加減からもわかるように、ここ創作です。
本来は出て来たとたんに紋章の盾の力で術が解けまする。

>ペース遅い
あいすみません。
プラモ熱が再加熱していてどうにも止まらない状態なので、小説系が全く手に付きません。アムリタどうしよう。アイルもどうしよう。
しかもジャンク処理キットばっかりで、新しく買った分が全く減らない。マジどうしよう。

by おかのん (2012-12-19 23:47) 

ぽ村

>>おかのん
結果オーライながら
うm、軽率な行動だったよ王子w

>ペース
いや、こっちも師走+仕事+所用でプラモもリプレイも寸劇も進んでませんけん;
ならば風邪を引かないように乗り切って欲しいと思う所存。

・・・・実はクリアした後、各面の攻略記事は見てるんだけど、今回マルスで当たらせるのは結構危険球だったのね;
by ぽ村 (2012-12-21 02:18) 

おかのん

第20章外伝 深き渕の底

「マルス王子。見つけて来たわよ。マケドニアの深く・・・
まあ、竜の祭壇と言われる場所の途中だし・・・いい機会なのかもね」

あの後、ガトーが訪れた。さすがにハーディンを悼む気持ちを見せたが、ガーネフの存在を知っていたために、あせりが感じられた。
その際、竜の祭壇なる古代の遺跡の存在を知る。そこにメディウスと、ガーネフが居るというのだ。

そしてマルスはカタリナの事で、最後の決戦に挑む前に、カタリナを育てた施設を潰す事にし、その場所の捜索をアイシャに任せたのである。

「ありがとう。・・・子どもというのは、未来そのものだ。それを無理矢理あんな風に育てようというのは許せない」

アイシャとしては、意味もなく自由にするというのも良くないイメージがあるのだが、それは言うまい。
精鋭を引き連れ、マルス達はそこに突入することになる。
マルス自身が行くのは愚の骨頂だと誰もが思うのだが、ハーディンの件でいまだに怒りをくすぶらせているマルスに何を言っても無駄だった。


 ・


「・・・ここか」
「内部は明りのない、真っ暗な場所です。施設の皆は常にそこに居るので夜目が利きますが、常人にはどうにもなりません。目が慣れてきてもせいぜい自分の周りくらいです」
「・・・カタリナ、大丈夫かい? 君が来る事はなかったのに」
「いいえ、ルオ。これは私のけじめです。今まで私はエレミヤ様の命令を、ただ受け入れるだけでした。
でも、今は、ルオやマルス様、アイシャや元第七小隊のみんなの役に立ちたいと思っています。
この気持ちは、私の心からの願い。私の思い。私の宝物なんです」
「カタリナ・・・」

そこにいる敵は、今までともにいた仲間達のはず。たとえ利用されていたとしても、育ててくれた人である。
それでもカタリナは、決別を選んだ。自分の罪を償い、未来を思って生きてゆくために。

「わかった。行こう。君の宝物を、僕達が守るよ」
「はい・・・」

そのカタリナの言葉には、どうしても熱がこもった。
叶わぬぬくもりであっても、秘める事で輝く宝物もある。

そのために、偽りのぬくもりに決別する必要があった。



選択肢

宝もある場所です。侵入負荷の場所からの攻撃もあります。その中で精鋭で。
マルス、ルオ、カタリナが出るので、後4人。

ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、マリク。ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、サムソン、シーマ。
トーマス、フロスト。ミディア。
ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラク。
リカード、チェイニー。

誰を選ぶかで結構変わるので、メンバー選定のみで。
では、どうぞ。

by おかのん (2012-12-21 22:01) 

ぽ村

>>おかのん
投下乙

王子いいいい!
そんな道草食ってる場合じゃないっしょー!

と思いつつ。

>進入負荷もとい不可
魔法使いや弓兵がいるのけ?
飛兵は避けたほうが良いのかな??


・・・・4人?!
すくねええええ!
ルーク、ライアン、ナバール、マリーシア。

戦い方に注文つけると
カタリナには回復以外は可能な限り何もさせない方向で。
宝は・・・・マルス居るからダイジョブだよね・・・?
by ぽ村 (2012-12-22 15:41) 

おかのん

最近コレが出来てないのはプラモのせい。
(全く言い訳になってない)
忙しいは忙しいんですが、合間に全部プラモしてたらだめだろ…

とりあえず写真を撮ったので、いつもの方法でお願いします。
ああええと、ピックアップをしてないのでいらないのは捨てといてください。
<m(_ _)m>

by おかのん (2012-12-28 13:14) 

おかのん

「ぐっ!!」
「ルーク! 大丈夫!?」
「・・・そこかあっ!!」

ライアンの放つ矢が、敵の胸に突き刺さる。
うめき声とともに倒れる暗殺者達。

「くっ・・・敵に先手を取られる戦はなれているつもりだったけどな!」

敵の持っているのは、普通の弓よりさらに遠い間合いを持つロングボウや、遠距離魔法のウォームやメテオ。
弓の間合いなら、敵の姿が見えるのだが、それ以上となると、攻撃されてもなお位置がつかめない事が多いのだ。

それでも、勝手知ったるカタリナのおかげで、なんとかエレミヤを追い詰める事が出来た。

「アイネ・・・ ただクズなだけではなく裏切るとはね・・・
 壊れるまでつかってあげるつもりだったけど、気が変ったわ。汚れた人形は、叩きつけて壊して、ぼろ屑のように捨ててあげる!!」

「私は人形ではありません。人です。
ただ、ノルダの町で、本当にゴミのように扱われていた私を拾ってくれたこと。。『ただ踏みつけにされるだけにはならない』事を選べるだけの『力』をくれた。それは・・・本当に感謝しています。
だから私は選ぶ。一緒に生きていた仲間達を倒してでも。あなたのくびきを打ち壊してでも!!」
「壊れなさい! メティオ!!!!」
「リザイアッ!!!!!!!!!!!」

それは、血のつながりなど無くても、母と子であるはずの。
今がそうありはしなくても、確かに信じた人。

「壊れなさいカタリナッ!!!!」
「エレミヤぁああああああっ!!!!!!!!!」

ドンっ!!!!

「!?」

エレミヤはルオの体あたりによって吹っ飛ばされた。

「・・・・・・%$$(’&#$&~~」

ヒュウン・・・

「逃げた・・・」
「ルオ・・・ 逃がしたの?」
「・・・カタリナの頭に血が上っていたのもあるよ。瞬間移動が使えるなんて思っていなかった。
ただ・・・
やっぱり、カタリナが殺しちゃ、いけない気がした。ぼ・・・ 俺が、やろうと思った。
出来なかった、けど・・・
ごめん」
「いえ、いいんです。
・・・少し、ホッとしています」

どちらにしろ、ここは潰していく。
マルスの命を狙うのはもう不可能だろう。

「今は、それでいい。ぼくらにはやるべき事がまだある。寄り道できるのはここまでだ」

アリティア軍は、マケドニアの山中、竜の祭壇を目指す。
封印の盾をおさめ、地竜の復活を封じるために。

 ・

「う・・・うう・・・」
「ふん、やはり敗れたか、エレミヤよ」
「ガ、ガーネフ様、申し訳・・・」
「いやいや、お前の育てた子供らは、竜の祭壇にささげる、高貴なシスターを集める為に役に立った。
お前にかけた術はきちんと作用していたよ」
「・・・私に、術を・・・?」
「そう、お前は、戦災によって、育てていた孤児たちを皆殺しにされた。亡骸を抱えて『私は、何か出来なかったのか』と泣いたな。
だからわしはお前に暗示と答えをやった。力がなければ何にあらがうことも出来ぬ。子らにしてやらねばならぬ事は、踏みつけにされぬだけの力を得ることだ。そして、それを与えたもう主人には命がけで尽くせとな。くくくくく・・・」

その時、エレミヤにかけられていた術がとかれ、心が戻る。
孤児たちをいつくしむ心が。

「あ・・・ああああ・・・
ああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」

力を持たせるために施した過酷な訓練。習得が進まぬ者は見せしめに殺し、精神を病むほどに酷使した・・・
愛していたはずの、子供達。

安らかに生きていってほしいと願った、いとしい、命。
自分が地獄に追い落とし、クズと読んだ子供達。

「うああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!」
「くくくくく、ははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!」

ガーネフはそのまま、エレミヤを置いて行ってしまった。
心が壊れてしまったエレミヤのその後を、誰も、知らない。

by おかのん (2012-12-28 22:52) 

ぽ村

>>おかのん
模型も文章も勢いが大切&とったどー&投下乙w

少人数なマップほどヤヴァイという印象があったのでちょっとホッとしたw
それともクソ強くてごり押しが効くんだろうか・・・それもそれでうーんだけど;


エレミア(´・ω・)カワイソス
元は善良な孤児院のお姉さんだったのね・・・
お姉さんじゃなくてお婆さんのほうがしっくり来るけど(孤児の教育+その後の洗脳教育に携わったわけだし)

ガーネフが陰湿だが、使えるコマを笑いながら少なくしてるだろコレ;
by ぽ村 (2012-12-29 13:23) 

おかのん

第21章 飛竜の谷

ガトーに言われ向かった、マケドニア、飛竜の谷。
この先の『竜の祭壇』に、ガーネフがいる。そして・・・

「思い、だした・・・
確か俺が最初に立っていたのも、マケドニアの山奥だったんだ。
父さんも母さんも、このあたりにあるっていう古代遺跡を探りに来て、俺を見つけたって」
「ここは野生の飛竜も多いし、長くとどまるわけにもいかないし、自分で調査するのも危険だからしばらく考えないようにしていたけど・・・
こんな風に訪れる事になるなんて」
「じゃあ、ここにこそ手掛かりがあるかもしれないのね」

アイシャにそう言われて、ルオは少し言葉に詰まった。そして。

「アイシャ、ありがとう」

いきなりの言葉に、びっくりした。嬉しくは、あったけど。

「なあに?突然」
「封印の盾と5つのオーブが失われて、メディウスを復活させようとした事が異世界の扉を開くカギになり、それに巻き込まれて俺がここに来てしまったのだとしたら・・・
マルス様が竜の祭壇に封印の盾を置くことによって、その歪みが修正されたら・・・

俺はその場で、消えてしまうことだって考えられるじゃないか。歪みの一つとして」

今度はアイシャが言葉に詰まった。あり得る話だからだ。
封印は、もう二度ととかれてはならない封印だ。それこそ、この世界のすべてのために。

「だから、言っておかなきゃならないと思った。勿論、いくら言葉で言っても足りないくらいの感謝があるんだけれど…
そのかけらだけでも伝えておきたくなって。
アイシャ、ありがとう。俺も、いろんな人に支えてもらって、交わって来たけど…
父さん母さん、じいちゃんとは違う意味で、一番大切なのは、アイシャだから。
俺は何もしてあげてないから、世話になるばっかりだったから。
お礼くらいは、万が一にも言わずじまいだなんて嫌だったから」
「・・・・・・うん」

何もしてあげてない?
ルオにとってはそうなのだろう。
したいようにしてきただけだったのかもしれない。
でも。

自分のドジで片目を失ったとき、自分以上に動揺し、責任を感じ、心配してくれたルオ。
そんな事があっても、縛るようなことはしようとしなかったルオ。
たどたどしく紡ぐ言葉の中に、『ぼく』を交えながら、心をそのままに聞かせてくれるルオ。
アイシャを大切だと、伝えたがるルオ。

それがどれだけ大きな意味を持っていることか。

「あたしも、だよ。ルオが、一番大事」

どうなるか誰もわからない事をしに歩く中で、永遠の別れを心の片隅に置きながら言葉を交わしている時くらい。
本当の事だけ、口にしよう。どんなに照れくさくっても、間違ったまま終わるのは、死んでも嫌だ。

顔を真っ赤にしながら、顔も見ずに差し出された手を、両手で握り返す。
驚いて振り向いたルオに微笑むと、ルオはそのまま穏やかに見つめ続けてくれた。


 ・



「うおお! マルス!」
「!? 君はユミル!」

そこには山賊のような男がいた。しかし彼も、先の戦争の仲間らしい。グルニア軍の取引材料にされそうになっていた村人を助けるために戦った英雄だそうだ。手にある大斧といい、どう見てもバーサーカーだが。

「俺も協力する」
「心強いよ。さあみんな、ここからは飛竜の襲ってくる難所だ。十分に気をつけてくれ!!」

竜の祭壇を目指して、アリティア軍の本当に最後の行軍が始まる。


選択肢

まずは選定ですね。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、マリク。ナバール、フィーナ、チキ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、サムソン、シーマ。
トーマス、フロスト。ミディア。
ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラク。
リカード、チェイニー。カタリナ。

この中で、ルオ、カタリナはストーリー上、
マリク、ミネルバ、シリウス、ジュリアンはゲーム上必要です。
後は最低10人選んでください。逆に上限は出しません。
また、今まで各地に残してきたメンバーを呼び寄せてもOK。

その上で、マルス、ミネルバ以外の10人を出撃させてください。
ここが『飛竜』の谷であることを考慮に入れつつ。

では、どうぞ。

by おかのん (2013-01-03 09:26) 

ぽ村

>>おかのん
今年も早々と投下乙

こっちの寸劇も早めに終わらせないとイカンねw;

題名からして飛兵が多いんだろう。
そんな編成を・・・


ぬう?
選定は10人でいいのかの?

とりあえず、ゲーム上必要なマリク、ミネルバ、シリウス、ジュリアンはミネルバ以外録に育ってなさそうなので優先的に経験値まわしたいので出撃

あと六人?
いや、7人か。
ルオ、フィーナ、シーダ、ライアン、カタリナ、カチュア、マリーシア
コレでおk?

・・・なんだこの女率の高さは;
by ぽ村 (2013-01-04 15:22) 

おかのん

ああええと。チビに乗ってもらう人を選んだ上で、出撃メンバーをどうぞ、という事です。
で、ルオ、カタリナはストーリー上、
マリク、ミネルバ、シリウス、ジュリアンはゲーム上必要です。なので、最後の戦いに連れていくメンバーを、6+最低10人。上限を設けず、今まで補欠にした中からも選んでください。
その上で、その中から、「このマップ」の出撃メンバーも選んでください。
12人出撃なので、マルス、そしてイベントで必要なミネルバ以外の10人を。

そして『飛竜』の谷です。
『竜騎兵』の谷ではないので。

もいちどどうぞ~

by おかのん (2013-01-04 20:53) 

ぽ村

>>おかのん

おう・・・
最終盤だと思うがまだ戦力外通告必要なのか・・・

では明らかに要らない子だけを挙げていこう

チキ、サムソン、シーマ。
トーマス、フロスト。ミディア。
ウルフ、ザガロ、ロシェ、ビラク。

が、まぁもう使わないかなぁ
今まで補欠にした連中というのは?
置いてきた連中?

ならつれてく連中だけ挙げるのが良いのか。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、マリク。ナバール、フィーナ。
ユベロとシリウス、マリーシア。
リンダとカチュア、ミネルバ。
バーツ、ジュリアン、リカード、チェイニー。
カタリナ。
コレだけ良いれば十分だべさ!


で、今回出撃の面子は
ルオ、ルーク、ロディ、ライアン。
シーダ、マリク、ナバール、フィーナ、カチュア、マリーシア
という鉄壁にして高機動連中でどうだ!

多分ライアン大活躍!?
by ぽ村 (2013-01-05 18:25) 

おかのん

飛竜の谷にアリティア軍が到着する少し前。
竜の祭壇では、別の物語があった。

「貴様っ・・・ 貴様アッ!! そうか、ミネルバ王女の件は貴様が・・・!」
「足を踏み入れる事許されぬ地と言えど、かつての我が領土で好き勝手してくれたな。
いや、貴様の傍若無人ぶりは以前からか。もっとも、俺が言えた義理でもないが」

その成年はそう言うと、封印されていた戒めを解いて、台座から一冊の魔導書を奪う。

「今の俺では貴様は倒せまい。しかし、今この魔導書を奪う事は俺にしか出来ん。
そしてそれは、この世を人の手に取り戻す要因の一つだ」
「死ねぇっ!!!!」

襲い来るマフーを、すべては防ぎきれない。
闇の霧に触れたところが、腐り落ちてゆく。

「ぐっ!!!!」
「逃がさぬ・・・」

乱れ打たれるマフー。しかしダメ―ジをいくらかかぶりながらも、青年は致命傷は避けた。

「くっ・・・ 魔力が持たぬ・・・ 魔力を無限に供する魔導器も、実体さえも持たぬ今、魔力尽きれば存在ごと消えてしまう!
くそう、くそうっ!!」
「さらばだ・・・ ガーネフっ・・・!!」
「ぐぅうっ!!!!」

歯噛みするガーネフだが、どうしようもない。
精神体となった今、力の尖鋭化は成せても、死はさらに近い物となってしまった。

「闇の部族どもを出せっ!! どうせあの傷では近くの村で身を休めねばならん。
村ごと火にかけて殺してしまえ!!」

魔導書も燃えさえすれば。
あの魔導書は、複数作る事は出来ない。今失われれば、ガトーは作り直す時間がないだろう。
そのうちにアリティア軍を潰してしまえば、もう逆らえるだけの力を持つ存在はいなくなろう。

「このような時にこんな事をしに来るとはな・・・ 腐っても英雄ということか。
時節というものを見ておる。搦め手では敵わぬか。
まあよい。何とか間に合うだろう」

このギリギリの運命の導きは、吉と出るのか、凶と出るのか。


 ・


 飛竜と闇の部族との戦いは熾烈を極める。
 飛竜は強力なブレスを放ってくる上に、その移動力は尋常ではない。身動きの全く出来ない砂漠での遭遇では苦戦をさせられたが、今回は狭い山間の間である上に、メティオという長距離魔法を使ってくるダークマージや、デビルソード、キラーアクスといった空恐ろしさのある武具を操る闇の部族が波状攻撃をしてくるのだ。
 それでも一編隊程度ずつ誘い出して対処するならまだいいのだが、今回気になる情報が入った。
 山を越えたところにある小さな集落に、ガーネフの手の者が火を放とうとしているというのだ。しかもそこには、『マルス王子に渡すものがある』という言伝を送った竜騎士の高貴な青年が、余命幾ばくかという状況であるという。

 軍を危険にさらすわけにはいかないというのは指揮者として当然ではあるが、村や関わりあるとみられる誰かを見捨てるわけにもいかない。

(どうする・・・!?)
「マルス様、ご指示を!!」
「いかせてくれ、マルス王子!! きっと、その青年は・・・!!」

マルスは少し逡巡したが、意を決して発した。


選択肢

襲われようとしている村と、その青年を助けなければ。
どう対処する?

1・急ぎはするが、とにかく全軍でまとまって移動。危ない橋は渡らない。
2・ミネルバ含む飛兵部隊全員を全速で向かわせ、マルスが到着するまで守らせる。
3・ミネルバのみ村に向かわせる。

では、どうぞ。

by おかのん (2013-01-08 20:23) 

ぽ村

>>おかのん
投下サンクス。

結構プレイ自体も激戦だろうか・・・

さすが延長戦?(本筋的にはそうかと)
こちらの人選が間違ってないことを祈るばかりだけど;


選択肢だが、文脈から3なんだが、間違えた時の保険に2との複合で。

ミネルバ含む高機動部隊を先行させ、ミネルバがまず村へ、ダメなら後続のマルス。
高機動部隊はその間、ミネルバ及び村・マルスの護衛っつかフォロー

これでどうだろ?
by ぽ村 (2013-01-09 16:36) 

ぽ村

ようやく最終話な寸劇

リンダ「司令、裁定を!」
カチュア「知れたこと・・・・制裁!ε≡≡(#/ ゚Д゚)/」
リンダ「後学のために参加!ε≡≡ヽ(・∀・ )ノ 」
カタリナ「ちょ、水晶、弁償しなさい!ε≡≡(゚皿゚)」
リカード「ルオあの戦力的に返り討ちだよなぁ・・・とりあえずε≡≡ヘ( ´Д`)ノ」


カチュア「ε≡≡ε≡≡ヘ(゚皿゚)ノ」

ルオ「ヽ(´Д`;)ノ...」
アイシャ「(*´∀`)η !?」

リンダ「ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ・・・あら?」


ルオ「m(´・ω・`m)」
アイシャ「(ノ´∀`*)」


カタリナ「・・・・あらら?」


アイシャ「(´∀`*)ε` )チュッ」


カチュア「え?」


「「ケコ━━━━(・∀・)人(・∀・)━━━━ン」」


リカード「はやっ!!!?」


カチュア「あー、遠目でもわかる分かりやすさ・・・・あんた達、別れるんじゃないの?」
ルオ「うわ、ビックリ;なんで?」
アイシャ「な、なんでこんなところに・・・;」
リンダ「や、ちょっと・・・あはは;」

カタリナ「ルオ!聞いて下さい!カチュアさんが高価な水晶球を正拳で割ってしまって(つд⊂)エーン」

カチュア「♪~(´ε`;)」

「「「(・д・)ジーッ」」」

カチュア「わ、悪かったわよお・・・何でもするから許しt」

カタリナ「(キラーン!!!!)ではそのままマルス王子に特攻してもらいましょう」

「「「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブーッ!!」」」

カチュア「は、はははは、でっかい打ち上げ花火は最後に取っておくべきよぉ。うん;それより今度はリンダの実るかどうか怪しいマリクさんへの恋心をh」
カタリナ「戦争のゴタゴタな今なら王子の心は貰えなくても、子種くらいは貰えるかも知れませんよ?」

「「「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブーッ!!」」」

リンダ「すとっぷ、げんさくれいぷすとっぷよかたりなちゃん」
カチュア「( ゚д゚)ハッ!(そうか!!戦後なんて絶対機会回ってこないじゃんアタシ!!!)」
リンダ「かちゅあさんももどってきてー。そこいっちゃだめー(棒)」
カタリナ「(ドヤァ)」

ルオ「(´゚ c_,゚`)プッ カタリナも随分みんなと打ち解けたんだね」

カタリナ「・・・・そうですかね?」
リンダ「(うっ、気がついたら;)」
カチュア「(そうか、思い出に残れば良いんだ・・・頑張れ私( `,_・・´))」

アイシャ「(イイハナシダナー)」

リンダ「(逃げようこの話題)と、ところで、ズバリ!プロポーズの言葉は?!」
アイシャ「ええーどうしよー?恥ずかしいなうーん・・・・(デレデレ)」

ルオ「ああ、『オレ達、若いけど結婚しよう』って言ったんだよ♪(∀`*ゞ)テヘッ」

アイシャ「」

カタリナ「(ああ、[わか・・・]は[若いけど]の[わか]だったのね;)というか、言っちゃうんですか。。。。」

ルオ「そしたらアイシャがu・・・ブフッ∵(´ε(○=(゚皿゚) ガオー!!」
アイシャ「バカ!バカルオ!何で言っちゃうのよ!?とっても大事なコトなのに!ε≡≡(つд⊂)エーン」
ルオ「あ、あいひぁ・・・・ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ」


リンダ「いっちゃった・・・・コレでの良かったの?カタリナ?(/ω・\)チラッ」
カタリナ「ゴニョゴニョ…(ノ゚д゚(; ̄Д ̄)マルス王子は寝所に22時頃入るからそれを狙って」

カチュア「(ΦωΦ)キラーン」

リンダ「斬り殺されるからヤメテほんとに!」




リカード「・・・・・(今夜ルオの寝所覗きにいこうっとw)」

おはり
by ぽ村 (2013-01-10 15:59) 

おかのん

あ、結婚ENDなんだ。これは修正が必要ですな。
本編もそろそろクライマックスですねえ。
by おかのん (2013-01-10 19:38) 

ぽ村

>>おかのん

まとまってるなら、そっちはそっちで別の話で良いよん。

>クライマックス
いよいよですねぇ・・・
by ぽ村 (2013-01-11 01:51) 

おかのん

「・・・これで全部でしょうか」

ガーネフが送った、村を潰そうとしていた刺客たちは残らず倒された。

「ミネルバ様、大丈夫でしょうか。村の周りにも敵はいますし」
「カチュアもついてるし、何とかなるとは思うが、問題は間にあったかどうかだね・・・」

マルスとシーダがそんな会話をしている時、村では再会が果たされていた。

「ミシェイルっ・・・ 兄上!
しっかり・・・ しっかりなされよ!!」
「ミネルバか・・・ マリアに救われ、お前に看取られるというのなら、俺の生き様というのも悪くなかったのかもな」
「何を馬鹿な! こんなところで終わるような男がアイオテの再来であってたまるものか!!
マリアはガーネフに捕らわれたままだ。まだ何も終わってなどいないっ!!」
「ああ・・・ そうだ。マルスを呼んで来い。奴に・・・
渡さねばならないものがある・・・」

 ・

山間の谷を抜けて、ガーネフの手の者との戦いになる。
デビルソードやキラーアクスなど、油断ならない武器を持つ者たちがゾロゾロ出てくるが・・・

「暁の騎士ルーク様のお通りだっ!!」
「僕の矢を受けろっ!!」

ルークが攻撃を受け止め、ライアンがカトンボのように落としていく。飛竜をあらかた倒してしまえば、あまり脅威を感じる事もなく進軍が進んでしまう。
村にはその日のうちについてしまった。

「やはり、ミシェイル王子・・・」
「ふん。久しいな英雄よ・・・ くく。惨めだろう。こんなところで身動きも出来ずにな・・・
さあ、うけとれ・・・」
「!? これは・・・ スターライト!?
まさか、そのけがは」
「ガーネフとやりあったのさ・・・ マリアに拾われた命だ。あいつを救えるのなら、多少の事はな・・・」
「兄上、死ぬなっ・・・!
マリアを助け出した時、何と言えばいい!? お前を助ける為に死におったとあの子に言えると思うのか!?
最後に目にしたマリアが、何と言っていたと思う。『いつかまた、お兄さまとも一緒にいれるようになったらいいね』と、花のような笑顔で言ったのだ!
あの時、私は兄上が生きていると知らなかった。だから泣きそうな顔で何とか笑おうとしただけだった!
だが、あの子は知っていた、信じていたのだ。自分の元から再び姿を消した兄上が、いつか必ず戻ると!
3人でともに生きる日が、戻ってくるのだと・・・!」

村で予断を許さぬ状況であるミシェイルを抱えると同時に、竜の祭壇の門が開く。

スターライトをここで手に入れ、事態は動く。
諸悪の根源ガーネフを倒し、レナ、マリア、ニーナ、そしてエリスを救い出す。

「・・・いこう。みんな」

別行動していたルオは、道筋を作るために突入を開始した。


選択肢

ここでゲームにはないAV選択。

ミシェイルのために一部メンバーの一時的離脱をしますか?

1・回復用にリンダ、そしてミネルバを残す。
2・上記二人のどちらかのみにする。(さらに選択)
3・村人に任せる。

どれでも「クリアできなくなる」ということはないのですが、展開が変わります。

では、どうぞ。
by おかのん (2013-01-19 09:07) 

ぽ村

>>おかのん

投下サンクス
我ながら弓兵の少なさをちょっと呪ったケド、問題なかったようで良かった。

選択肢も正解?


では今回のだけど・・・

うーむどうしようかのう

レナとはあの覇王気取りよりジュリアンとくっついて欲しいんだよね
そこでミシェイル連れてって、助けるのに尽力したジュリアン(。A。)⌒Y⌒ ヾ( ´_ゝ`) イラネした(する?)レナを屑女呼ばわりするのも捨てがたいけど。

いいや。
ミシェイルは寝とけ。
あ、主旨が違うなコレw;


3は地雷と思うんだよね。
なので1かな・・・本隊の回復役はマリーシア居るし、大丈夫だろう。
by ぽ村 (2013-01-19 17:40) 

NO NAME

第22章 竜の祭壇

「・・・行こう、みんな」

そう言って竜の祭壇に突入しようとしたルオ。

{ミシェイル王子と、ミネルバ王女を会わせてあげたいんだ}

そのマルスの願いをかなえるために、別行動となった。

そして・・・

「ルオよ、よくここまでたどり着いたな」
「あなたは・・・ ガトー様!! ・・・と・・・」

竜の祭壇の始まりには、ガトーと謎の女性が待っていた。

「うむ、この方はナギ殿といわれてな。ながらく眠りにつかれていた、竜王様である。
今回の事に心を痛めておられ、我らに手を貸してくれる事となった」
「りゅ、竜王様!?」
「おまえが、マルス?」
「ち、違いますよ! 俺は一介の親衛隊長です!」

聞いているのかいないのか、ナギはルオの頬を両手で包み、

「お前は、数奇なる運命の子。異端にして救世主。
役目を閉じる前に、望むがいい。許されよう」
「え、ええ?」

するりと手を離すと、険しい顔をしたアイシャを尻目にガトーの横の壁にもたれる。
言われた事の意味は分からなかったが、戦力になってくれるらしい。
竜の王であるというからには、チキと同じように竜に変身するとみていいだろうか。

ルガォォオオオオオオオ・・・・・・

「な、なんだぁ?」
「じ、地獄の底から響いてくるような声ね・・・」

ガトーが答える。

「あれが地竜の唸りだ。竜の祭壇を守るだけあって、竜がうぞうぞとおる。
火竜や魔竜ともまみえねばならぬ。
両隣の別の祭壇に祭ってある、竜殺しの武器を持ち出すのもよいが、あれらは諸刃の剣。
封印でもあるあの武器を手にすれば、そこに眠る竜を呼び起こす事となろう」

ルオはそれを聞いて、考えを巡らせた。


選択肢

まずはいつものメンバー選び。

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、マリク。ナバール、フィーナ。
ユベロとシリウス、マリーシア、カチュア。
バーツ、ジュリアン、リカード、チェイニー。
カタリナ。

ゲーム上は存在しますがマルスは使用しません。
ルオ他の10人を選んでください。

そしてナギを使うかどうか。
戦力としてはチキ以下の成長率ながら十二分に強いです。

両隣の祭壇の武器を取るかどうかも。
前述の通り、引き換えに増援出てきます。

また、選んだメンバーの中で、対竜用の武器を持たせるユニットは記述を。

では、どうぞ。


ここは力押しっぽいので作戦は不要です。
by NO NAME (2013-01-23 00:20) 

ぽ村

>>NO NAME
きっと おかのん 絶対 おかのん

まだ最終面では無い感じなのかしら。

メンバーはルオ含め10人?
ルオ、ルーク、セシル、ライアン、マリク、ナバール、シリウス、マリーシア、カチュア、ジュリアン

と、そろそろ最終決戦でも頑張ってもらう連中で。
ルオ含め11人ならフィーナを入れて欲しい所存

ドラゴン系の武器かぁ・・・必要かなぁ?
とりあえず、剣ならルオ、槍ならルーク、斧はスルーで魔法ならマリクといきたい。
・・・斧と魔法はなかったような;

ナギは寝ぼけてるんだろ。
なのでお休みで。
by ぽ村 (2013-01-23 18:56) 

おかのん

おおおおおおおう。

はい私です。他に誰も続き書かないでしょうね。
この面の後2マップあります。
まあ一続きの話というか、場所移動はないんですけどね。
さあ、お約束な結末が待ってます。

by おかのん (2013-01-23 19:16) 

ぽ村

>>おかのん

そうかあと2マップか。
人数はダイジョブかの?
ラストスパート、かつエンディングとかもあってもう少し続くだろう。

無理せずがんばってな?
by ぽ村 (2013-01-24 00:39) 

おかのん

あーいがんばりまーす。
ほれ久遠ササとプレイしろ。
つっづきー。


「ここまで来て装備を惜しむ意味はない。みんな、それぞれで整えてくれ」

ガーネフの潜む魔殿だ。しかもメディウスの実体の封印されている場所。
マルスから装備一式は借り受けている。憂いはなかった。

「一気に突っ込む!!」
「・・・待て」

呼びとめたのはナギであった。

「竜達の目覚めを感じる。あまり入り込むと挟撃される。
ここで構えを解かぬ方がよい」
「ええと・・・ は、はい。
警戒を解かないでおこう。しばし待機」

あまり助言を聞き入れすぎるのも、頼りない印象を与える為よくない。が、ルオのよい所はむしろ『人の助言に耳を傾けられるところ』だ。それは皆分かっている。

「・・・こねえな」
「勘違いとかだったんじゃ・・・」
「「竜だーっ!!」」

左右の祭壇が突如破砕し、魔竜と火竜がまろび出てくる。

「落ち着きなさい!!
魔竜は魔法が全く効かないわ。ライアン、ルーク!!」
「アイシャ、それ僕のセリフ・・・」
「ルオも行きなさい!!」
「はいっ!!!」
(((尻に敷かれてる・・・)))

構えが出来ていれば竜とて遅れを取る事はない。楽にとはいかないが、危なげもなく片づけてゆく。
対竜用の装備もそろえていたし、皆獅子奮迅であった。
ナバールの剣閃も、シリウスやカチュアの刺突も冴えわたる。

「ルオ」
「はい? なんですナギさん」
「わらわの力なくしても、この場はしのげよう。しかし・・・
お前は気になる事がある様子だ。何を気にしている?」
「・・・その、ミシェイル王子の事を」
「竜に跨るあのわっぱか」
「童(わっぱ)て。
・・・昔はマルス王子の敵だったけど、ミネルバさんやマリア姫にとってはたった一人のお兄さんです。僕はこの先、元の家族に会えるかどうかわからない。けど、あの三人は今が分かれ目です。彼が生きているかどうかで、この先どうなるかが随分変わる。
俺には何も出来ないけど、気になってしまうんです。助かってほしいと、そう思うから」
「なればしてやれることが一つある。この先にオームの杖の波動がある」
「おーむ?」
「命を失った者を再び呼び戻す究極魔法。瀕死の者の治療に転じる事が出来るはず。それを手に入れよ」
「そ、そんなものがっ?!」
「ただしそれは、一度使えば砕け、砂と灰になってしまう。その先仲間が死した時に、取り返しがつかぬ事となる」
「・・・・・・!」

ルオは、迷った。
皆に意見を聞く。

皆、『自分は死にはしない。ミシェイル王子を助けよう』と言ってくれたが・・・

「何を迷ってるの、ルオ? あなたらしくない」
「俺はずっとこうだよ。エゴイストな自覚くらいはあるさ。
ミネルバさんにとって大事な人だって分かってたって、この先の戦いで、誰か一人でも失うことになったら、使ってしまった事を後悔する・・・ 絶対に」
「・・・・・・
とりあえず、手に入れてからでいいわ」

確かにそうであった。
そして祭壇の周りにひしめく竜や闇の部族たちを追い払い、登り口手前を守るダークマージを倒し・・・

巨大な祭壇を見上げた。

竜が上るために積まれた石段は本当に巨大で、軍が展開できるだけの広さがあった。
山一つというほどのそれは、そのままこれから戦う敵の大きさを感じさせた。

(・・・そうだ)

ルオは、ふと先ほど言われた事を思い出した。

『お前は、数奇なる運命の子。異端にして救世主。
役目を閉じる前に、望むがいい。許されよう』

ナギはもしかして、ルオがなぜここに、この世界に来たのかを別の見方で知っているのでは?

「ナギさん。運命の子って、なんですか?
役目って、何なんですか・・・?」

ナギは、少しだけ憂う表情になってから続けた。

「竜の力とは神の力。世界の意志をねじ曲げるほどの物。それは意思ある生き物が持つべきものではなく、竜はそれゆえに、黎明の世が終わるこの時に消えゆくさだめ。
しかし神の力持つ者が滅び逝く中、その終わり方は苛烈。
力を失い、迫害を受け、世を呪い死に逝く。 怒りは当然。

神の一族と崇められ、たたえられ、愛され看取られ逝くならば、この事は起きなかった。
メディウスは竜達の最後の希望。

我ら神竜はそれさえも受け入れ、全てを人に託した。しかし地竜はもっとも人を愛した竜達。ゆえに人の竜への、竜人族への扱いをゆるせなかった。

この戦いは神の力いまだ宿すものが、全てをかけて行う戦い。
それゆえに世界の意志とかけ離れ、時に歪みさえ生み、その中で世界の意志が呼んだ異端の一つ。それが主(ぬし)」

「????」
「・・・要するに、竜の力ってのはものすごく強くって、それで世界が歪むくらいで、ルオはそのどさくさに神さまが引き込んだ『物は試し』だったって事ですか?」
「まさに」
「なんだよそれ!?」
「我に声を荒げてもせん無き事」
「そうだけど!!」
「落ち着きなさいって。・・・実はね、なんとなく予想はしてたのよ。ルオは会わなかったのかもしれないけど、ルオの世界やそのほかの世界からも、いろんな人が来てたの。
まあ、せいぜい両手のひらで数えれるくらいだと思うんだけど。
私も実際にあったのは二人だけ。ルオと、・・・ネクス」
「ネクスさんっ!?」

アイシャを『お嬢』と呼ぶ、ギルドの腕きき。
彼も、異世界から来たというのか。

「あいつは、ルオほど元の世界に執着はなかった。だから、元の世界への戻り方なんて探してない。
でも、お酒飲むと話すんだ。『変な夢を見ている』みたいな話にしてるけど、聞いた事のない道具、聞いたこともない国、時々作ってくれる、不思議な作り方の料理。
調べるうちに、他にも異世界人が来てたらしい痕跡があった。
闇市に混ざってた見たこともない、でもどう使うかわからない何かの噂。
見慣れない服でうろついていて、盗賊に殺された旅人。
少しでも頭の回る人は、『自分が異世界人だ』とは言わないわ。自分がそれを聞いたら、その人をどう思うかなんて想像できる。
ルオはその中でたまたま、一番事件のそばに近づけただけなのよ」

アイシャも確信はなかったのだろう。ネクス自身がかくしたがっていたのなら尚更。

「じゃあ、その・・・ 元の世界に戻りたい僕は、どうしたらいいんですか?」
「竜の力がこの世から消えてしまえば、それを抑えるために働いていた神の力が消える。
同時にそれによって起こっていたひずみが元に戻ろうとして膨大な力が生まれ、お前はそれに巻き込まれる。
そのネクスとやらや、他に巻き込まれた物たちも、何らかの形で。
それを操れば、元の世界の戻るという事も可能性が出てくる。
主が願うのなら、我がその役を果たそう」

帰れる。
元の。
僕の世界に・・・

「あのっ!! 他の人たち・・・ 僕の他の異世界人はどうなるんですか!?」
「巻き込まれてどうなるかは予測がつかぬ」
「その人たちもついでに、戻してあげたりとか出来ますか!?」
「次元のひずみの大きさによるが、メディウスほどの魔竜を封印して出来るひずみなら、十やそこらの子らなら何とかなろう」
「なら・・・ あ、でも」

ネクスのように、ここを離れたくない人間もいるかもしれない。
いや、ネクスも本心は戻りたいかもという事もある。

「・・・異世界人が誰なのか分かっていると良かったのに・・・」
「歪みの波動を追えば容易である」
「嘘っ!?」

このナギという竜王、最終決戦の助っ人というより、ルオにとってのデウス・エクス・マキナそのものである。

「じゃあ、その人たちに聞いてあげて下さい! 元の世界に戻りたいかどうかを・・・
戻りたいと言った人たちを、元の世界に帰してあげたいんです!!」
「よかろう。他にはあるか?」

・・・・・・

「・・・この世界の人を、僕の世界に連れて行ってしまうというのは、出来る事ですか?」
「それは、世界が・・・ 神がどう見るかによる。
連れ出されるその者が、お前との縁がいかに深いか、お前とともにいる事や、別の世界に行くことを望むか。
いかにそばにいたか。
どうすれば確実に連れ行けるというものはない。歪みを利用することゆえに、前例がない」

そう聞いて。
アイシャはルオの手を握った。

「アイ、シャ」

ルオは、俯く彼女の名を呼んだ後、優しく握り返した。

連れ出されるその者が、お前との縁がいかに深いか、お前とともにいる事や、別の世界に行くことを望むか。


いかに そばにいたか。

多分、アイシャはその瞬間が訪れるまでその手を放してくれないだろう。

「・・・敵わないなあ」

ぼそりとカタリナが言う。

「ルオ。よかったら、私も連れて行って下さい」

それでも、言うだけは言う。
きっと、無理だとは思うけれど、でも。

ルオはずっと忘れられなくなるだろうから。


その時。


「・・・ルオ、ご苦労だったね」
「マルス様!!」

そこには、マルスと、ミネルバと、そして・・・

大きな棺桶があった。


「・・・ごめんなさい。マフーのせいで、回復魔法がうまく効いてくれなかった。
傷も深すぎて・・・」

リンダの傍らで奥歯を噛み締めるミネルバの姿が、どうしようもなく痛々しかった。

第22章 竜の祭壇 終
by おかのん (2013-01-26 11:00) 

ぽ村

>>おかのん
投下サンキュ

クライマックスに向けてスゴイ展開w

その後は姉妹に任せて、ミシェイルは死んでてくれたままのほうが良いような・・・
生きてても火種にしかならんしw;

ルオちんがどう判断するか・・・というか、ルオが判断して良いことなんだろうか(爆)


しかし複数いて、そこなmobも一員とはな。。。
by ぽ村 (2013-01-26 15:39) 

おかのん

>ルオが判断していいのか

この時の『みんな』って、親衛隊だけだったので。
ナギもマルスよりルオ寄りです。

第23章 魔王再び

「ミシェイル王子が、託してくれた・・・」
「これは・・・ スターライト・エクスプロージョン」

マルスに見せられたそれは、ガーネフを倒しえる唯一の魔法であった。

オームの杖の話は、『ミシェイルが死にかけている』・・・つまり助かる可能性もあったから、迷った。だが、その時に感じた可能性が頭をもたげる。

もし、他の仲間が命を落とした時に、オームの杖を使ってしまった後だったら。

ミシェイル王子はマケドニアの正当な後継者であった事も悩みの種だ。ドル―アの存在したころとは事情が違うとはいえ、その野心がもう存在しない保証もない。
皆の意見も同じようで、オームの杖の事を言い出す人間はいなかった。
偶然にも、親ミシェイルの人間、マケドニア人などは、さっきの会話のときにこの場にいなかった。

マルスは祭壇の上部をにらんで叫ぶ。

「ガーネフ・・・ お前は絶対に許さない!!」

人の善性を信じ、何よりミネルバやマリアの事を、あの戦争で共に家族を引き裂かれた者同士として思いやるマルスにしてみれば、杖の事を知れば助けない選択肢はあり得ない。それを思えば、ますますどうすればいいか分からなくなるルオだった。

(ルオ・・・ どうするの?)
(う~ん・・・)

ミネルバ達も合流し、祭壇を駆け上がる準備をしながら、ルオは悩み続けた。


選択肢

まず、ミシェイルについて。

実際のゲームではここで、脈絡なく『助かる』形になります。
ので、生き返らせる話にするなら、出撃が可能となります。

オームの杖とハマーン(武器使用回数復活)の杖を入手するかどうか。

1・ワープとレスキューを使って、入手する。(魔導士と戦う事になります。誰を送り込むかも選んでください)
2・いらない。

入手した場合。オームの杖の使い方

1・ミシェイル王子を復活させる(ゲーム上ではそもそも死んでませんが、必要だった事にしてオームを消費します)
2・他のメンバーが命を落とすかもしれないので取っておく。
3・取って置いた上で、誰も死なずにエンディングを迎えるようならミシェイルを復活させる。

そしていつものメンバー選び。

マルスとルオは出るとしまして。

ルーク、ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、マリク。ナバール、フィーナ。
ユベロとシリウス、マリーシア、カチュア。
バーツ、ジュリアン、リカード、チェイニー。
カタリナ。ユミル。リンダ、ミネルバ。
そしてミシェイル。

10人を選んでください。

前回同様、竜と魔導士のオンパレードなステージです。
では、どうぞ。
by おかのん (2013-02-03 08:28) 

ぽ村

>>おかのん

んー・・・・・・
んーーーー・・・・・

ミシェイルをどうするかでかなり悩むな・・・・

昼間にこの投下見てダラダラ悩んでる・・・


一眠りして決めるか・・・
保留!
by ぽ村 (2013-02-04 00:04) 

ぽ村

保留から復活

ココではガーネフと戦うのかしら?
なら確かスターライトは必要・・・
ルーク、ライアン、
シーダ、マリク、フィーナ、シリウス、マリーシア、ジュリアン、リンダ、ミネルバ。
なら面子的にダイジョブじゃなかいかなと

宝は・・・戦力的にダイジョブならジュリアン、無理ならマルスでどうだろう;

杖は・・・
3で。
マルスが隠し持って、ミネルバさんちとの今後のためのサプライズに出すんでどうよ。
ミネルバもミシェイルとマリア両方が死んだらマリアを生き返らせて欲しいだろうしw;
by ぽ村 (2013-02-04 15:26) 

おかのん

オームの杖をどうするか。散々迷った末に、

「・・・保留で。例えば万一マリア姫が死んでたら、ミネルバさんはミシェイル王子を助けた後だったらどう思うか、とか・・・
僕の判断だけでこの場で決めるのは無茶だよ」
「まあ、この際仕方ないわね」

ルオは我ながら優柔不断であると思ったが、しょうがない。
そもそも、ルオにも大切な物の順番はあるのだ。アイシャがこの戦いで命を落とさない保証もない。

「というわけでジュリアンさん。よろしく頼みます、こっそりと」
「OK。むしろそういうのが専門さ」
「行きますよー。ワープ!!」

マリーシアの魔法で、本来行けない場所にある宝箱を探る。
そこには闇の僧侶も居たが、彼らは杖使いであった。無抵抗の、しかしリザーブ(自軍全員を回復させる杖)という、戦略的に大きな位置にある敵を屠り、ジュリアンは大活躍となる。

「あったぜルオ。オームの杖。これで一人だけなら生き返らせる事が出来るんだな」
「ええ、ありがとうございます」

実際、最後の決戦の場だけあって、乱れ飛ぶ『ウォーム』や『メティオ』。火竜と魔竜の波状攻撃。一歩間違えば誰が命を落としてもおかしくなかった。
別ののぼり口を探したために、ロディやセシルがいないのも痛かった。魔導士相手が多いだけに、魔法防御の高いパラディンやファルコンナイトに多く参戦して欲しかったのだが。
囮役を務めるのはルオやルークが必然的に多くなり、魔法に関してはからっきしのルオは、アイシャをかばって、メティオで大ダメージを食らう場面もあった。

「ぐぅっ・・・」
「ルオっ!!」
「大丈夫ですか?」
「うん、かすり傷さとは言えないけど」
「ライブ・・・!!」

カタリナの杖がルオを癒やす。

「ルオ。ごめんなさい・・・」
「いいんだアイシャ。君の顔にこれ以上傷を増やしたくない」

それは、思われてるという意味では嬉しく、既にある傷を思い起こさせるという意味ではデリカシーのない言葉だった。
ルオはアイシャを見る時に、目の事を気にしはしないだろう。恋人程度なら、二人だけの世界だ。それでもいい。
しかし、結ばれると・・・ 添い遂げようとするなら話は別だ。ミネルバにも言われた。ただでさえ、この大陸の英雄の片腕と、盗賊の首領の恋。いくらギルドがギルドだからと言って、盗賊の寄り集まりである以上、そういう目でしか見ない人たちはいる。

(もし・・・ 子供でも生まれたら、どうなるんだろう)

女とすれば、夢を膨らませていいはずの想像にさえ、失われたその目が影を落とす。
どう取り繕おうと、その眼帯は烙印となる。過去に荒事をしていたか、キズものにされたか、そういう輩の子か・・・
子供にとって、親とは。
その重さが分かるからこそ、今の至らない、そして過ちを背負う自分が口惜しい。

「・・・アイシャ?」
「! ・・・何でもないの、ごめん。ルオ・・・」

それでもその手を放したくない。ルオが自分を選んでくれたその事実が、全てを乗り越えて行かせてくれると信じたい。
・・・それがかなわなかった仲間を知っていても。
いや、知っているからこそ解けた事がある。
なぜ、そんな希望にすがったのか。という事。

・・・手を放してしまえば、自分が幸せになどなれないと思ってしまったから。


 ・


祭壇の上には、4人の暗黒司祭と、それらと闇の波動でつながっているガーネフの姿があった。

「ぐくくくくくく・・・・・・ 遅かったな。もう、ほんのわずかだ。暗黒竜の真の復活がなる。
2年前のメディウスとは格が違うぞ。あんな地竜に毛の生えたような醜い竜ではない。神竜と対をなす神そのもの、邪神の王にして闇の王!! 黒魔竜の降臨だ!!!!!!!!!!」
「させない!! その前にガーネフ、貴様を倒して見せるっ!!」
「ぐはははは。出来るわけがなかろうが。怨霊となった我が身だが、マフーは我の一部となり、剣どころか魔術も通じぬぞ!!」
「・・・それについては、かの英雄の再来が、道を示してくれた!!!!」

そうしてマリクが広げた魔導書は、空間をゆがめる。
開いた空間には満天の星空がきらめき、そこからは星の閃光が差し込んでガーネフに殺到する!!

「ぐぎゃあああああああっ!! そ・・・ それはスターライト・エクスプロージョン・・・!!
おのれ、闇の部族どもめ。ミシェイルの始末、しくじりおったか。このような時に・・・!」
「終わりだ、ガーネフ!!!」
再び煌めくスターライト。
「このようなところで・・・! ええい!!」

そこで、ガーネフはある物を見つけた。

「・・・!! ふははっ!!」

ガーネフは闇の司祭のくびきを放し、手近にいたその魔導士に乗り移った。

「きゃあああっ・・・!!」
{ぐくくくくく・・・}

その魔導士は、かつてエレミヤが手駒としていた娘であった。
ガーネフは、その娘の抱える闇の深さに気づいていた。

思いがけない幸運である。かりそめの体とするには都合がよい。しかもここにいるという事はエレミヤを裏切ったのだろう。そしてアリティア軍とは、仲間ならば傷つけることなど出来ないという偽善者の群れだ。スターライトであっさり破られるマフーなどよりも絶対的な盾となる。この娘そのものが!!

「カタリナ!!!」
{ぐはははははっ!! さあ攻撃してみるがいい。大事な大事な仲間だろう!?}
「きさまぁああっ!!!」
{おっと、既にこの娘の心は消え失せているとか、そういう事は期待するなよ。我さえ消えればこの娘は何一つ失うことなく元に戻るだろう。しかし我をどうやって倒す!? 体を傷つける事さえできないお前らが!? こまったなぁあああああ!!?}

嘲笑を続けるガーネフの声と。

「ル、オ・・・」
「カタリナっ!!」

苦しそうにくぐもる、しかし確かに本人の、カタリナの声。

「嫌、です・・・ こんなの・・・ 私、死にたくない。やっと、そう思えたのに。
取り戻せない仲間達も、エレミヤ様の事も全部、辛かったけど。
今まで何人もの人を殺してきて、その手伝いをして、今更その罪に気づいて、押しつぶされそうだったけど・・・
それでも、死んじゃダメだって、だからこそ、しっかりと生きていこうって、誓ったのに・・・!」
「あ、ああ・・・・・・」
「たす、けて、 ルオ・・・・・・!!」
「ガァアアアアアアネフゥゥゥウウウウウッ!!!!!!!」
{さあ、どうするどうする!? 分かるだろう。この娘の魂の叫びだと、お前らなら分かるだろう!?
当然だ。わしには思いつかぬか弱さよな。わしとは違う切なき闇よな!?}

その瞬間、カタリナは構える。
ねっとりとした霧が紫の不気味な光を背負い、放たれる。
最悪の暗黒魔法。

「マフー!!!!!!!!!!」

「ぎゃああああああっ・・・!!!」

わずかに触れたマリクの腕の皮が、削り取られるように腐り落ちる。

「マリクっ!!!」

暗黒竜メディウスの復活と、攫われたシスターを目の前にして。
アリティアの精鋭達は、最大の窮地に陥っていた。


選択肢

ええと。
ゲームではこんな場面はないんですが、オリジナル要素という事で。
このままだと最初に関わってきたはずのヒロインが最終決戦でついて来ただけになってしまうのでね。

さて、ガーネフに取りつかれたカタリナ。
どうする?

1・命さえあれば何とか。ギリギリの線まで痛めつけ、ガーネフを追いだす。
2・ミシェイル王子を諦めて、カタリナを生き返らせればいいや。殺害して、出て来たとこをスターライトで。
3・カタリナ自身がガーネフを追いだせばいい。語りかけ続けよう!!

では、どうぞ。
by おかのん (2013-02-10 13:32) 

ぽ村

>>おかのん

ぬきゃー!
「あれ、出場させて無いけど・・・と思っていたらw

本筋ヒロインの大舞台?

とりあえずは 久遠 大苦戦乙w;

選択肢はヲレなら「うはwwwwヲレあったまいー!!」って2にするけど、
ルオには無理だろなので3

by ぽ村 (2013-02-11 12:30) 

おかのん

どうすればいいのか。
カタリナを傷つけるわけにはいかない。だが、ガーネフをこのままにはしておけない。
マフーを破れなければ、最悪ここでアリティア軍は全滅する。取り逃がせば、世界はまた混乱を繰り返すだろう。

「カタリナ、カタリナっ!!!!」
{ぐふははははは。無駄だ! この娘は孤児である事で、世の中すべてを恨んでおる。自分をゴミだと正しく認識しておったし、等しく周りもゴミであると思っている!!}

勿論ルオは反発する。

「そんなことない!! カタリナは、嘘は言わなかった。言ったのは、アイシャとの賭けの時の一回だけだ。なら、カタリナは恨んでない。ちゃんと愛して欲しかっただけだ!!」
{戯言を・・・!}
「カタリナは言ってた。『マルス様やルオと一緒に、誰かを幸せにしていくために頑張る未来を想像して、私も幸せを感じる』と!!
そんな子が誰にどういわれたって、ゴミなわけがあるか!!
そんな思いがあってさえ、遠い昔に差しのべられた手を振り払えなかった、臆病で、純粋な子だ。ちゃんと立てるようになるまで、見守ってあげなきゃならないんだ。やっとその場所に立てたんだ。仲間や、過去の罪まで背負って、それでも立とうとした強い子でもあるんだ!!!!
どんな人間だって、周りから受けた何かで変わっていくんだ。やり直すのが難しくても、手遅れなんて人間はいない。
ガーネフ、お前はどうだ!? お前がそんな野心を持ったのは、誰のせいだ!!
そしてそれは、お前を幸せに出来たのかよ。お前の望みがかなって、世界征服なんて出来たとして、それでお前は幸せになれるのかよ!?」
{若僧が、賢しげに説教か!? 虫唾が走るわっ!!!!!!}

ルオは、本気だった。ガーネフだって、魔王だ怨霊だと変わってしまう前は、ただの思い込みの激しめな魔導士だったのだ。
ガトーがオーラの後継をミロア大司祭・・・リンダの父とした事で歪んだという。嫉妬が原因で、こうなったと。

カタリナは、もう変わった。いや、歪みを治そうと頑張り始めた。
ちゃんと生きていきたいと、今さっきそう言っていた。

「ガーネフ!! カタリナを、返せっ!!!!」
{死ねぇぇぇぇえええええっ!! マフー!!!}

瘴気の渦がアリティア軍を襲う。触れたそばから体を鎧や服ごと腐り落とす闇の霧に、なすすべがない。マリーシアのマジックシールドの中で縮こまるしかないのだ。

「ぅうう・・・ げ、限界ですうぅ・・・!!!」

マフーは、ガーネフが『カタリナ』という器を手に入れた以上、無限である。しかしマジックシールドはいずれ尽きてしまう。

{くくく、安心するがいい。貴様らを全滅させた後、この体は使い続けてくれる。骨の髄までしゃぶった後は、ボロ雑巾のように捨ててくれる。わしのやりようを間近で見ているだけで、この娘は憔悴していく。それも愉快な事よ。エレミヤのように心に歪みをかけて、取り返しのつかぬところで正気に戻すというのも愉快であったがな!!}


・・・え?



カタリナとガーネフの魂は、今繋がっている状態だ。カタリナがそれを探ると、エレミヤの真実が見えた。

彼女は、変わってしまったのではない。ガーネフの術にかかっていたのだ。
ハーディンのように、心が悲しみに支配された隙を突かれて。
戦災で親を亡くし、傷ついた孤児たちを、戦災で失ってしまったあの時に。

『ああ・・・ あああっ・・・』

あの子たちにこの世界で、生まれた事を呪ってほしくなかった。命という奇跡がそれぞれに紡がれている中で、それが少しでも暖かいものであるように願った。そして、そうしてやるどころか、守ることすら出来なかった自分に絶望した。
本当は何をしてあげればよかったのだろう。どうすればこんなことになるのを止められたのだろう。
ガーネフの記憶の中で、カタリナの慕ったままのエレミヤが、世の理不尽に巻き込まれた愛する者たちを前に苦悩していた。

ガーネフの『彼ら自身が自分を守るだけの力を手に入れればよかったのだ』という言葉は、真実だった。確かに、力があれば、一度逃げる事も、逃げ遅れた者を助け出す事も、これからを身一つの今から生き抜く事も可能だった。多少の理不尽に耐える精神も、自らを錬する手段の獲得も、確かに必要だったのだ。
その思いに付け込まれて、エレミヤはガーネフの傀儡となり、暗殺団の首領となり果てた・・・
それをほくそ笑むガーネフの感情さえ、記憶を彩った。


ギ  シ


{がっ・・・!!!?}


カタリナの・・・ガーネフの動きが止まる。

「お ま え か」

その顔は、今まで以上に歪み、人を蔑むような笑みの代わりに、純粋な怒りと悲しみが激しく渦巻いていた。

「お ま え の  せ い か」
{うげっ・・・? ががぁっ!!!!}

ガーネフの記憶のつい最近まで。
エレミヤにかけていた術が解かれ、今までしてきた過酷に過ぎる訓練、ついてこれぬ者、一度失敗した者、もう動けぬ者を切り捨てた事をエレミヤは思い出す。愛した者たちをゴミ屑のように扱った事をもう一度反芻し、涸れつくすような悲鳴をあげて悔み、心を壊して倒れ伏した、優しき人。

その最後を、カタリナは・・・
ガーネフの愉悦とともに、嘲笑とともに知る。

「うあああああああああああああああああああああああっ!!!」

カタリナが。
その小さな胸を自らつかみ、握りつぶそうと力を込めている。


「まさか・・・ カタリナ?」
「よくも・・・ よくもエレミヤ様を・・・!! 
よくもあたし達をっ・・・・・・!!!!!!」

いままで、カタリナは『怒った』事などなかった。
悲しんだ事、諦めた事、呆れた事、そんなことは何度もあったけど。

許せないと思ったのは、これが、初めて。

もう戻る事のない、あんなに大切だったものが。


・・・・・・こいつに、あんな風に壊されていたなんて。

「ガァァァァアアアアアアネフゥゥゥゥウウウウウゥウゥウっ!!」


自らの心臓を魔法で圧迫する。
勿論ただでは済まないだろうし、その痛みは筆舌に尽くしがたい筈である。
けれど。
その痛みはガーネフにも伝わるのが分かっているから。
その痛みが堪えられぬほどの激しさであればあるほど、カタリナの精神には歓喜さえ映す。

{ぐぎがががあああああっ!!!!!!}
「エレミヤ様は、もっと・・・ それを、お前が!!!
許さない・・・ 許さないっ・・・!!!

ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

あんなに優しい人が。愛した者たちを失って。
その後にさせられた事を。あんな風に見せられて。
それを、笑っていた?

エレミヤ様はやはりエレミヤ様だった。
ガーネフの記憶の中で、いつも私達を慈しんでいた。
それを、歪めたのは。

酷い。
・・・酷過ぎる。
エレミヤ様が、私達が。ガーネフ、お前に何をしたというの。
個性をそぎ取られて捨て駒にされたローロー。
帰る事もあきらめたクライネ。
みんなの苦しみは、耐えただけの短い命は、一体何の意味があった。

「お前に、何の権利があってそんな事が許されたというの!?」
{うぐぎゃぁああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!}

この痛みは全て、ガーネフにも伝わる。
そう思うと、カタリナは自分を壊し始めた。
なるべくむごく。堪えられぬほどの痛みを。
私達の、万分の一でも。

「やめろっ!! カタリナぁっ!!!
君自身も死んでしまうっ!!!!!」

ルオの言葉は届いてはいた。だが、それがなんだ。
こいつを地獄の苦しみの最中で惨めに消え去る瞬間を感じられるのなら、その程度の事が何だというのだ。
私のすべてをあんな風に壊したこいつを、今私が苦しんで死ぬだけの事でかなえられる。
いや、それが出来ないままにこのまま生きていけるはずもない!!!

その怒りも、その思いも、悲しみも。
ガーネフに伝わった。
この娘が、カタリナが。本気でそれを望み、そうするつもりだと。
その思いに触れて、ガーネフは後悔や改心をしたわけではない。しかし、その思いに恐怖した。
今のこの娘になら、マフーを手に入れ怨霊となり果て、暗黒魔王となったこのガーネフを消滅させられるという事実に戦慄した。
その恐怖をカタリナに気づかれ、さらにそこに彼女の限りない歓喜を見出した時。

ガーネフは、逃げ出した。

{ひぃぃぃぃいいいいいいいいっ!!!!!!}

「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!

マリクさんっ!!!!」
「あ・・ああ!! 混沌の海にたゆたう神々のまたたきよ。寄りて寄りて魔を滅せよ!!
スターライトッ・エックスプロージョンッ!!!!!!!!!!!」

魔導書の力が、空間をゆがめる。
開いた空間には満天の星空がきらめき、そこからは星の閃光が差し込んで、出て来たガーネフに殺到する!!

{ぎゃああああああああああああああああああっ!!!!}



カタリナの体から出てしまえば、狙い撃ちされるのは当然だ。
それは分かっていたはずだ。
それでも出てゆかねばならぬほどに、恐怖を覚えたのだろう。

結局、魔王ガーネフは・・・


誰とも寄り添うことなく、他者を怖がる事しか出来ずに、消え去った。


 ・


カタリナは、自失していた。
極地までいった感情が、自らを傷つける事で与えたダメージの代償が、彼女自身をボロボロにした。
リンダのリライブが体そのものは回復させたものの、心まではどうにもならない。

「・・・・・・」
「カタリナ・・・」

それでも、アリティア軍は・・・ ルオは、ここで立ち止まるわけにはいかない。
すぐ目の前の祭壇では、暗黒竜が今まさに復活しようとしているのだ。

「カタリナ、よく・・・頑張ったね。後は僕らが何とかして見せる」
「・・・ルオ」
「ガーネフは、君だからこそ倒せた。心からそう思うよ。
君こそが英雄で・・・そして。
君が望んだのがそんな栄誉ではない事は、僕はよく分かるつもりだ」
「マルス様・・・」

マルスもそうだった。ただ、失いたくない物があっただけだ。
父や母は帰ってはこなかった。それでも前にすすまなければならない所まで似ていた。

ルオは隊長として命じた。

「誰か一人・・・カタリナについていてくれ」

そう言い残すとルオは、ナギに歩み寄った。


「お願いしたい事が、あります。
出来るかどうかなんて分からないけど」
「・・・言うがいい。運命の子よ」

それこそ、それは。



デウス・エクス・マキナ。



選択肢

さて、次回から章的には最終決戦です。
そのまえに。

今回のガーネフとの戦いで、カタリナはリタイヤです。といっても、実質ガーネフを倒す大金星なんですが・・・
そのせいで憔悴したカタリナ。ルオの言葉通り、誰か付いていないと。
彼女が落ち着けるように、近しい人間・・・元第七の誰かがいたほうがいいという理由で、近衛隊から一人。
つまり近衛隊の一人はカタリナの付き添いで最終決戦に出れ無くなります。

ルーク、ロディ、セシル、ライアン。

この中から一人、付添リタイヤを決めて下さい。

では、どうぞ~。

by おかのん (2013-02-15 13:49) 

おかのん

さて、最終決戦を前にいつもの方法でうpしましたので写真を持って行って下さいーどうぞ。

by おかのん (2013-02-15 22:40) 

ぽ村

>>おかのん
ぬああああああ
せ、正解なのかのう・・・どのみち離脱なので判断できんが、死ぬよりはずっと良い結果か。

えーっと選択肢ですが・・・

チビ「にゃおー♪ヘ(゚ω゚ヘ)三」

ルーク「・・・・・・・・・・・・・・まじか」
ルオ「一番打ち解けてるのはルークだったね。カタリナの傍に居て、安心させてくれ」
ルーク「かまわなねぇけどよ・・・大丈夫か?戦力は」
ルオ「大丈夫・・・・・・」
リカード「オッシャー最終決戦だーぜー!」
ルオ「・・・・多分?」

ロディ「おかしなことするなよ?」

ルーク「Σ(´∀`||;)ドキッ!!な、なんだよそれwww」

ルオ「・・・・多分・・・・」

で、ルークで


ロディ・セシルは最近休みがちだったが、レベルとか大丈夫だろーかw;

写真取りに行ってくるか
by ぽ村 (2013-02-16 18:25) 

おかのん

おおーう・・・なんと。近衛隊最強(ルオ含めても)のルークですか。ロディ・セシルの力量に心配はないですけどね。

そしてリカードはなぜここまで付いてきているのか全く不明w

by おかのん (2013-02-16 21:19) 

ぽ村

>>おかのん

ああ、一応寸劇で複線張っていたからな・・・

戦力的にも頼りすぎだったので一足お先に休ませても良いだろう。

リカード「・・・・だってよ!王子も価値無いとか言われてるよ!」
ユベロ「Σ(゚д゚lll)ガーン」
by ぽ村 (2013-02-17 12:29) 

ぽ村

遅ればせながら、最終マップ直前までの写真うpびん
by ぽ村 (2013-02-19 02:14) 

おかのん

終章 光と影

竜を神として崇め。

竜の怒りで滅びかけ。

竜の王によって救われ。

竜の英知と竜の遺産で命は受け継がれてきた。人が神に愛された証としてそこにあった。

現実がどうあろうと、栄華と滅びさえ過ちから生まれた破滅への序曲であったとしても。


そんなこの大陸の人間にとって・・・・・・


この光景は、『絶望』以外の何を映すのか。


そこには、数々の種の竜がひしめいていた。
炎を吐き、溶かすようにすべてを焼き尽くす火竜。そこにいるだけで全てを無音の檻に封じる氷竜。瞬きの間に千里を超える翼で襲い来る飛竜、人が唯一人を超える力として神と戦う槍としてきた魔法を全く意に介さない魔竜。大地の無限の命の力を具現化したその体躯で死することなく闇の吐息をまき散らす地竜。
それらの竜が無限に湧き出し、今もなお増え続け、目を覚ましたばかりの飢えを満たす何かを探している。

神が、己らを食おうと地の底から尽きることなくはい出てくる光景。
自らが家畜や狩の獲物をさばく時に抱く感情を知っていればわかる。
ただ「いつもの事」をする時のその思いのつまらなさと。
口にした時の快楽を想像しての高揚感。
ただそれだけのものであるという『絶対』。

それに、逆らう。


その力があるという不自然を、振いきる決意。

 ・


カラー・・・ ン

ガーネフの消滅した空間から、まろび出てきたのは一本の剣。

「これは・・・!!」

それこそ、メディウスを倒したとされる、竜神の牙を削って造られたと言われる、竜殺しの神剣、ファルシオンだった。
神より託された、ひと振りの希望。それは今、やはり希望と重ね合わせて語られる、勇者の末の手に戻った。

マルスは祭壇を登り始める。仲間たちとともに。
「群の英雄」と呼ばれ、いまや『英雄王』となったマルス。
神達の諍いは、人の手で決着がつこうとしていた。
自らおこした、過ちの償いとともに。


そして。

その運命に巻き込まれた者達のこれまでとこれからも、一人の少年の思いが答えを出そうとしていた。

「僕は、望んでも・・・いいんですよね」
「然り。運命の子よ。お前にはそれだけの権利がある。それだけの働きをしたと、神竜王が認めよう」

元の世界に戻れる。それはルオの悲願でもあった。
そして、そこにアイシャを連れてゆくことも可能だとのことだった。

「メディウスが無理に復活した事で、次元が歪んでいる。それを利用して招いたのが運命の子ら。歪みが戻る時には、歪めた以上の力が生み出されるであろう。その力の流れを導けば、運命の子らのすべてを、その者の思う形で導く事は出来るであろう」
「・・・その力、余りませんか?」
「? ・・・何か願いがあるか? 構わぬ。そうしてなお歪みの戻る時の力は残ろう。言うがいい」
「・・・一言で説明しにくいんですが・・・ ええと」
「ふむ」

少し首をかしげたナギは、ルオとおでこをくっつける。

「!?」
「・・・成程。愛いの。お主」
「・・・ええと」
「お主の思いを読んだ。やってみよう。ただし、それでは・・・ 力の流れはほとんどが『それ』に行こう。やれて十数人。そして、『お主の分』は、残らぬぞ」
「・・・それでも、いいです。だって、そんな物を残したまま、気にせず普通に生きていくなんて僕には出来ない」
「くく。愛い愛い。娘、この男を離すでないぞ」
「? ・・・ええ。もとより」

少し赤くなっておでこをさするルオ。

「いてっ! あ、アイシャ?」

繋いだ手に力が入ったのは、やきもち半分、決意半分。
ルオの決意を、今は聞かない。怖い。
信じて、いるけど。


ナギは再び口を開く。

「神竜の加護を与えよう。ただし、出来て十数人というところであるがな」

つまり、この祭壇で竜と戦う事が出来るのは、加護を受けるたったの十数人だという事だ。

{『十数人』って・・・この事?}

言葉に出さないアイシャの問いに答える者はいない。


そして・・・・・・

「あれは・・・!!」


マルスがその目を向けた先には、メディウスの姿。そして、その四方を囲む四人のシスターの姿。
子を成すための生命力と魂の力を解放する方法を知らない、つまりは穢れのない娘であり、同時に人の上に立つ立場であることを自覚し、幼きころから磨き続けてきた高貴な魂。
それは、暗黒竜が復活する時に全て奪われ、涸れ果てる。

「皆、目がうつろだ・・・ 多分、ガーネフに術をかけられたままなんだ」

その心にかけられたくびきは、やすやすと解けるものではないだろう。
カタリナのように、その魂に響く言葉でなければ、闇に沈んだその精神が浮き上がる事はあるまい。

アカネイアという、この大陸の主の・・・唯一の血筋となった女、ニーナ。
望む望まぬに関わらず、愛され、恨まれ、利用され、翻弄された王女。
誰もが王の血をその瞳に見て、誰一人その娘を顧みなかった。
真実に愛したろう二人の男は、一人は皇帝となってこの世を闇に沈めかけたのちに死に至り、もう一人は未だに生死さえつかめない。

辺境の聖女、レナ。
ミシェイルに寵愛を受ける筈であったマケドニア貴族よりの出生でありながら、野に下って、今救いを求める民達に寄り添おうとする慈母。
それ故に一人の女として誰かを愛するなどという事はしてはこなかった。
その彼女に、誰の言葉ならば届くと言うのか。

マケドニアの至宝、マリア。
ドル―アと連合を結び、この大陸を混乱に陥れた一端である国として、苦難を強いられたマケドニアにあって、ミシェイルに代わるリーダーであらねばならなかったミネルバと並んで、皆が守りゆこうとする国の象徴であった、たった十才の幼子。
兄が父を殺し、姉と諍い殺しあう中で、一人牢獄で泣いた、しかしそれでも再び家族が手を取り合う日が来ると信じていた末の娘。
何よりも望む物は、この戦いの最中常に遠くあった。
彼女の声を聞き届ける神などいない。ならば・・・・・・
誰が叶えるべきなのか。

アリティアの巫女、エリス。
アリティア落城の際、マルスを逃がすために残った実姉。
彼女は穏やかでありながらも、一国の姫である事は忘れずにいた。
彼女の望む物は常に周りにあり、それ以上を彼女が望む事もまたなかった。
そう、女として愛するその相手さえも決まっていて、そしてそれはそうあるべきと義務感で愛した者ではない。エリス自身もそう望み、育んだ愛であった。
先の戦の最中、籠の鳥としての生活の中、何度その幼馴染のあどけない笑顔を思い出したろう。
心さえ囚われている今、その青年は実の弟よりも彼女の心を慰めていた。

「くっ・・・ 姉上達を盾にしているだと・・・!」
「彼女達の生命力を奪い尽くしてしまった時が、暗黒竜の完全復活でしょう。それまでに倒さねばならない。のに、それを邪魔するのが救わねばならない姫君達とは・・・!」
「どうすれば・・・どうすればいいんだ!!」

軍師であったジェイガンにも、皆目見当はつかない。
けれど、ガーネフとの戦いでカタリナは己を取り戻している。それは確かな手掛かりであった。

「マルス様」
「ルオ・・・」
「カタリナには、届きました。僕の声が」
「・・・・・・!!」

選択肢

はっきり言ってこのマップは手加減、小細工なしの総力戦。
なので戦略も武器の出し惜しみも無しで。

まずはメンバー選定です。
マルス、ルオは強制出撃。そして、シリウス、ジュリアン、ミネルバ、マリクも行きます。
後6人を選んでください。

ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、ナバール、フィーナ。
ユベロ、マリーシア、カチュア。
バーツ、リカード、チェイニー。
ユミル。リンダ。

そして、姫君達の心の呪いを解くのは?
誰が誰に話しかけるかがカギになります。四つの組み合わせを作ってください。
<例;(ルオXアイシャ)>

そして。
これが最後の選択肢になると思います。

メディウスのとどめ、誰がさす?
1・やっぱここは王道でしょう。ガーネフの持っていたファルシオンで、マルスがとどめを。
2・マスターソードやメリクルなら何とかなる。ここはルオが一つ。
3・いや別に誰でも・・・倒せる時に倒しておきゃいいじゃん。まあマルス以外は苦戦必至なんだけど。
4・ご指名があれば。(要記述)

選択によってちょっと展開を変えます。ええと・・・
まあ『とどめをさした人よりの話になる』と思ってくれていいです。
ただし、4は注意。レベル次第ではどう頑張っても無理な場合が。
ルオは心配ないけど。
マルスは楽勝です。

では、どうぞ!

by おかのん (2013-02-19 13:31) 

ぽ村

>>おかのん
願いのアレがとても気になる

十数人のは「でっかい力を十数に分割するよ?」って意味かなぁ。
だとしたら他の連中の願いも気になるけど

リンダ「マリクさんもう1人ください!」
セシル「浮気しても怒られないようにしてください!」
ミネルバ「マリアを保存用、観賞用、プレイ用、布教用に4人ほど追加してもらえんだろうか・・・」
カチュア「まるs・・・・・・・・(言ったら頃される)」

面子
ロディ、セシル、ライアン。
シーダ、フィーナ、マリーシアでどうだろう。

組み合わせは簡単じゃん?
ニーナはシリウス(・д・)チッ

レナはジュリアン

マリアはミネルバ

エリスはマリク

と、これでFA。

トドメはマルスといいたいが、ヲレのリプレイでゴードンがトドメさしたのが楽しかったので、誰でもいいや。3w

リカード「よっしゃ、ココでオイラが!」
ユベロ「僕だって!」
いいから寝てろ
by ぽ村 (2013-02-19 15:34) 

おかのん

つーづきー。

・・・長すぎるので分割。後2、3回はありそうだなあ・・・

 ・

「どうすればいい・・・!!」

そう歯がみするマルスに、しかし示す答えをルオは持っていた。
カタリナと同じ方法が、使えるはずなのだ。

「マルス様、彼女達に語りかける言葉を持つ者達がいます。ぼっ・・・俺の、言葉が、カタリナに届いたみたいに!
彼らの言葉も、ちゃんと、届く!!」

マルスが振り向くと、そこには彼女らに近しい者達が、決意を胸にした顔をしてそこにいた。

「うん。・・・うん! ありがとう、ルオ。みんな!!
彼女達を救い出す!!」

まずは、彼女達とメディウスを取り囲む竜達を倒さねばならない。

「「「露払いは、任せ」ろ」て」て下さい!!!!」

近衛隊の皆も、奮闘する。
ナギにかけられた秘法によって、その力を神の領域まで引き上げられたそれぞれは、一個大隊をしてようやく倒しうる竜を、単身で屠っていく。

「グラディウスの槍よ、邪竜の眉間を貫けっ!!」
「マスターソード必殺!! 閃っ!!!」
「勇者の弓の、鏃の雨!!」

倒れ伏し、かき分けられていく竜達。そして、シスターたちの前に、それぞれが立つ。


 ・

「レナさん、どうしちまったんだよ。正気に戻ってくれよ!! ・・・俺、なんにも持ってない、何にも出来ない男だけど。でも、あんたのためならどんな事でもするよ。やれるようになってみせるよ。俺を救ってくれたあんたの言葉、俺の生き方を変えてくれたあんたの笑顔。それをまた、まだ見ぬ誰かに聞かせて、見せてやるのが、あんたのしたい事なんだってようやく分かるようになったよ、俺。

だから、笑ってないあんたはさびしいよ。話してくれないのがつらいよ。あんたを見てると思う。貴族って、『貴い』って、最初は絶対あんたみたいな人の事だったんだって。幸せそうにしているだけで世界を変える、女神様のことだって!!

だから、聞いてくれよ。沈みこまないでくれよ。見捨てないでくれよ!! 必ず俺も、守れるようになって見せるから!!」

レナが攫われた時、ジュリアンはそう遠くない所にいた。レナは、ジュリアンに助けを求めれば求められたはずだった。
しかし、レナは呼ばなかった。それはジュリアンにとって、寂しかった。そして、力を持たない惨めさを味わった。

だからこそ、ジュリアンは彼女の事、自分の事、自分と彼女の事、世界と自分と彼女の事をずっと考えていた。

彼の言葉が届かない道理はなかった。

「ジュリ・・・アン?」
「! ・・・レナさん!!」
「・・・不思議。 あなたと、初めて会った時の事、思い出してた。あなたの仲間につかまって、私はどうなるのか、何をされるかわからない時に、あなたは辛そうな顔をして、牢の外に座って・・・ 怖くて怖くてしょうがない時に、そばにいてくれたあなたに、いつも村の人に話しているように神さまの話をしていて、子供みたいに目をキラキラさせるあなたに、とても癒やされたわ。

あなたが私を『女神さま』だなんていう、一番最初のあの時、私は、一番人間だった気がする。久しぶりにただの女の子だった気がする。

・・・ねえ、ジュリアン。お願いがあるの」
「俺、何でもするよ。何でも言ってくれよ。レナさん」
「それ、やめて。『さん』なんて。あの戦いが終わって、一年もたつのに、あなたはいつまでも他人行儀のまま」
「! ・・・レナさん、それって・・・」
「ほら、また。こんなに私の事を分かってくれているのに、それでもあなたは自分で私を遠ざけてた。あなたが自分のそれまでを悔いているのも知ってる。自分を許していないから、誰かと比べている。でも、私は・・・

その事がさびしかった。
だから、お願い。レナって呼んで」
「それはつまり・・・その・・・」
「大丈夫よ。神さまは許して下さるわ。だって私は、こんなにあなたの事が好きなんだもの・・・」

その時レナの見せた笑顔は、今までの笑顔とは少し違った。
一人の女性として見せた、もう一つの『心から』の笑顔だった。

 ・

「マリア、マリア!! しっかりしなさい!! ・・・ごめんなさい。あなたには寂しい思い、辛い思いしかさせていない。
やっと平和な世が訪れるはずだったというのに、私は臣も民もうまく導く事は出来なかった。その内乱の中、あなたさえも守れなかった・・・
私の望むものも、あなたの望むものも、ただお互いの幸福だけだったのに。
狂ってしまった運命を戻す前に、とりこぼしてはいけない物があったのに・・・・・・」

マケドニアの内乱の最中、ミネルバが捕らえられているどさくさに、マリアは闇の司祭たちにさらわれた。
マケドニアの王というそれをあの時、彼女のほかにやれる者はいなかった。それでもそれは重すぎた。

ミシェイルに救い出された時に聞いた話。ミシェイルを救ったのがマリアであった事。
ミネルバが急所を外して墜落させた時、それを救ったのはマリアだった。つたないライブと、手付きの危ない応急処置と、やつれきりながらも輝きを失わない瞳。すべてを諦めかけていた時に、一人きりで潰えるのだと思っていた時に、血を分けた妹がそのすべてをかけて己を守ろうとしていた事。

思えばいつもそうだった。マリアはいつもそうしていた。
過ちを止める事も出来ず、諍いを断ずる力もなく、それでも失わぬために耐えていた。
どうして彼女を顧みないなどという真似が出来たのか。

「ねえ・・・さま?」
「マリア・・・!!」
「あのね・・・姉さま。聞いてほしい事があるの。おにいさまがね、生きているの!!
ごめんなさい、今まで黙っていて。でも、お姉さまを中心にマケドニアがまとまろうとしている時に、こんな事言っちゃだめだと思ってたの・・・
でもね、おにいさまなら、この内乱を何とかしてくれると思うの。おにいさまはお父様を殺してしまったけど、お父様を嫌ってじゃない。おにいさまなりにマケドニアの事を考えてたの。私をドル―アの人質にする時に、その事を自分で告げに来たにいさまは、お姉さまの事も絶対心配してた。だから、きっと助けに来てくれるの!!」

言えない。
あれからどれだけの時が流れたのか。
すでにミシェイル王子はミネルバを救い出し、マルス達アリティア軍によって内乱は終わった。
そして、マリアを救うためにスターライトを手に入れる代償に、その命を落としている。

「ええ、私もミシェイルに・・・にいさまに助けてもらってここに来たの。
マケドニアは今マルス王子に任せている。私達があの国を背負う必要はもうないわ。私達どこかで、静かに暮らしていきましょう。
竜の一頭も持てる程度の暮らしなら、きっと何とかなる」
「・・・ほんと!? それなら、おにいさまもきっと一緒にいてくれるわよね。やっと、家族が一緒にいられるのね!!」
「・・・っ・・・!!」

震えながら、力強く抱きしめたのは、涙を悟らせたくなかったから。
しかし、嗚咽がもれては意味がない。

「・・・ねえさま?」
「・・・そう、ね。 やっと、一緒に・・・」

もう、こぼさない。あの人が守ってくれたこの身と、この子だけは。
いまだ竜のたけり響く中での、静かな誓い。

 ・

「エリス様、エリス様!! 応えて下さい!!
僕はまた、守れなかった。どうしていつも、間に合わないんだ。
僕が魔法を学ぼうとしたのは、あなたのためです。僕の体は、鍛えてもちっとも強くならない。でも、あなたを守るためには、力が必要だった。だから僕は、僕が一番大きく手に出来る力を手にするために、魔法を選んだ。

なのに僕は、また・・・」

マリクはまだ未熟だった。実際マルスの幼馴染なのだから、ほんの少年である。
そして、姉たろうとしていただけで、エリスもまだ成熟した女性とは言い難い。二人の思いは、互いを思いやるなどというところからは遠い。そしてそれゆえに、互いに愛し、恋におぼれる感情は純粋で、エゴイスティックだった。
それは時に、響きあう。

「マリク・・・」
「・・・!! エリス様!!」
「マリクって、やっぱり男の子よね。守るとかその為の力とかいって、私の事ほったらかしにするの・・・」
「・・・ご、ごめんなさい。でも今はそれどころじゃ・・・」
「それどころってどれどころなの。私が怒ってるのに、それより大変な事があなたにあったらだめじゃない。マリクを好きな私が、私の事好きなマリクに怒ってる事より大事な事があるならいってみなさいよ」

溶岩のように熱く、地獄のように甘い怒り方である。いつも清楚で落ち着いているエリスの、マリクしか知らない本性だ。今それが駄々漏れている。

「私のマリクが強くなりたいのはいいのよ。強くて当然よ。でも私のそばにいないってあり得ないでしょ。私はこんなに好きで、マリクも私を愛してくれているのに、どうして離れ離れなの。おかしいじゃない」
「ええとあの」
「だからもう、待つのやめるわ。どうせマルスはもう私がいなくてもやっていけるもの。私がお母様の代わりをしなくても、シーダちゃんと仲よくしてるもの。私もカダインにいくわ。近々乗り込んでやるつもりだったけど、ちょうどいいからつれていって」
「は、はい! 実は、ウェンデル司祭が旅を終えてお帰りになったら、僕は魔導学院を開くつもりだったんです。貴族の子や恵まれた子たちだけじゃなくって、もっと広く門戸を開いた学校を。その時には、ううん、その時にこそエリス様を迎えに行こうって、思ってたんです!!」
「!!」

怒りが、しゅるりとしぼむ。ふと、マリクを見る。この一年で伸びたマリクの背は、マルスさえ追い越し、エリスは見上げる形になっていた事に今気がついた。
蛮雄の逞しさではないにしても、彼女を包み込むには十分な成長をしていたマリク。
エリスは改めてマリクに恋をし、心の中はマリクに染め上げられる。

「じゃ、これからは・・・」
「ずっと、一緒です。もう離しません。一瞬でも寂しい思いはさせません。だってそれ以上に大事な事は、僕にはないんだ。
あなたを幸せにする事が、僕のしたい一番の事なんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

竜との死闘の中、交わされる口づけ。
どこまでも場にそぐわず、それ故に強固な世界。
英雄の姉であり母でもあった女が、只一人女であれる人と。

当たり前のように、確かめ合う。

 ・

「しっかりされよ、王女!!
ことここにいたって、あなたはまだ投げ出すか!?」

彼女をそんな風に叱りつけた人間は、後にも先にも一人きりだった。

ニーナの魂はいとも簡単に震えた。それは望んでやまぬ、忘れる事かなわぬ人の声ゆえに。

「・・・貴方は・・・ 私は夢を見ているの? どうして・・・」
「・・・いや、これは夢ではない。そして私は旅の聖騎士シリウス。貴方の名を聞き及ぶものであっても、あなたに会うのはこれが初めてだ」

それは、明確な拒絶だった。
その立場と誇りを異としながらもその命を救いながら、ニーナの思いに応えようとしないところまで変わっていない。
彼の気持ちは分かっていた。時折向けられた眼差しにはそれがあった。だが彼は貫くべき生き方があった。
アカネイアとニーナ王女は、彼なしでも生きていけるだろう。しかし、グルニアは彼なしでは立ち行かなかった。

「皇帝からの伝言を持ってきた。『すまなかった、許してほしい。私はあなたを愛していた。それは信じてほしい』と」
「それを・・・ それを、貴方が伝えてくれるという事が、どんなに残酷なことか、分かっているでしょうに・・・
ああ、ハーディン。ごめんなさい。本当に・・・」
「ボア殿も、亡くなられた」
「じいが・・・!」
「『私が間違っていた。もうアカネイアなどどうなってもいい。ニーナ様を苦しめるだけだというのなら』と・・・」
「・・・もう狂ってしまった運命の果てに聞かされても、私の心に穴を穿つのみです。私は・・・この先どう生きればいいのですか」

ニーナほどこの二つの戦に翻弄された人間はいない。望む望まぬに関わらず背負わされ、ことここに至って、投げ出す以前にもうすべて失っている。
それでも。

「それでも、貴方自身が託して見せねば、投げ出した事になるのだ。あなたがどう生きるかさえ、その先にしかない。
もういらぬというなら、きちんと託してからになされよ。その先は、望まれるままにするといい」
「ならば、 ・・・ならば、連れて行って。
何者でもないあなたと私なら、共に歩めるでしょう。そうさせて・・・」

泣き崩れるニーナ。
国を、大陸を、地獄に陥れるきっかけとなっても、偽る事の出来なかった思い。
それでも互いが取りあわねば、繋がれぬ手。

「ぼくは、やってみせるよ」

そう言ったのは、ユベロであった。

「シリウスに教えてもらったから。僕は、誰かが僕の国に酷い事したら怒れるよ。ニーナ様は、ハーディンがアカネイアに酷い事し始めた時にひっぱたけなきゃだめだったんだ。そして、それを知っててもしなかった。もう、資格はないんだ。
僕や、マルス王子がやる。ちゃんと怒るよ。悪い事したら、許さないぞって。
だから、シリウスとニーナ様は、僕達が守るこの大陸のどこかで、見守っていてくれれば、それでいい。どこかに二人がいると思えば、僕は一生懸命守っていける。
二人は・・・ただの二人になって」

未来の王たる彼の決意が、誰かの幸せと重なっている。
自らの思いを、継いでいる。
こんな頼もしい事が、他にあるだろうか。 

「ニーナ、来るか」
「ええ」
「・・・少し、待っていてくれるか」
「慣れました」
「すまない」

短い抱擁の後、ニーナは、シリウスのマントの下に隠れている紋章を引きちぎる。
これであなたは、誰でもない。とでもいうように。

ユベロは、このためについて来たのかもと、なんとなく思った。
彼と共にグルニアを愛し、彼女と同じくこの戦乱に振り回された自分にしか、二人を解き放つ事は出来なかったと、そう感じた。
そして二人のために、今の言葉を違える事は許されないと心に刻んだ。


 ・


百億の鏡の欠片が降り注ぐ幻影とともに。

メディウスを守っていた結界が砕け散る。

『グルォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオッ・・・・・・!!』

「ファルシオンよ、神竜の牙よ!! 暗黒竜の闇の帳を吹き飛ばせ!!!」

マルスが振りかざすたびに、闇そのものが切り開かれてゆく。

「紋章の盾よ、闇よりいでし竜を返せ!!」

闇の魔法陣からはい出てくる竜を、5つのオーブの力が押し戻す。

「・・・ほんとは、誰にも罪なんかない。我慢ならない事があったり、未熟だったりしただけなんだろう。
だからこそ、もう終わりにしよう。疲れたなら、眠ろうよ。馬鹿だったなら、ちゃんと覚えておこうよ」

メリクルを手に、ルオは思う。
みんなが納得するのは無理なんだろう。でも、なるべく多くの人が幸せになるのは、やり方次第だ。

自分の答えが、全てを救うとは思わない。けど。


「リザーブ!!」

マリーシアの杖が、皆の傷を癒やす。

シーダの槍が飛竜を次々と落とし、フィーナの踊りが戦意を高揚させている。

近衛隊の皆が、畳みかけるようにメディウスに挑んで・・・・・・


「炎の弓よ・・・!」


ズシュっ・・・・・・・・・!!!

ライアンのパルティアの炎の矢がメディウスののどを貫く。


『グオオオオオオオ・・・・・・

覚えていろ、人間ども・・・ お前らの卑しい心こそが封印を失わせ、国を作る礎となった事・・・
紋章はまたいつか再び失われる。必ずだ!!
お前らがお前らである以上、必ずだ!!』

その捨て台詞に、しかし二人の勇者は応える。
怒りにまかせた恨み事ではない。
それは、敬うべき先達に贈るはなむけと誓い。

「僕らは僕らだろう。けど、今のままである筈がないよ。
封印が失われたのは、一度も国を作った事のない人間達が欲望のままに作ったころの話さ。
真実も知った。神の正体も、欲望のみを見据えて生きる愚かさもその末路も、悲しみも。
僕らはそれを伝える事が出来るんだ」

「眠ってください。もう一人の竜の王。
貴方の眠りが妨げられるような愚かさをそれでも持ち続けているようなら、その時はむしろ、叱りに出てきてほしい」

ルオの言葉に、メディウスは少しだけ目を見開いて。
マルスの言葉に、メディウスは少しだけ微笑んだ。

最初からこんな風に滅べたら、もうすこしちがう世界が出来ていたのだろうか。
でも。

『・・・まあ、よいわ』

頭を、なでてもらったような気がした。

「もう休め。メディウス。
わらわももう眠るとするよ」

神竜王の、お休みの言葉。

次元のはざまに暗黒竜が飲み込まれてゆく。
恐ろしい筈の竜のあぎとは、微笑んでいるようにも見えた。

そして。


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ・・・・・・



次元の歪みが、戻りつつある。
運命の子の答えが、示される。

続く
by おかのん (2013-02-22 15:00) 

ぽ村

>>おかのん

うわ本当に長いw
そしてその分投下乙。

うmうm、にわかのヲレでもジャストフィットな正解っぷり(これで外したらなにを言われるのかと;)

そしてリカードとならぶ役立たず聖域、ユベロにまさかの役回りw

トドメはライアンだったのか。
ゴードンと同じくラスボス殺し。
セットで良いトコ取り兄弟とか言われたりしてw

このあたりで 久遠(ゲーム担当) のお仕事も終わりか・・・
まだ終わって無いけど、とりあえずゲーム部分乙★
by ぽ村 (2013-02-23 11:55) 

おかのん

最後のうpをしときました。持ってってくらさい。
by おかのん (2013-02-24 17:35) 

ぽ村

>>おかのん
もってたよーw
うpサンクス。

早速記事にうpを・・・と、思ったら、まだ描写して無いところも多いね。
ならば一部だけ
by ぽ村 (2013-02-25 03:28) 

おかのん

続きー。



メディウスが滅びた、竜の祭壇の中心部。

次元の歪みが、紋章の盾と共鳴し、修復されてゆく。

「・・・さあ、運命の子よ。始めるぞ」
「お願いします」
「ちょ、ちょっとルオ。これから何が起こるの?」

ことここにいたって、『ルオがしようとしている事』をルオとナギしか理解していないという事実に、やっとルオは気がつく。

「ああ、説明するよ・・・ それと、

・・・ごめん、アイシャ」
「・・・!?」

何に、だろうか。
どうしてもそれは悪い想像を掻き立てる。

ルオにとって自らの世界に戻る事。それは連れて行ってほしいと言ったアイシャにとって、異世界に行くという事だ。
異世界でうまくそちらになじめない問題に直面した時、その歪みはルオに向かうのは容易に想像できた。それを厭うなら、気が変わって、『やっぱりお互いの世界を離れるのはよくない』と、置いていかれる事はありうる。
それはアイシャのためを思っての答えであるなら、ルオらしくもあるのだ。

・・・しかし。

謝罪のその理由は、全く別の所にあった。

「俺はもう、帰れないかもしれない。アイシャにこれだけ協力してもらっておいて、勝手だけど・・・
でも俺は、こうしたい」
「・・・・・・!?」

そこで、術式が整った。
ナギの声が・・・

世界に響いた。


『この大陸におる勇者たちよ。英雄戦争に関わりし兵(つわもの)どもよ。目を閉じよ。思いをはせよ。この戦いの意味と、失われた命に。
親か。子か。兄か。姉か。友か。師か。
我は神である。願いを聞こう。
黄泉の国よりの門を開こう。声を我まで届かせて見せろ。
失われてはならぬ者と自ら証を立てよ。その思いの深さこそが証。
聞こう!!』

「「「!!!!!!!!」」」

「まさか・・・」
「・・・次元の力の方向を、その歪みが戻る時にさらにねじ曲げる事で、ナギさんは、すでにおこってしまった『運命』に干渉する事が出来るんだって」
「ア・・・アカシックレコードの改変っ!? まさに・・・神!!」
「『改変』じゃないんだ。あくまで方向を変える形。でも・・・ 死んだ人のその原因までさかのぼって、それをいじれば、『死ななかった今』に変えてしまえる。
何人救えるかわからない。ナギさんが言うにはやれて十数人。だから・・・
その基準として、この世界が『救いたい』と思っている・・・つまり、生きていてほしかったと思う人が多い人、または思いの強い人からって事にしてもらった」

聞いてしまえば、いかにもルオらしかった。
そして。

「・・・その『次元の』力を・・・ 歪みが元に戻る時の力をそんな風に使ったら、ルオ!!」
「うん。俺が元の世界に戻るだけの力が残らないかもしれない」
「それで、いいの!? だって・・・」
「こんな風になってしまったこの世界をほうって戻れば、きっと後悔する。だったら、こうしたほうがいいさ」

そうだ。ルオは・・・

いつだって、放ってなんか置けないって思う人だった。


そして。

答えが降り注ぐ。



 ・


惜しまれた青年がいた。
カダインの術師、エルレーン。
マリクと肩を並べて研鑽の日々を生きた、しかしつまらぬ嫉妬で身を滅ぼした男。

「・・・ここは・・・」

彼が目を覚ましたのは祭壇であった。
マリクとの戦いとアリティア軍との抗争。それに敗れてから数ヵ月。

「どういう・・・ことだ・・・」
「エルレェーン!!」

そこに現れたのは、ウェンデル司祭であった。
愛弟子に駆け寄り、涙する。

「・・・先生」
「おお、おお。神よ、感謝いたします・・・!!」
「わたしは、どうなったのですか」
「神が、お前を惜しんで下さったのだ。一度の過ちで、お前という存在が失われる事をだ。
お前は自分が平民の出である事を口惜しく思っていたな。だが・・・ そんなことに何の意味がある。貴族とはな、そもそもその土地を支配した才ある者が、その地位を一族が継ぎ続ける為に、自らを貴いのだと言いだしただけの事。
先ほど神が私に・・・世界中の人間にお告げをなされた。『先の戦争で失われた者を思え、幾ばくかの者に再び生を与える』と。
お前は、選ばれたのだ。もう一度この世にあるべきだと、神がお認めになったのだ・・・!」

ウェンデルは、こんこんと説いた。
いかにエルレーンに期待していたか、自分が貴族でないと恥じる必要などない事や、その思いにとらわれる事が身を滅ぼした、ガーネフという悪霊の話。マリクとの争いのおり、その言葉が間に合わなかった後悔。エルレーンを失った途方もないつらさ。

どんなに、お前を愛していたか。

(ああ、そうか)

エルレーンは悟った。自分が何をしたのか。
人は常に平等などではない。だが、その事で自らを恥じたりする必要はなかった。
俺を『貴い』と。『尊い』と思ってくれる人はいるのだ。
それが、自分を今まで磨いてきた結果だというなら、自らになんら恥じる事がないのだ。
ならば、マリクに抱いて、怒りに駆られたあの思いは何だったのか。
それこそ恥じねばならぬ事だ。

「・・・申し訳ありませんでした。先生・・・・・・!」

少なくとも、この人にこんな思いをさせてまで貫くべきものだったかと問われれば、断じて否であった。


 ・


「・・・にいさま!!」
「あ・・・兄上!? これは・・・ 
ナギ殿・・・!!」

アイオテの再来、ミシェイルはそこにいた。父を殺して覇を唱え、妹達を救うために命を落とした王は、今一度の生を受けた。

「・・・フ。なんとも格好のつかぬ話だ。もうすでに俺の存在など、たんに火種としかならぬというのに・・・っと!!」
「「にいさまっ・・・!!」」

妹二人が抱きつく。
分かりあえた途端に、失ってしまった最愛の兄。それが再び、目の前にいる。

「にいさま、無事だったのね!!
ガーネフと戦っていたから、とても心配していたけれど・・・」
「ああああっ・・・うああああああーっ」

まるでミネルバの方が幼い子供のように泣きじゃくった。
無理もなかった。幼いマリアをこれから守っていかねばという思いと、最愛の兄を眼の前で失った事実。
その重圧を解く奇跡が、おこったのだから。

誰もがそれぞれに辛い戦いをしてきた。そしてこれからも辛さからは逃れられぬかと思っていた。
どうにもならない事だらけだった。でも。

お互いがお互いを思う強さは、神に届いた。

「なあ、妹達よ。これからは、お前達の思う通りにしろ。
俺は俺の思う通りにしようとした。結果俺には何もなくなってしまった。いや・・・
お前達が残ってくれた。

マケドニアは今、アリティアの者達と、パオラ他マケドニアの勇者達が共に治めているというが、何も問題ないらしい。
驕る貴族どものみでも、他国の者どもだけでもなく、共にやれているという。王がおらぬでもな。

俺はお前達と共にいよう。先の事は分からぬが、それでも・・・
しばらくはそうさせてくれ」

ミシェイルらしくない言葉であった。だが。
泣くミネルバには、覇王も勝てぬという事かもしれない。
それを見て微笑むマリアはまさに、聖母のようであった。

 ・


その姿は確かに彼だった。
しかし、しかし・・・

「ロレン・・・ス!?」

ユベロの前に現れたのは、ロレンスではあった。しかし、それは魂だけであった。

『・・・王子。私はあのころすでに、病を患っておりました。この戦いが約一年。その間に、天に召される運命だったのでしょう。かの術で変わる運命は、どうやら戦で途切れる運命のみ。私は二つの死の運命を持っており、戦の方のくびきを逃れても、病の方でどの道死する運命であったようです』
「そんな・・・」

ならばあの時、病魔に侵された身でありながら、勝ち目のないクーデターに蜂起したというのか。
そうさせたのはとりもなおさず、グルニアの弱さとラングの非道さだ。

『しかし、今一度この魂をこの世に取り戻したおかげで、また王子に会えました。こんなうれしい事はありませぬ。
しかもこの短い間に、シリウスという臣下、マルス王子達という良き友を得て、何より王子自身、本当にお強くなられた。わしがこの身をささげてそれでも行く末を案じたグルニアに、いまや希望と笑顔が満ち溢れている。
この老骨が思い残す事は本当にありませぬ』

「うん」

声は震えていた。
本当ならすがりついて泣きたかった。

でも、彼にその体もなければ、今はそういう時ではない。

あの時果たせなかった、本当の別れをするのだ。彼の心の蔵を剣が貫く音を聞いただけの、自分のいない所ですべての終わってしまうあの別れではなく。生き抜き、戦い抜いた臣下を送り、お前の理想さえ俺が叶えて見せると、そう誓う王の晴れやかなる儀式。

泣かない。泣けないんじゃなく、絶対に涙は見せない。
必要な時には、己を律する事の出来る王となる。その証に。

「・・・今までの働き、見事であった。ロレンス」

その言葉に、ロレンスは反射的に膝を折る。
その事実こそが、ロレンスを心から安堵させた。

『もったいなきお言葉。 ・・・王子、私は見ておりました。ラングを倒した日の決意を。我が国の民を害する者に、怒るのだと。
シリウスに教えていただきましたな。自らの抱く恐怖よりも、愛する者を失う事の方がより怖い。失わぬためには、強くあらねばならぬと。そして誰もがそう思っておる以上、出来うる事ならば共に理解しあって、仲良くあらねばと』
「うん。それは理想だ。
信じるに足る、この身を賭して貫くに値する理想だ」
『心のままにありましょう。その御心が貴きものである為の全ては民の幸せにつながりましょう。
姫君やオグマ殿、シリウスにもよろしくお願いいたします。
・・・グルニア王に、良い土産話が出来ますよ』

「さらばだ」

光の粒となって消えてゆくロレンスを、ユベロは凛々しい瞳のままで見つめ続けた。
マリーシアがそっとその胸で抱きとめるまで、彼は泣かなかった。

 ・

彼女は。
薄暗い通路の向こうから、ただ現れた。

「ちょっと、いつまで呆けてんのよ。相変わらずのグズね」
「だって・・・」
「ええと・・・誰だよこの美少女。カタリナ、知り合いなのか? 紹介してくれ」
「彼女は、クライネ。私の義理の妹です。クライネ、彼は・・・」
「ルークでしょ。近衛隊の一人の」
「暁の聖騎士、ルークだ! (キラン)」
((申し訳ないけどうざい))

それは確かにクライネだった。腕も元に戻っている。

「事情は分かってんでしょ、神さまが生き返らせてくれたんですってよ」

誰かに強く望まれた結果だ。そして、英雄戦争に関わった者たちの中で、クライネを思い浮かべる存在はごく限られる。それでもクライネがここにいるという事は、その願いがどれだけ強かったかという事でもある。

つまらなそうに眼をそらすクライネだが、その頬はほんのりと赤い。

「クライネ」
「! ・・・ま、このあたしがアレで終わりってのも、ちょっとね」
「ええ、そうです。そんなの、イヤです・・・」

抱きしめた妹の柔らかさ。包み込んでくれる姉の温かさ。

そして、その強気な瞳ににじんだ涙を見て、ルークの心は貫かれた。

「唐突だが、惚れたぜ。付き合ってくれ」
「は? ・・・あたし? 何ゆってんのあんた」
「る、ルーク?」

ルークは本気の目である。

「あたし元暗殺団よ?」
「乗り越えるまでもなく俺には関係ない」
「今あったばっかじゃん」
「愛に時間はいらねえ」
「あたしがあんたをなんとも思ってないつってんのよ。むしろ今現在の会話で不信感がつのってんだけど」
「惚れさせて見せるさ」
「あんた騎士でしょ? 孤児上がりの暗殺者に惚れて、おうちの事はどーすんのよ」
「欠片も未練はねえ」
「あんた自分が何言ってるか分かってんの!?」
「君さえそばにいてくれるなら、俺の幸せは決まってるんだ。なら俺のこれからのすべては、君に捧げるぜ。今を逃せば、君には二度と会えない事ぐらいわかるさ。だから、俺は何も惜しまない」
「・・・あたしのどこを、そこまで気に入ったワケ?」

まだクライネの瞳に残る涙を指ですくい、微笑むルーク。

「暁の光を受ける月は、身も心も美しくあるべきなんだぜ?」
「・・・・・・ アイネ、こいつは馬鹿なの?」
「そうですね。でも、ルークは誰にも卑屈にならないし、だれも見下さない。馬鹿かもしれないけれど、愚か者ではありません。
彼に愛されてみるのも、いいかもしれませんよ?」

カタリナは知っている。クライネは誰も寄せ付けないような態度を取りながら、実は常に誰かに愛して欲しいと思っている。
だから実は、引く事を知らないルークのような男の方が相性がいいのだ。

「なんか、拒むのも面倒だし・・・いいわ。ただし、あたしが惚れるのなんて期待しても無駄だと思うわよ」
「言ったろ? 俺は君を照らしていれば満足な暁の光さ。(キラン)それに、君もすぐにわかると思うぜ。惚れられるよりも惚れたほうが幸せなんだ。まあかく言う俺も、君に出会うまで思いもしなかったけど」

そう言って手を取り、甲に口づけをする。

「・・・マジで馬鹿じゃね? あんた」

などと言いながら、クライネは手を振り払おうとはしない。

「それよりアイネ、あたし、起きた時にあんたらとあの人を同時に見つけたんだけどさ」

示された先にいたのは、一人の女司祭だった。


 ・


「エレミヤ様っ・・・・・・!!」
「あ・・・アイ、ネ?」

その瞳に灯がともる。そして・・・走馬灯のように駆け巡る、目の前の二人に・・・いや、無数の愛すべき子供達に施した仕打ちの数々。

「うあああああああああああああああーーっ・・・・!!!」
「エレミヤ様、しっかりして下さい!! エレミヤ様!!」

そんな事は出来ない。
全て覚えているのだ。そのすべてが自分の心を抉る。

「あれは、ガーネフがさせた事です。エレミヤ様が望んだ事じゃない。エレミヤ様のせいじゃない!!!」
「愛していたの。生きていてほしかったの。幸せを感じてほしかったの。
だって、せっかくそばにいたのに。けれど、なのに・・・!!」

クライネが生き返ったのだ。エレミヤが復活してもおかしくない。しかし、エレミヤにとって再びの生は、尽きる事のない苦しみの反芻に他ならなかった。

「私は、私は・・・!!」
「エレミヤ様、私はガーネフに同化しかけた時に、本当の事を知りました。エレミヤ様が、ガーネフに操られていた事、本心じゃなかった事。
ガーネフは倒されました。もう・・・終わったんです」

言ってはみる。しかし・・・
それが真実でない事も分かっている。

「何も、終わってはいないわ・・・」
「そうね」
「・・・クライネ!」

カタリナも分かってはいる。けれど、それを責めるのは残酷だ。

「だって、私とこの人は運よく生き返れたみたいだけど、他はそういうわけにもいかないわ。
そもそも、思いや願いの強い順に十数人でしょ。ローローも『特定の』ローローがいなかった分、無理だったみたいだし、他にも惜しまれてる人はいたんだもの。私達はさすがにこれ以上は望めない。あの数百人を超える暗殺団、訓練で使い物にならなくなった千数百。それだけの人間が、犠牲になってるのよ。なあなあで済ませる話でいいの?」

その通りだ。その通りではある。だけど。

「けどよ」

そこに口をはさんだのは、ルークだった。

「それ、やっぱりしょうがねえよ。なあなあはよくねえけど、追求しても誰も幸せにならねえよ。
この人は自覚してるんだろ? なら後は、償うしかねえんじゃねえの?」
「・・・どういう事よ」
「・・・俺はさ、ずっと兄貴の予備だった。騎士になるのは兄貴に決まってて、俺はいつだって二の次だった。けど・・・
兄貴が治る見込みのない怪我をして、俺がなる事になった。ふざけんなって思ったぜ。俺はずっと俺だったのに、周りの都合で俺の価値が変えられたんだ。俺の意志も全部無視で。
だから俺は、試験を受けた。俺は俺の力を示して、なりたかったものになるって。そう決めたから。
この人が操られてした事は酷い事で、それがこの人のせいじゃなくて、それでもこの人が辛いのは構わねえよ。でも、泣き叫んでも今は変わらねえ。
少なくともその結果、カタリナはガーネフを倒す力の一つになって、悲劇を終わらせたぜ。
その為の犠牲としてめでたしっていうんじゃねえけど、良くも悪くも結果は出てる。もう終わってる。
あんたらが生き返った事、もうさすがに取り返しのつかない事もひっくるめて、どんどん過去になってる。

つまり何が言いたいかっつーとさ。
俺達は平等じゃねえし、世の中はいつも誰かの思惑で動いていて、どうするかは自分で決めなきゃダメだってことだ」

その言葉は、三人にとって衝撃だった。

エレミヤの言いなりだった二人と、ガーネフに『どうすればよかったのか』などと問うたために、この地獄を自ら生み出す事となったエレミヤ。

「そうです。私達は・・・ 自分で決めていくべきなんです。
ルオは、一人きりでこの世界に放り出されてからずっと、誰かに助けられて、導かれながらでもそれでも、自分で決めてきた。私にもそうしろって、ずっと言ってくれていました」
「・・・エレミヤ様、私・・・そうしてくれていたころの・・・ あたし達の事、ただ幸せにしたいって微笑んでいてくれていてた時、間違いなく幸せだった。エレミヤ様が、『自分で決めてそうしてた』頃、間違いなく救われてたよ」
「力を手に入れるってことも、本当はするべきでした。今ならそう思います。どこかで役に立てる何者かにならなければ、やっぱり生きてなんていけない、幸せになんてなれない」

エレミヤは茫然としていた。ただ愛していただけの時の方が救えていたそれが確かにあった。あの苦しみと間違いだらけの中で、立派に育った二人の娘がいた。
それは愛そうとしたすべてではない。しかし確かにエレミヤが愛した娘たちだ。
自分などよりも早く、この子たちは立ちあがった。

「ふぇぇぇええええええええええ~・・・・・・」

エレミヤは、泣きだした。


罪と、後悔と、苦しみにまみれて。
まだ何も片付いていないのに。

それでもエレミヤは、愛する二人の娘に抱きしめられながら。
子供のように、泣けたのだ。

ルークは結果的に、一つ嘘をついたことになる。
泣いても何も変わらないと彼は言った。
そんな事はない。

きっと、少しだけすっきりして。
もう一度立ち上がるきっかけになる。

 ・


それは、ロレンスと同じだった。

ハーディンの肉体が復活する事はなかった。
その魂だけが、ニーナの元に現れる。

「ハーディン・・・どうして・・・!?
あなたの事・・・詫びたかったのに。強く、願ったのに・・・!!」

それは嘘ではなかった。ニーナの願いは途方もなかった。少なくとも、救われる十数人に漏れる事はなかったくらいには。
しかし。
恨む声が多すぎた。彼のせいで死に追いやられた者を思う声は、彼の復活を願わなかった。彼の本当の魂の声など、その怨嗟の思いに届くわけもない。そしてなにより・・・
彼の体は、ボロボロになっていた。

『私の体は、とうに限界を超えていたのです。闇に囚われて、その上で闇の力をふるうのならば問題はない。しかし、闇にあらがう思いを持ちながら闇の力を使い続ければ、その歪みは肉体にたまり、蝕んでゆく。
マルス王子達に倒された時、私は灰となって消えてもおかしくない程だったのです』

それは。
なんという精神か。
ハーディンだからこそ、この戦乱はこの程度で済んだと言えなくもない。
ガーネフはまさに魔王となり、世を滅ぼしかねない、人を恨む竜を復活させようとした。
しかし、ハーディンは最初から皇帝という世界の王でありながらも、半年ほどはまともな統治をしていたのだ。彼の長い長い孤独な戦いの激しさとはいかばかりだったろうか。

「ああ、ああ・・・ごめんなさい、ハーディン・・・」
『いえ、やはりこれは私の弱さが生んだ事なのです。貴方の心が私にない事に、私は絶望した。しかし、私はだからと言って、他の女性を抱こうという気にはなれなかった。それは、私を迎えながらも、思い人を忘れられなかった貴方と同じように。
何より、貴方とかの男の思いとて、一朝一夕の物ではなかった。ならば、私もあきらめることなどなかったのです。
先の事など分からない。貴方が私の心に触れ、心変わりする可能性がなかったわけでもなかった。
何より、私に身をまかせた後で、貴方の心がやはり私にないと知れば、私はさらなる絶望に駆られ、闇にあらがう事など出来なかった。
私を愛していない以上、私に身をまかすわけにはいかないという貴方の思いこそ、私を押しとどめたのです』

ごまかしながら生きる為にそうする者は当然にいる。その方が楽であるし、そのすべてを責める事も出来ない。
なればこそ、譲らぬその思いは、貴いともいえた。

『私は貴方を愛していた。それを後悔していない。そして・・・
貴方の心に、私はいる。私の望む形でではもうなりえないけど、貴方にとって私が、取るに足らない者などではないだけでも。
何より、私の望みは・・・ 貴方を手に入れる事ではない。貴方の幸せだ。それを与えられる者が私でないことや、私がどうにかできる願いでなかった事はさびしく思ったけれど。願ったのは、それなのだ。
幸せであってくれ。私の愛した姫よ』
「ハーディン・・・・・・!!」

何度かの騎士のことを忘れ、この人と生きていこうと思ったか。何一つも不満などなかった。敬愛してさえいた英雄だった。
あの人でない。それだけしか理由などなかった。
きっと、きっと幸せになれた。してくれた筈だ。
それでも、本人にさえどうにもならぬのが恋心というものだ。

『幸せに』
「ハーディィイイイン・・・!!!」

愛した女性に、抱え持つ真実を話せたのが、その女性の望みによるものであった事。
運命を変える途方もない願いを、自分に向けてくれたこと。

ハーディンは、満たされて逝った。

たった一年強の帝国歴は。
今度こそ潰えた。

 ・

もう一度出会いなおすような物語が、そこかしこで紡がれる。
その先の未来を見つめる為の別れが、そこにある。

そして。

「ルオよ。残念であるが、後はお前と同じように『歪み』に巻き込まれてこちらに来た者達で、命を失った者を救うので精いっぱいであるな」
「・・・そうですか」
「そして、お主の願いは叶わぬ」
「はい」

その時。


ズンッ!!!!!!!!!!


「なっ!!?」
「『次元震』であるの。もう、運命を変える事は出来ぬようである。そして、運命の子との別れであるな」
「・・・は?」
「歪みの力を使いきってしまったのだ。そして歪みが直るという事は、元に戻るという事。しかも歪みの力をいくらか使ったために、全く元に戻るというわけにもいかぬ」
「ごめんなさい分かりやすく結論だけお願いします」
「ルオは別の次元に飛ばされる上に元の次元に戻れるかどうかわからぬ」
「「うえええええええええ!!!!?」」

寝耳に水である。

「結局俺ここにはいられなくなるんですか!?」
「むしろ次元の力を一人で使っておればとどまれたやも知れぬ」

願いがかなわないというのはそういう意味もあったのだ。


ズンッ!!!!!!!!!!


「うわっ!!!!!」

次元震が落ち着くまで、数分。
唐突な別れまで、あとわずか。


続く


お・・・・・・

終わらない・・・・・・w;

by おかのん (2013-02-26 20:55) 

ぽ村

>>おかのん
信じられないことを言うと前回よりも長かった。

そして投下乙w

ルオが神すぎる・・・・
というかナギが神なのか。

そして生き返った連中と生き返れなかった連中悲喜こもごも。
そんこたぁルークの超展開にくらべればどうってこと無いか?!

まぁいい。
セシル一番の出世頭逃したな・・・

次回ではまだ終わりそうないなと勝手に予想。
はてさてエンディングやいかに

by ぽ村 (2013-02-28 01:40) 

ぽ村

>>おかのん

最終回お疲れ様でした~
いやぁ、[最近のコメント]欄からして存在感が違いましたなw

足掛け約半年・・・
結果二人が行った新しい世界はどんなとこだろう。

ルークがクライネととか・・・アレ、オリジナル要素よな?
話を畳むのも一苦労なら、オリジナル入れると随分苦労したんじゃなかろうか?

ともあれ、楽しく読ませていただきました。
こっちも後半は 久遠 の腕を信用(?)して
攻略記事一切見ないで選択肢を見てたわー・・・

なんとなく寸劇も考え中。


そして・・・・
読み落としかな・・・カタリナはどうなったんだしょ・・・
by ぽ村 (2013-03-04 18:12) 

おかのん

>カタリナどうなった
あ。

ええとですね。
クライネとルークのくだりが終わって、「~無理矢理ついて行ったのだろう」の後から、


『「変わってませんね。ルーク」
「おお! カタリナ」
「アンタは変ったわね。髪、伸びた?」

結局あれから、カタリナはエレミヤと暮らしている。
レナ達とは別の孤児院を始めたのだ。
戦災復興には、それなりの額が投じられているために、孤児たちが生きるに困ることはなさそうだ。もっとも、彼らの抱える事情はそれぞれ重い。二人とも苦労しているようである。勿論、充実してもいるのだろうが。

各々忙しいようだが、』それでも皆とは・・・

という感じに挿入お願いします。
書くつもりでいてコロッと・・・

では、寸劇楽しみにしとります。

PS
ちょーどこの部分に誤植。
それでも港は→それでも皆とは

おねがいしまするぅぅぅぅぅぅOr2
by おかのん (2013-03-05 10:37) 

ぽ村

ズンッ!!!!!!!!!


「うわぁッ!!?」

次元震は間隔を狭めていた。
もういつ次元の歪みが修復されるか分からなくなっている。

「では、息災でな。運命の子よ」
「は、はい・・・」

もう帰れないと思っていた。
それでもずっとここにいるというのなら、アイシャやマルスと共にいれるのなら、それもいいかもと思っていたのに。

・・・ここにもいられなくなるなんて。


それでも後悔はしていなかった。幸い、心残りになるような不幸や後悔は、いくらかは解決できたのだ。

「ルオっ!!」
「・・・マルス様」
「・・・ありがとう。僕がこの戦いを乗り越えられたのは、君がいたおかげだ。
世の人は、僕に分かりやすい立場が・・・ 『アンリの末裔』という事実があるから、僕の通ってきた戦いの勝利は、全て僕が成した事のように語られている。でもそれは、おかしいと思う。君という、もう一人の英雄がいた事を、皆に認めてもらいたい」

ルオは、その言葉に、困ったような顔を浮かべる。

「いえ、むしろ今の方がちょうどいいですよ。
これから先、マルス様のお立場はもっと大きくなってしまう。その時に、皆に話を聞いてもらうには、英雄が英雄たり過ぎるという事はない筈です」
「でも、それでは・・・」
「どのみち、俺はここにいられなくなるみたいだし、俺に名声は意味がありません。だったら、マルス様の役に立ってほしいです。
共に戦った仲間と、マルス様が覚えていて下さるなら、それで十分です」

確かにそうだった。
元いた世界にも帰れず、ここにとどまる事も出来ないのだ。

「・・・ばくは、君こそが英雄だと思うよ」
「あはは」

もっと語っていたかったけれど。

「タレルオ!!」「隊長!!」「ルオ!!」「ルオさん!!」

近衛隊のメンバーや、他の仲間達の声を聞いているだけで、その時が来てしまった。

「・・・それ」
「きゃ・・・な、何!? なんですかナギさん!?」
「眼帯を外してみるといい」

すると。
その奥には、瞳があった。
赤と紫のまじりあった、竜のような瞳。

「あ・・・」
「アイシャ、目が・・・」
「余った力が少しだけあったのでの。オッドアイになってしまうが、ないよりよいであろ」
「「あ、ありがとうございます!!」」

目を治すという目的も、果たされたと言えるだろう。
もとより不可能と思えた事だ。これ以上を望むアイシャでもない。

「で・・・娘。聞いた通り、運命の子の行く先は、かの子の元の世界ではない。
それでも、行くのか? 共に」
「勿論です」

ルオのいた世界では、どうしてもアイシャは足手まといになってしまうと思っていた。
しかし、お互いに初めてのどこかなら、きっと助けあっていける。
何より、離れたくなどない。理由なんて、それだけでいい。

ズンッ!!!!

ズンッ!!!!!
ズンッ!!!
ズンッ!!!   ズンッ!!!  ズンッ!! ズン!ズンズンッ!
ズンズンズンズンズン・・・・・・

光に包まれ、同時に歪んでゆく二人。


「みんな、 さよなら!!」
「「「「ルオーーーーーッ!!!」」」」

シュガァァアアアアアアア・・・・・・



ズゥゥゥゥゥウゥウ・・・ン




そこには。

紋章の盾が静かにたたずんでいた。

それが動かされた事が全ての始まりだ。

ならば、そんな事はもう起きない方がいい。たとえ、あの英雄にもう二度と会えなくなっても。
会う事のない筈の英雄だったのだ。けれど、会えた事に後悔などない。

きっと、どんな事でもそうなのだ。失敗や過ちさえも、それを乗り越える事で誰かを助ける力になれたりする。もう二度と繰り返さないという誓いが、もっと大きな何かを導いたりする。
どんな事でも、それは未来につながっていくのだ。

・・・そして。






・・・・・・そして。



 ・




「ライアン!!」
「あ、セシルさん、ロディさん」

あれから、また一年がたつ。
世界は、平和を本当に取り戻した。

「今日、ですね。手紙にあった日は」
「ああ。今日だ」
「ま、こんな日くらいはね。帰ってくるわよ」

アカネイア帝国は滅びた。名実ともに。
ハーディンが死しただけではない。ニーナも姿を消したからである。
ニーナ王女はあの戦いの後、全てをマルスに任すと言って、平民となってしまった。その後行方が知れない。

ミネルバ、マリア、ミシェイルについても、レナやジュリアンと一緒に孤児院をはじめ、彼らもマケドニアをマルスに任せてしまった。
一度マケドニアを潰したミシェイル、クーデターをおこされたミネルバと、それでも望まれる声があったが、本人達はその気がなかった。

オレルアンにいたっても、存続は難しい。グラはもともとアリティアに併合されているし、グルニアは王はいるにしても、マルスの庇護下・・・つまりアリティアの属国である事を望んだ。独立国家である事の厳しさは、また別にあるというのに、グルニアの王族はまだ若すぎ、研鑽の日々を過ごさせてあげるべきではないかという意見もあったからだ。
いずれは独立するにしても、今は庇護下にというなら、その間の国家存続の責任はマルスが背負う事となる。
ドル―アにいたっては、もう残り少ないマムクートが静かに暮らす地として開放されている状態である。また、各国復興の途中で十分とはいえないまでも、終末を迎える先達たる種族に敬意を払い、出来るだけの援助を約束している。また、教育に力を入れ始めたアカネイアは、彼らをそれこそ先達として敬う事を教え始めた。無知による迫害をして、また愚かな歴史を繰り返させぬように。

マルスは、それらすべてを統合するアカネイア連合王国初代国王となる。
そうならざるをえなかった。他の王族は軒並み辞退した上、マルスが、ハーディン、ガーネフ、メディウスを倒し、全ての国をまかされようとしていた事実は、連合王国の盟主となるこれ以上の適任者がいない事実を示していたからだ。

魔法学校を作ったマリクとエリスも、政務のいくらかを手伝っている。天馬騎士と宮廷騎士団も、悲喜こもごもあったが、国の力となってくれている。オグマやナバールなど、傭兵達はいずれも姿を消しているが、大陸のどこかでまた、誰かの正義に力を貸しているのだろう。
それぞれがそれぞれに未来を描いて歩んでいっている。そして・・・

「よう!! ライアン!」

それは、ルークだった。後ろに、クライネもいる。

「ルークさん!!」
「背、少し伸びたか!? しかしまだ低いけどな!」
「馬上からいうな」
「お前も相変わらずだなロディ!!」
「久しぶりだな月の女神の心を射止めた伝説の暁の流浪の自由聖騎士ルーク様」
「アンタ殺すわよ」
「俺に文句を言うな。旅立つ時にそう名乗って出て行った旦那に言うといい」

クライネとルークは旅に出ていた。どちらが言い出したか知らないが、ルークが言い出したならクライネを強引に誘い、クライネが旅に出たのなら、ルークは無理矢理ついて行ったのだろう。

「変わってませんね。ルーク」
「おお! カタリナ」
「アンタは変ったわね。髪、伸びた?」

結局あれから、カタリナはエレミヤと暮らしている。
レナ達とは別の孤児院を始めたのだ。
戦災復興には、それなりの額が投じられているために、孤児たちが生きるに困ることはなさそうだ。もっとも、彼らの抱える事情はそれぞれ重い。二人とも苦労しているようである。勿論、充実してもいるのだろうが。

各々忙しいようだが、

それでも皆とは連絡は取り合い、この日には帰って来たのだ。だって、今日は・・・


わああああああああ・・・・・・

広場が歓声に包まれる。


今日は、マルスとシーダの結婚式なのだ。


 ・


「シーダ」
「マルス様・・・」

互いの目は、潤んでいた。

「こんなところにいるのに、まだ私思うんです。私でいいのかなって・・・」
「君じゃなきゃあダメだ。君がいいんだ」
「・・・嬉しい。本当にうれしいんです。でも・・・・・・」
「僕は、君がいるから幸せになれるんだ。僕も、君にとってそうあれるように頑張るよ」
「マルス様・・・」

そう言って手を取る。歩いてゆく。

「・・・ルオがいなくなったあの日、あの時まで、僕は彼がずっと共にいてくれると思っていた。そして、それがかなわないとわかった時、僕が彼という存在に甘えていたと気がついたよ。
あんな風に別れるのが分かっていたなら、もっと語っておきたい事があった。
今もどこか別の場所で、僕の事を忘れずにいてくれているとは思う。けど・・・ もう、会う事はないのだろう。

だから、君とは間違えないと誓うよ。力の限りに愛し、幸せにする。
この一瞬さえ、この大陸ごと、君を愛する。
だから、一緒にいて」
「・・・はい」

光の向こうに、二人を迎える皆がいる。

遠い空の向こうに、信じあえる友がいる。

人が、つながる。



  ・


いつだろう。

どこだろう。

でも、目の前に。

この人が、いる。


「さて」
「どうしよっか」

とりあえず、手をつないで歩きだした。


「眼帯、取らないの?」
「・・・これ、なんだか余計な物まで見えるのよ。だから、普段は封印しとく。ちゃんと目があるって事を、ルオが知っててくれればそれでいいもの」
「そっか」

1と1から出直しだ。
でも、足した答えは2じゃあおさまらない。
さあ、幸せになってやろうか。
そしてそれはまた別のお話。


FIN

お話部分はこれで終わりとします。
後は久遠が感想とか書くなら書くでしょう。
ではでは~

by おかのん
by ぽ村 (2013-03-05 23:33) 

ぽ村

>>おかのん
とまぁご要望通り(?)修正したみたよん♪

おkなら元のコメント消すけどもどうかしらん?
by ぽ村 (2013-03-05 23:35) 

おかのん

おk!!ぷりーづ!
by おかのん (2013-03-06 01:01) 

ぽ村

>>おかのん

あーどっこいしょーw

これで一件落着★
by ぽ村 (2013-03-07 00:39) 

久遠

うむ、簡単だった!!
結局のところ初期メンバーってかなり成長率いいみたいで、ドカドカ強くなったしな。
そして、続編の話がここまで『前作ありき』だったゲームは、当時は勿論今でも珍しくないか? いきなり『グルニア遠征』で始まったら意味分からんぞこれ。それだけに王道ながらも濃い。「王侯貴族が優秀な海賊のなれの果て」という、きちんと『中世ヨーロッパ系のファンタジー』を知ってないと出てこない設定など、本編の突っ込みどころの多さも飲み込みそうな「下地」のある骨太な話だったと思う。

・・・ゲームシステムは手あかが付いてるが、それだけにやりやすくもあった。ただちょっと親切すぎるので緊張感がない。プレイヤーの要望で闘技場や訓練場使わなかったのにこのユルさだったしなあ・・・

ちなみにおかのんがマニアックモードクリアしたんだが、こっちはこっちでマゾゲーだ。銀の剣持ったパラディンが後ろからドカドカやってくる。バランス無視してるとしか思えん。

by 久遠 (2013-03-09 20:50) 

ぽ村

>>久遠
プレイ半年のプレイおっつ♪

選択肢待ちで止まり止まりプレイは体力・気力を使ったんじゃなかろーか^^;

いやしかし、最初らへんヲレがなかなか乗れなくて悪かったなイヤホント。
プレイスタイルがピンとこなくて・・・

色々調整して、プレイ&完結に持ち込めたのは本当に良かったと思ってる

>今でも珍しい
SFC版は初代も入ってるという内容だったからな。。。
あっちは出すのに躊躇いは無かったかも知れん

>マニアック
でもクリアできたのでしょう?
(WA大戦略をやりながら)
ああああああまた沖縄戦でおわったあああ
・⌒ヾ( ゚⊿゚)ポイッ
by ぽ村 (2013-03-11 17:14) 

ぽ村

反省コメントも投下されたので、本編部分のエンディング写真をうp!


・・・・ん?
ちょっとネタバレ?
by ぽ村 (2013-03-15 02:53) 

ぽ村

誰しもが忘れた頃に最後の寸劇


~戦後すぐなグルニア王国~

ユベロ「{´ウ`}ノ <みんな・・・ただいま!」

ユミナ「オカ( ゚д゚)エリ・・・・・・・・・・・なーんだ。ユベロ、最後までマルス王子達と一緒だったから、さぞかし経験積んで屈強な感じに成長したかと思ってたけど・・・・全く変わって無いじゃない┐(´∀`)┌ヤレヤレ」

ユベロ「そうかなぁ・・・ちょっとは鍛えられた思うんだけど・・・(´・ω・)9」

ユミナ「(でもよかった・・・ちっとも変わってなくて。コレを安心したっていうのかしら・・・)」

ユベロ「(ユミナの乳ぺたぺた)」

ユミナ「Σ(゚∀゚ノ)ノキャーな、なにするのよ?!」

ユベロ「ユミナも全っ然成長して無いね(・д・)チッ」

ユミナ「(´・ω`・)エッ?ユベロ・・・どこ触って、何言ってるの?」

ユベロ「あ、侍女さーんお久しぶりーおぱーいぷにぷにさせてえええええ!ヽ(°▽、°)ノエヘヘヘヘ」
侍女「王子様(/ω\)エッチー!!ー」

ユミナ「な、なによこれ・・・」

近衛兵「あの・・・・かみ・・・もとい、シリウス様から、こんな手紙が・・・」

手紙の要約『王子の欲望の暴走を止められませんでした。すみません。あと、女とドロンします。本当にすみません』

ユミナ「あ、あのヘンタイナルシスト仮面があああああああああ!!!・・・・・・・原因!原因は知ってるの?!」
近衛兵「街に寄ったおり、リカード様と社会見学に、その、いかがわしい場所に・・・・」


ユベロ「ワーイヽ(゚∀゚)ノワーイすっごい!退屈と思っていた王宮がこんなに楽しいところだったなんて!リカードにーちゃんやっぱりすごい!」


ユミナ「・・・・・・・・コロセ」
近衛兵「はっ?」
ユミナ「アノ盗賊、ツカマエテコロセ」
近衛兵「あ、あれでも一応最終決戦まで旅をした英雄の一角ですが・・・」
ユミナ「イイカラコロシテ!!!!」

近衛兵「は、はぁ・・・・;(無理と思うけど)」

その後、マルス王子の後見でグルニア王位に就いたユベロは、一度は壊滅したグルニア王国の国力を大いに高め、外交・軍事・国力において同盟諸国を牽引する筆頭国となる。

その発展振りから、彼の治世の後と先で「前グルニア王国」「後グルニア王国」と呼称が変わるほどであったが、一方で彼は好色でも知られており、その存命中に成した子は82人とも133人とも(略)



リカード「へくちんっ!!!!(ずずー・・・・)あー・・・・面白かった~・・・・また大戦争、起こらないかなぁ?(*´σー`)」



こんな話で申し訳ないと思いつつ御仕舞いw
by ぽ村 (2013-05-23 18:35) 

おかのん

ええええええええええええええええ。

ちょ、ちょっとこれは・・・

ええええええええええええええええ。

かなり立派になったと思ってたユベロ君が色々台無しになっとりますがな。シリウスやニーナに「ただの二人になって」って告げたり、復活できなかったロレンスに王としての言葉をかけたユベロ君が・・・

むうしかし立派な王になったとはしてあるし、跡継ぎが生まれないよりは・・・いや、火種多過ぎというのもどうなの。

リカード・・・まさにひっかきまわすだけのキャラ。

しかしこの大陸、実は盗賊が主役なんじゃないか? ファイアーエムブレムがそもそも『宝箱開けれるようになります』って。初代国王が神殿に盗みに入ったコソ泥って。

のーー
by おかのん (2013-05-23 19:56) 

ぽ村

>>おかのん
ああ、スマンね。
どうもリカードの影が薄かったっつーか。

執念深く連れてった割に影薄いような気がして

んで、シリウス出て行くのかよwww
ユベロどうすんのwwww

とか思ったときにムラムラしたw


王として成長はしたけど、コッチ方面も成長したwww
見たいな感じで一つ!


その後、自分の出自を明かしたくない一般人は「私は、かのユベロ王の末裔うんたらかんたら」とか言ったかもね

ソレなんて劉備、
それなんてチムール


>エムブレム
そういえば・・・
初代国王が盗賊だった証そのものだなww
by ぽ村 (2013-05-23 23:58) 

おかのん

ルオ・サーガ、ハーメルン版。

http://novel.syosetu.org/17963/

おかげさまでちょこちょこ読んでくれる人が増えています。

一話ごとにまとめただけでも割と読みやすくなってる気がします。(自分で言うか)
まあ一緒の話なんですが。
by おかのん (2013-12-10 18:19) 

ぽ村

>>おかのん
お知らせサンクス♪
週一で巡回しちょるよー!

読者も増えてきてるみたいで本当に何より。
やはり感想は良い心の肥やしですな
by ぽ村 (2013-12-11 04:37) 

ぽ村

・・・考えてみたらこのプレイ、チキハブっていたりと一般FEファン悶絶級の謎選択や誰得方針が待ち受けてるんだよな・・・


ココはココ、ソコはソコで おかのん や読者好みな加筆・修正・展開の新造はあってもいいかも知れん


しかし おかのん の労力的には厳しいかなw;
by ぽ村 (2013-12-23 16:54) 

おかのん

今のところ目立った混乱は無いですが・・・
チキハブはどうなんでしょう。使わないのと愛情あるなしはどうとでもなりますね。文章の演出で。

しかし確かに、結構加筆してるんですよ。意外とね・・・
by おかのん (2013-12-23 20:33) 

ぽ村

>>おかのん

ゲームっぽさとか選択肢っぽいのを無くしてるぶん、随分頑張ってるように思われ。
投下速度速いのもいい方向に行ってるように思えるぞよ♪

そっちの都合のいい方向でがんば♪
by ぽ村 (2013-12-24 12:04) 

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